1.始まり
初の投稿となります。虫が好きなのですが、ゲームや小説、どれにも虫が活躍する作品が無かったので自分で書いてみることにしました。
櫻井康太これが俺の本名だ。しかし、この世界ではなぜか【操蟲師のアーチェ】と呼ばれている。ではどうしてこうなったのか、一緒に異世界に跳んできた観察日記と共に過去を振り替えっていこう。
「金曜日」「雨」その日俺はいつものように一緒に住んでいる家族達と朝食を食べていた。
「ルーク美味しいか?」
「...」
「メア、今日はあまり食べないね?体調でも悪いのかい?」
「...」
「金太郎は本当に元気だなぁ、羽がうるさいぞ。」
「バチィ!!バチィ!!」
どこの家庭でもあるまったくもって普通の食事風景だ。...1人以外は虫ということ以外は。
俺は沢山あるプラスチックケースにエサを放り込んでいく、虫達は瞬く間に群がりエサを頬張っていく、その光景を見ながら観察日記をつける。傘を用意し、穴の空いたタッパーを鞄に居れる。
その日は大学でテストのため、少し余裕をもって家を出た。
道端の草や石を裏返しながら通学路を歩く。その光景はまるで変質者だ。
「う~ん、ナメクジくらい簡単に見つかると思ってたんだけどなぁ...あの紫陽花畑に行くか。」
腕時計を見る。時刻は10時を回っていた。
「予定より探してたな、今日の夜に行くか。」
そう言いながら通学路を急いだ。
俺の通っている大学は偏差値は高いものの、さほど有名ではない地元の国立大学であった。本当は都内有名私立を目指していたが、両親が亡くなり引き取ってくれた親戚に迷惑をかけるまいとアパートを借り、国立を選んだ。
「康太!今日も虫探してたの?うぇ、タッパーに何入れてるの?気持ち悪いからやめてよ...」
嫌悪の目を向け近づいてきたのは、高校で知り合い、同じ大学へ進学した奈々であった。
「うん、ナメクジを探してたんだけど見つからなくて、」
彼女とは高校で知り合ったので昔からの仲ではないが、俺は彼女を唯一無二の親友だと思っている。
高校生の時に両親を窃盗殺人により亡くした俺は、外を歩くことすらできなくなっていた。それを大学へ通えるまでにしたのは、彼女の献身的な支えがあってこそだ。同時に虫を好きになったのも彼女のおかげ?である。
「康太は、今日のテスト大丈夫?」
「俺は多分大丈夫だと思う。」
「私大事な講義サボっちゃったから今から30分でいいから教えて!お願い!」
「いいけど、3限のレポート少し終わってないから20分ね」
そう話しながら俺達は2号館のドアをひく。
いつもの光景だ。変わりのない日常の1ページだと思っていた。
夕方、日も落ち始めカラスが鳴いていた。講義を終え、途中まではいつものように通学路を歩く。
「よし、ここならいるかな。」
タッパーを空け、葉っぱを裏返していく、こんなにもキレイな花を咲かせるのに毒があるとは...キレイなものには毒がある。誰の言葉だろうかそんな言葉が頭の中を反芻していた。
1枚の葉の上をのっそり歩くナメクジを見つけた。
「いたいた!おいで~」
ゆっくり葉を切り取り、ナメクジをタッパーの中へ入れる。
満足感とともに家路を急ぐ。頭の中は虫達のことでいっぱいだ。
家に着いたとき、中から声がした。
「ちっ!キモい虫以外なんもねぇじゃねぇか、焼き殺してやる。」
泥棒だ。あの時と一緒だ、家族を殺そうとしている。そう思った途端に俺は家のドアをおもいっきり開けていた。
「やめろ!!家族を殺すな!」
俺は泥棒に一直線に突進していた。
次の瞬間、
「グサッ」
鈍い音がする。体じゅうの力は抜け、目の前が暗くなっていく。まるでスローモーションのようだ。
俺は死んだ。
ありがとうございました。小説を書くという行為が慣れず、お見苦しかったと思います。よかったらご意見などください。褒められて伸びるタイプです。