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巨人と少年  作者: 暫定とは
プロローグ『創世』
1/93

1

 原始、世界には万物に宿り構成す、元素たるフォルスと、()を司る精霊のみが在った。


 海が唸り、大地が(おこ)り、風が吠え、炎が(さか)る。

 永き混沌の時代が終わると、地上には四つの大陸が残った。


 世界を構成する四元素、(すなわ)ち火、水、風、土のフォルス。

 星の上には()れの巡る流れが創られ、其を司り、其の秩序を守りし者共、名を大精霊(だいせいれい)と称す。

 四つのフォルスを司りし四頭の大精霊は、四つの大陸を其々(それぞれ)棲み処とす。


 時は流れ、あらゆる生命が此の星に芽吹く。

 総ての生命はフォルスを宿すが、然し其れを顕現(けんげん)し、操る力を持たず。

 其は生命の始祖たる精霊にのみ許されし(わざ)であった。


 更なる時を経、星の上にはヒトの世が栄える。

 此れ、()(もっ)て世界を()り、元素を識り、精霊に触れる。

 精霊の言語を解し、契約を結び使役(しえき)する者、人は此れを精霊術士(せいれいじゅつし)と呼ぶ。


 人の国が生まれ滅び往く中、大国に二人の王子誕生す。

 ()の兄、其が叡智(えいち)を以て四大精霊(しだいせいれい)の総てと契約を結び、使役す。

 此れ、精霊を模し、元素たるフォルスを顕現し操る生命を創造す。

 人は此れをアーツと呼び、時を待たずして、アーツは人々の生活に溶け込み往く。


 此の弟、其が威光を以て此の大国を統べ、又他国からの信任も収得す。

 (やが)て人々は此れを太陽王と呼び、太陽神と共に畏敬崇拝(いけいすうはい)す。

 兄の発明と弟の主導に依って(もたら)されし此の栄華(えいが)、人々は此れを、太陽王の時代と呼ぶ。


 アーツは元素の力を以て人々の暮しを豊かにしたが、然し人々は元素の有限性を解せず。

 元素の枯渇(こかつ)厄災(やくさい)を呼び、厄災は人々にアーツとフォルスを巡る争いを齎す。

 名をアーツ戦争と称す。


 アーツは戦線に立たされ、戦火は尚留まるところを知らず。

 此れを嘆いた儁秀(しゅんしゅう)の兄、太陽王たる弟と対立す。


 此が双刃(そうじん)剣戟(けんげき)、三つの夜が明ける迄終わりを見ず。

 四日目の黎明(れいめい)、辛くも弟を打ち倒し、兄は勝利を手にす。


 然し此の儁秀の兄、既に人の世への冀望(きぼう)を知らず。

 其の総てを無に帰さんと、高次の力を以て焼き払う。

 ()くして、太陽王の時代は終わりを迎え入る。


 千年の時を経、生き延びし人々は新たな暮しに得ん。

 然し此の新しき人々、元素を知らず、精霊を知らず。

 そして、アーツを知らず―――。

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