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第8話 本契約②

「じゃあ、次だ。」

 そう言って、俺は契約内容の2つ目、成功時の願成就の所に指をさした

「この成功時の願成就っていくつでもいいの?」

『現世で叶うものならいくつでもいいが、魔法の類を使うものなら、申請後にしか叶えられんから、時間はかかるぞ?』

「了解。別にそれでも不満はないよ。」

『他に何かあるのか?』

「ある。3つ目の指導者の事だけど、指導者を俺以外の奴にしてもいいかな?」

『何故だ?』

「元々、俺は誰かを指導したりするのがあまり上手くないんだ。だから、俺より向いてる奴に任せたい。」

『分かった。一応、十種会議には提案してみるが、通るかどうかは後日、連絡しよう。』

「了解。」

『一つ聞くが、ソイツの名前を教えてくれたりはしないか?』

 そう言われ、少し迷った。だって、池永仏というより、池永家の人物はこの世で一番恐れられているからだ。

 池永家は昔、地球を制覇し、宇宙までもを制覇しようと企んでいた。だが、当時の池永家当主、池永大胡(いけながだいご)氏は宇宙統一計画の開始日に毒殺。それをキッカケに、各国が氾濫、池永家の主要人物を確保し、再び世界は池永家が地球を制覇する前までのある意味平和な世界に戻った。だが、そんな平穏の中、第二次の地球制覇の可能性はいつでもあり得るもので、地球は愚か、宇宙までもが池永家を恐れている。

 だから、俺はここで池永仏という名を出すのを躊躇い、こう返した。

「本人がいないところで個人情報を言いたくないんだよな。だから言わないよ。」

『言えば通る確率も上がることを承知なら、それでもいいがな。』

「それぐらい分かってるさ。だから言わないよ。」

『そいつは残念なこった。』

「んな簡単に口を割るほど甘かねーよ。」

『質問がもうないなら、もう終わりたいんだが。』

「おっと。大事なことを聞き忘れてた。」

 そう言って、目を鋭かせた。

「お前の持病。ありゃいったいなんなんだ?」

『チッ。覚えてやがったか。』

「この前俺言ったよな。きちんと病気の事を教えてもらうって。だからきちんと答えろ。お前の病気は一体何なんだ?」

 そう責め立てると、悪魔は訳の分からない言葉を発し始めた。

「jamekiv,nejaiffgks.metbdkgnkk,neigndjvkds.maidnrjfn,zosjdneiaoxicj.」

「何言ってんだお前?」

『お前の疑問を答えただけだ。但し、暗国星語でな。しかも、めちゃくちゃ難しい事も、全部な。』

「セコいぞ!!そんなもん分かるわけねーだろうが!!」

『こっちは何語じゃないとダメだとは聞いてないぞ?俺は普通に話しただけなのに何故怒られなければならない。貴様の無知が悪いんだろう・無知は罪だ。そんな言葉が地球にはあるぐらいなんだろ?俺に何の否があるんだ。答えてみろよ?』

「……」

 何も言い返せなかった。いや、言い返せるはずがなかった。悪魔のいう事は正論だ。1ミリたりとも間違えていなかった。言語指定しなかった俺が悪い。確認を怠った自分が悪い。俺に否があっても、アイツには何の責任もない。だから、否を認めて謝ってもう終わろう。何もかも終わらそう。

「……んな事できねーよな。そんな事死んでも言うわけねーよ。」

 俺は俺自身に言う。

「そっちがその気なら、俺にも考えがある。」

『ほぉ?』

「お前の言った言葉をもう一度言ってくれ。それを録音して訳す。それでお前の事を解明してやる!!」

『やれるもんならやってみろよ。いいか。特別にもう一回だけ言ってやる。』

 そういう悪魔は本当にあの意味不明な言葉を言った。もちろん、今度はきちんと録音した。

『もうこれでいいだろう。さっさと、この書類に目を通してサインしろ。』

「あぁ。」

 契約書に書かれていたのは悪魔が説明したものと変わりなかったので、すぐサインした。

『これで契約は完了だ。後は、これを……』

 悪魔が右手に契約書を持ち、悪魔が念じている時だ。左手に俺がサインした契約書があった。というより、コピーされていた。

「今のは?」

『コピー魔法の初級のものだ。役目はコピー機と変わらん』

「すげえぇぇぇぇぇ!!」

『取り敢えず、これを失くすなよ?失くす、誰かに見つければ契約違反と見なしお前は殺されるからな。』

「了解。」

『これで終わりだ。さっさと帰れ。課題が残ってるんだろ?』

 完全に忘れていた。

「じゃあな。」

『あぁ。』




『アイツの事どう思う?』

『少なくとも駆け引きはダメだな。場合によれば俺が獲るつもりだ。』

『相変わらずだな。』

 この時、剣は何も知らなかった。十種会議に参加している者たちが最悪の決断を迫られていた事を。

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