天使と悪魔
天国と地獄にはそれぞれ、天使達と悪魔達がすんでいた。天使達と悪魔達は、もうずーっと長い間、戦争をしていた。
ある時、怪我をした天使があった。怪我をした天使は、傷ついた体を引きずって戦場から逃れようとしていたが、とうとう力尽きんとしていた。
そこへ、悪魔がやって来た。その悪魔もまた、怪我をしていた。それでも天使より、幾分か傷は浅いようだった。
悪魔はまだ、体力が残っているようであった。それに、天使よりも遥かに力強い様相でもあった。
とうとう天使は魂を失う覚悟をした。そうして、悪魔の前で動く事を止めた。
それを見ていた悪魔は、天使の体を抱きかかえて、いずこへと去って行った。
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天使は目を覚ました。天使は周囲を見渡して、自分が何もない所にいる事を悟った。そうして、自分の体についた傷が小さくなっている事も悟った。
そこへ悪魔がやって来た。悪魔の大きな体についていた筈の傷は、綺麗さっぱりなくなっていた。
天使は、悪魔によって戦場から解放されたのだ。天使はそれに気づいて悪魔に感謝し、悪魔は照れ臭そうにした。
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長い月日は経った。天使は悪魔に恋をした。また、悪魔も天使に恋をした。そうして、天使と悪魔は結ばれた。
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更に長い月日は経った。天使と悪魔の間に、子供は誕生した。天使も悪魔も子供の名前を決めていなかったので、顔を見合わせて笑った。
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ある時、二人の潜む所の近くで、勇ましい剣を持った天使達と、禍々しいメイスを持った悪魔達はぶつかった。
天使と悪魔は困惑した。二人は、もはや戦争をするつもりなどなかった。それでも天使達と悪魔達はぶつかった。だから二人はとうとう諦めて、子供だけを遥か遠い所に逃がした。
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やがて二人はバラバラになった。天使は天使の軍勢に、悪魔は悪魔の軍勢に戻ったのだ。そうして、各々剣とメイスを持ち寄ってぶつかった。
結局二人はどこかで死んだ。天使の軍勢も、悪魔の軍勢も、そんな小さな話には気が付かなかった。
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子供は遥か遠い地で目覚めた。そうして、子供は二本の脚に力を込めて立ち上がった。
そこは真っ暗だった。何もなかった。
子供は言った。
「光あれ」
その様になった。更に子供は言った。
「光と闇を分けよ」
その様になった。
こうして、遠い地には光と闇が生まれた。そこから、世界は広がった。
また、光と闇からやがて、天国と地獄が生まれた。
そして、天国と地獄からやがて、天使と悪魔が生まれた。
こうして、人は生まれたのでしょうか。
-チラ裏-
あ、私は無神論者です 笑
これに関しての総評は御座いません。