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第一章C

 三日前の世界。

 健太は灰色の世界での記憶を全て失い、再び三日前、妹と喧嘩を繰り返す。

 しかし、その中で健太の周りではドラマがあった。

 そして、健太は再びテレパシーを聞く。

「命令に従え」

 何処か懐かしい声だった、健太がその命令に従い、目にした光景とは!?

――アナタは二日前の朝から始まります、私の力はこの程度です。――


 え?


――1つお願いあります、聞いて頂けますか?――


 まぁ、無理じゃなかったら構わないが。


――これから、私はいくつかの命令をします。それに従ってください。――


 従わなかったら?


――偽装された灰色人生――


「はっ!」

 起床、夢から解放された。

 解放なのに、少し、あと少しだけ、内容が聞きたかった。

「偽装された、灰色人生?」

 それがどうしたのか、命令に従ったら金色虹色ハーレム的高校生活がおくれるのか?

「まぁ、いっか」

 それを考えることは公式や理論などの根本的問題な数学を解くより難しく、単語を知らない英語を読むようなものだった。


 夢のことなど気にかけず、俺はただ、ひたすら、日常を無情に惰性に過ごした。


 テレビでワイドショーが始まり、何もしていなくても生理現象として腹が減る。

 昼食時だったが、俺にはテレパシーとやらの「テ」も訪れていなかった。

 

 まぁ、ただの妄想だよな・・・・・・

 一つ俺は、悲しい納得をして、一人夕食を作ろうとした。


――外食をしてください、そこでアナタは彼女と会います――


「ん?」

 コレが夢で言っていた命令か・・・・・?

 幸い今日は急な外食が許された、妹が文化祭で俺を除く家族全員が学校へ行っているからだ。

「ちっとお金がきついが・・・・・・まぁ、コレで金色になるなら安いよな・・・・・・」


 とはいえ、常灰金欠な高校生にはファストフード店が限界であった。

 そう、牛丼屋と言う。

 ちなみに、昼の牛丼屋にはたくさんのおじさんが居て、青年少年も少しいた。

 もちろん、今日も女子は一人も居ない。


――テレパシーでは、彼女つまり女と言っていた。しかし、女なここに来るわけがないっ!――


 語尾に、キリッ、と言う効果音をつけてドヤ顔をしてやる。

「ふふ、来るなら着やがれっ・・・・・・」

 コレは心のどこかで疑っていた。

 また、悪夢を見る破目になるかも知れない。例えば急に服が脱げたりして。

 もう新しい困難は必要ない、冒険者精神など脱げてしまった服のように落ちていった。

 それを拾って被る気は、無かった。



――どうだ?女子禁制の牛丼屋にでも来れるか?――


 無駄に勝ち誇る、冒険者精神の無い臆病な俺が。

 しかし、そんな偽りの勝利などすぐに破れ果てた。俺が豚丼を注文し、カウンターで食べようとした時だった。


「あ、健太か!?」


 勝利の豚丼が敗北の豚丼と成り果てようとする、そしてちょうど空いていた隣に一人の女が座る。

 女の声は、芯の強そうな強気な性格を持つソプラノボイス。

 最後の抵抗として無視をするが、隣に座った女は、牛丼大盛りを持っていた。

「う、嘘だろっ・・・・・・」

 女は優佳だった。


――いくら男勝りとは言えども、ここまで出現するとは・・・・・・不覚っ――


 絶対抵抗不可能、頭の中でアラーム音は甲高く鳴り逃げることをせがむ。

 しかし、豚丼、400円を捨てて逃げるわけには行かなかった。

 幸い、女が優佳であるから「術式」関連だろう。 つまり、あの「術式」だから、灰色高校生活の悪化は、無いだろう。

 それに悪化され尽し、もう次は無いという悲しい断言だった。

「久しぶりだな、元気だったか?」

 ぶっきらぼうな男口調で話す優佳、それに少し緊張する俺。

 場所、場所さえ違っていれば一組のカップルのようであった。

「元気、じゃないかった」

 アレ?

 普通に「元気だ」と言おうとして口がすべる。言い直そう。


――このまま、流れるままにしたがって、彼女の家に言って術式を使ってください――


 テレパシーだ。

 ・・・・・・優佳の家に行って術式〈脱衣魔法〉を使う。


(確かに、灰色生活ではないだろうが・・・・・・それは違うだろうっ!)


 頭の中が混乱する、テレパシーの声の主は何が望みなのだ?

「元気じゃないのか!?大丈夫なのか?ちょっとヴィーナスに見てもらうか?」

 少し言い直すのが遅れたので、優佳が反応した「元気ではない」発言に。

「え、ヴィーナスがなんて?」

 ここで言い直せばいいのに、流れに乗ってしまう。今更言い直すのも難しい、ここまで心配されてしまうと。

「じゃあ、精霊召還するから私の家に来てくれ」

 そうして二人は注文した丼を食べ終え、晴天の中、牛丼屋を出た。


 一般的な住宅街、その中の一般的な家。そこが優佳の家であった。

 家に入り、優佳の部屋にお邪魔した。すると女子特有のあの香りは、した。

 俺はそれに更なる緊張を覚えた。

 緊張で顔を赤らむ俺を背にし、優佳はヴィーナスを召還、ヴィーナスは少し赤らんだ俺を診て、優佳に俺の健康状態を伝える。

 少し赤らんでいたので風邪かと疑われたが、俺は健康だった。

「なんだ、大丈夫じゃないか」

 安堵と少しの怒りの混じった優佳の声。

 俺はここに来て感じた、何かをするために来たことを。いや、思い出したのか。

「何だったかなー、でも忘れたなー」

「何をだ?」

 俺は思い出したように、さっき言い損ねた夢の話を伝えた。

「なんだそれ?そのテレパシーの招待は精霊だと思うが、一応召還してみろ」

 言われるがまま、俺は精霊を召還する。

「・・・・・・出てこいやっ!ラウ何たら二世っ!」

 脳裏によぎるいい加減な召還呪文を唱えた。

「そんなのじゃ召還できるわけないだろうがっ!」

 頭をシバかれる・・・・・・おかしい、何かが違う。

 何で出てこないのか・・・・・・


――デュアル・マジカル――


「あっ!」

 その言葉が頭を掠める、

 その瞬間、全身体が「術式」を理解した。どうしたら召還できるかも、本当の「術式」の能力もだ。

「優佳、俺のマナを止めてくれっ!」

「何だ!いきなり」

 俺は事を急ぐ事態と思い、更に急かす。すると優佳は

「術式解放!」

 優佳の能力で体中のマナが止まる、ここで俺がすれば・・・・・・

「術式解放!でてこいっ!ラウっ!」


 目の前が、一度見たことのあるような湯気に包まれ、中からずたぼろのオッサンが出てきた。


「ど、どうしたんだっ!」

 俺が叫ぶ。


――アナタの、妹さんとの戦いに私は負けたのです――


 思いもよらない台詞をラウは発した。


☆回想☆


 ばたっ、力も無く健太は灰色の世界の灰色の地面に倒れる。

「健太様!」

 私は焦る。

 対魔女・召喚獣の人間の戦闘不能には。

「お兄ちゃんは私が手当てするから、とっとと消えてくれない?『能力屋』さん?」

 彼女、心と精神の魔女「ソラ」が言う。その言葉には、仮に戦ったとしても勝てる、と言う自身がみなぎっていた。

「なんだ、魔女?魔術なら私の方が上な筈だぞ?」

 しかし、戦闘は魔女と私だけのものではない。


――召喚獣の使用――


 召喚獣を使われてしまったら、普通の精霊族では手に負えない。

 しかし、私は魔法精霊だ。

 魔女と召喚獣を同時に相手にして、勝てると断言は出来ないが・・・・・・時間を稼ぐことは出来るだろう。

「そう?未だ魔法精霊は精霊のままだねぇ・・・・・・例えば、そんな楽観主義な所とかさ?」

 視界の暗転、さっき感じた焦りの増幅、身体のマナが吸われていく感覚。


――サイト・ナイトメア――


 闇属性の高等魔法であった。

 高等魔法とは精霊族、つまり召喚獣や魔法精霊と言った精霊が使えるものであって、決して魔女の使えるものではない。

 魔女には初等魔術しか使えないはずだった。

「ど、どういうことだ?魔女よ」

 そう聞いている間も私の身体は傷ついてゆく、精神が不安定になり口がまわらない。

「はぁ?決まってるじゃない、魔女も高等魔術が使えるようになったのよ」


 神は最初、魔術は人間に使わせないようにした。


 しかし、魔女と言う存在がそれを打ち破った。


 また同じように魔女が神の創った規則を打ち破るのか。


 マナが減ってゆく、ただひたすらの暴力。

 視界が戻る、どうやら私はもう、戦えなくなってしまったようだった。

「あははっ、魔法精霊が魔女に負けるなんてっ、ばっかみたい」

 嘲笑される、

「ほんと、私のお兄ちゃんの灰色生活を壊そうとしてさっ!」

 再び視界の暗転、

「まぁ、お兄ちゃんにセカンド・マジカルなんて使えると思ったアンタがバカなんだけどねっ!」

 再び嘲笑、視界が戻る、

「ええ?何とか言いなさいよ!?そんな風にしてると、いずれマナ無くなるよね?」

「神よ、天より振りそそ、」

「ははっ、そんなマナで禁術でも唱えるつもりっ!?」

「降り注げ、吾、全てのマナを差し出す、再び、大地にに裁きの鉄槌よ」


――インセプション・レーザー――


「ほ、ホントに唱えやがった!?」

 ソラは魔法を唱えるとは思わなかったのだろう、禁術であったからだ。

 しかし、それのおかげで灰色の世界は、無くなった。


「コレで世界が戻るなら、安いはずですよね・・・・・・」

 私は一人、つぶやき、意識を失った。


 再び意識を取り戻した、三日前だった。


――魔法精霊の魔女への敗北――


 禁術が不発だったのか、それなら私は死んでいる。

 禁術は中途半端に発動したのだ、

 私は絶望した。

 魔法精霊は魔女に対してだけは絶対であったと思っていたからだ。


 私は、どうして魔女がたくさんのマナを消費してまで三日と言う時を戻したか考えた。

 そして、最後の力で主人に伝えた。


――魔女は戦いを避けるつもりだ、だから魔女と戦うために、未来がわかる私に従え――


 魔法精霊を上回る魔女に生身の人間を戦わせるのは酷だ、しかしそれしか魔女を倒す手はない。

 最後のチャンスであった。

 私の身もそこまで長くもちそうに無い、そうして私はテレパシーを使った。

C編完成しました、かなり雑です申し訳ないです。


D編はC編での健太が全身体で理解した「術式」の本当の能力について書き、魔女と戦います。


予定ではE編、F編当たりで第一章を終了させる予定です。

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