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第一章A

☆今回のあらすじ☆

 健太はすでに衰弱しきっていた。

 変な能力に目覚めたせいで、ほとんどのものを失った。

 健太は思った、

「変に高校生活に期待しないほうがいい」

 しかし動きだした歯車は止まらない、健太の下に一人の美少女が現れ、そして健太を連れ去った。

 そこで、健太の知ったこととは!?


~前回までのあらすじ~

 健太はある日、能力を手に入れた。その能力とは、瞬間脱衣能力・・・・・・つまり一瞬で服が脱げるというトンデモ能力を手に入れた。

 特に能力に憧れがあったわけでもなく、面倒なことに巻き込まれた健太であった。

「はぁ・・・」

 俺は非常に困っていた、何せ無駄すぎる能力に目覚めてしまったのだから。


――瞬間脱衣能力――


 本当の名前はなんていうか知らないが、まぁそんな名前だろう。誰が使うんだよ、ほんと。

 憂鬱だ、いや鬱だ。何もする気がしない。

 しかもまだ、俺の憂鬱さを加速させるものがある、

 雨だ。

 季節は五月中旬、湿度の高い部屋で熱い。更には、雨で蒸しあがった風呂のような体育館での授業があった。

 まぁ、憂鬱さは加速されても、本来の憂鬱さの原因の方が大きいのだが。

「大方健太、大方健太は居るかっ!」


☆回想☆


――お前が部屋で全裸なのが悪い――


 九日前、妹は突如俺の部屋に現れ、俺の頭で怪力を使ってパソコンをアイスのように真っ二つに折った。

 その事を受け、俺は両親に新しいパソコンを所望した。

 その時の返答だ。


――お前が悪い、だから空にパソコンを買ってやれ――


 そして、俺はもう一度所望する。そう何度もしつこくだ。そのしつこさといえば、俺の嫌いな梅雨の雨並みにだ。

 しかし両親の返答は妹にパソコンを買うことだった。

 理由を両親に聞くと・・・・・・最早、雨が台風に変わってしまうような、現状悪化してしまった。


――空がパソコンを持っていないから、お前の部屋に入ったのだろう。だからお前は空のパソコンを買うべき――


 最早ここまで来ると回避不可能であった。人類が始まって以来誰も台風の軌道を変えられなかったように。

 翌日、両親は俺のゲームを全て売った。

 高校一年生でのバイトで俺の血と汗と涙の結晶を銀行券十四枚に変えてしまった。

 両親は空のパソコンを購入した、十枚であった。

 では、ここで問題だ。紙が十四枚ありました、十枚使いました、残りは?


 正解は、零枚だ。


 四枚余ったと答えたヤツ、お前は数学は出来るだろうが、俺の両親の行動パターンまでは読めなかっただろう。

 両親は、そう四枚の紙を・・・・・・食べてしまったのだ。

 いや、食べるといってもその四枚で温泉旅行に行くということなのだが。


 以上が「回想」だ。台風一家の直撃で、俺のゲームによって構築された城はぼろぼろになった。


 気がつくと目の前に、俺の目を疑うような美少女が現れた。彼女は確か・・・・・・俺は名前を興味が無いから覚えてなかった。

「おい、お前が大方健太か?」

 彼女はそう聞いた。俺は座っていたので、上目で彼女を覗きこみ、答える。

「そうだけど・・・・・・?何か用?」

「少し付き合ってくれないか?」

 ここで付き合うと、灰色な学園生活がどうなるだろうか。

 決まっているだろう、ただ黒くなるだけだ。

 最早俺には、押したくなるスイッチを押すような気力は無くなっていた。一度スイッチを押すと、もう怖くて押せなくなったのだ。

 今はただ、城を直すことだけに注力していたのだ。

「いや、もうだるいか・・・・・・」

 「ら」さえいえば、どうせこの彼女もどっかへ行くだろう。そして俺は城を直すため、

「そうか付き合ってくれるのだな。では、屋上へ行こう!」

 ・・・・・・お金を稼ぐ方法を考えることは出来なかった。


 雨が降っているので、定番といわれる屋上では無く、空き教室へ連れて行かれた。

 ここは別なことで定番だな、保健室や体育準備室と並んで・・・・・・


「それで何?俺に何か用?」

 少しの期待を持ちつつも、俺は平常を装って言う。しかし声は少し上ずっていた。

 言った後になり、気付き少し恥ずかしい。

「そうだな・・・・・・君はこの言葉を知っているか?」

 彼女の白い綺麗な右手が差し出される、折られて何が書かれているか解からない紙が差し出される。

 俺は紙を開く、


――術式解放――


 女の子らしい丸みを帯びた文字ではなく、はっきりとした文字からして、彼女のこの強引さが現れていた。

 そんな強引な文字で、俺が言いたくない言葉ナンバーワンが書かれていた。

 そこで恥ずかしさは緊張へと変わった。

 だが、どうしてこんな面倒に紙に書いて出すのか。

 答えは一つしかない。

「そっちはどうなの?」

 質問を質問で返す行為はルール違反だが、相手は強引に俺をここまで連れてきたのだから、まぁいいだろう。


――相手はこの言葉によって服が脱げるのだろう、恐らく。そして俺にソレを相談に来たのだろう――


 思いもよらない展開に俺はほくそ微笑む。その時の俺は、自分が冴えない高校生であることを忘れていた。

「ああ、知ってるぞ。私は『拒否』の能力を持つらしいからな」

「は?」


――『拒否』ってなんだ?――


 確かに俺も「瞬間脱衣能力」と言う自意識過剰な名前は付けはしたが・・・・・・コイツはそんなに服が嫌なのか?

「そうなんだ・・・・・・よく捕まらなかったな、今まで。」

「は?まぁ、確かに『術式』を持つ者で乱用をしたら捕まるだろうが、私の能力はどちらかといえば防御だぞ?」

 防御?

 確かに、全裸になっての開放感で自己の精神を『防御』すると考えるなら確かに『防御』だろうが・・・・・・

 強引な解釈に自分で気付き、少しの焦りが生まれる。


――もしかしたら、コイツ、俺に相談するのじゃないのか――


「へぇー、そんな言葉俺は知らないなぁ。では、俺も忙しいからここで。」

 俺は最悪の展開を回避するため、ここから立ち去ることを試みた。

「忙しいのか、ならば一度つぶやいてみてくれないか?『術式解除』と」


――目の前の美少女の服が脱げる、と言うことは無かった――


 最悪の展開、俺だけが脱衣能力者なのだ。

 更に、コイツはその能力まで知らないのだろう。知っていたら見せろとも言わないだろうから。

 そして仮に能力を俺が使ったら・・・・・・

「え、もう忙しいし、じゃあな!」


――こんな、誰も居ない教室で男子一人、女子一人で男子が全裸だったら何に見えるか――


 勢いよく、空き教室から出ようとする俺に、彼女は声をかける。

「じゃあ、コイツがどうなっていいのか?」

 教室を出ようとドアに手をかけた瞬間、彼女は悪魔のような笑みを浮かべ俺に一つのキーケースを掲げる。

 四つまで鍵がかけれるキーケースには、残念なことに一つしかキーケースがかかっておらず、持ち主がさびしい灰色人生を送っていることはよくわかる。

 つまり、俺のキーケースであった。

 そして一つだけの鍵とは、俺の家の鍵であった。


「いつ盗った!?」

「さっきの体育の時間にな。私も早退して、大変だったよ。逃げたかったら逃げなよ、雨の中で一晩過ごしたかったらの話だけどね?」

 目の前に悪魔が居た。台風でぼろぼろになった城にとどめの一撃を加えようとする。

 しかしっ・・・・・・全裸にだけはなるわけにはいかなかった、どうせこの悪魔が全てを知っているわけもないのだから。


「そういえば、君はご両親が旅行中のようで家は妹さんと君だけだそうだな。しかもその妹さんが超反抗期らしく、本当大変だな」

「ど、どうしてそれをっ!」

「ふふっ、ソレは君が『術式解放』してくれたら言ってあげようか・・・・・・」


 どうやらこの悪魔は俺の家庭のことまで知っているそうだ。


 少し考えて俺は意を決した。

「術式、解放」

「術式解放」

 俺がちょうど『術式』言った瞬間に、彼女は俺に触れた。そして、俺と同じことを言った。


・・・・・・服が脱げない・・・・・・?


「ほぅ、『拒否』の能力は本物だったようだな」

「は?」

 俺は唖然だった、全裸にならなかったのだから。悲しいが、全裸になると思っていたのだから。

「紹介が遅れた、私は荒井優佳だ。二年三組だ。お前は、大方健太二年一組だな?」

 恐らく俺の家庭の事情まで知ったいた、彼女のことだ、どうせ調べたのだろう。

「大地に眠る精霊たちよ、今一度私の元に現れよ」

 不意に優佳がつぶやく、すると目の前がまぶしくなる。


 目の前に、一人の美しい、まさに水のしたたるなんとやらな美人だ。年齢は二十台後半といえよう。


「コレが私の精霊だ。名前は、クリスタル・ヴィーナスだ。」

 優佳が紹介するとそのヴィーナスさんは少し弱弱しく、彼女の横に立った。

「精霊ってなんだ?」

 何も知らない俺は、優佳に聞く。

「お前は、もしかして本当に『術式』を持つ人間なのか?」

 最初は優佳が言い始めたのじゃないか、と言う矛盾には突っ込まないことにして無難に答える。

「あ、ああ多分ソレ持ってるんじゃないかなーって」

「確かに優佳様、この者には能力を感じます。それも途轍も無く大きいものを」

 ヴィーナスさんのことば、なんか占い師みたいだな。

「そうか、ならば一度精霊を召還してみろ。そうしたら、『術式』について説明してやる」

 それに対して、優佳は・・・・・・見た目通りな話方だ。

「精霊の召還って・・・・・・さっきの恥ずかしい台詞言うの?」

 優佳の顔が呆れから怒りに変わる。

 半ば、頭に電撃のような光線がよぎり、相手の行動が見える、見える、恐らくコイツは俺を殴ろうとするだろう。

「大地に眠る精霊たちよ、今一度俺の元に現れろ」

 細かいところが若干違うが、大体内容が同じだったらいいだろう。

 すると、湿度が異常に高いわけでもないのに、目の前に霧、いや煙、湯気らしきものがたつ。

 この登場の仕方にデジャブを覚えたが、そんなもの闇に葬り去って消えてしまって、何もかもをリセットしたい。


――目の前に、再び例のオッサンが現れた――


「お呼びですか?健太様」

 まぁ、そうだろうな。かすかな期待も失せた。

「ハハハっ!どうやら、コレがお前の精霊のようだな。お似合いじゃないか、そのお前の死にそうな目もな」

 俺までけなされてしまった、優佳のような怒り顔にはなれなかった。

 すると、優佳もバツが悪そうにする。

「ヴィーナス、じゃあ、この『術式』生まれた原因を教えてやれ」

 優佳はごまかすように説明をさせた。

「はい、それではお教えします。」

 言われる通り、ヴィーナスは説明を始めた。


「まず、最初に優佳様とアナタには能力があります。『術式』といわれる能力です。まぁ、世に言う超能力の一種だと思われてもかまいません。

 詳しい原理の説明を省きます。そして、この能力を使う目的ですが、それは魔女を倒すことです。

 性格には魔女の召還する獣『召喚獣」を倒すことが最終目標です。

 優佳様の『術式』においては、触れたものの『マナ』の流れを止める能力があるため、召喚獣に数秒間触れ続けると、普通のものなら倒すことができるでしょう。」


 ここで優佳の、その『術式』とやらの説明を聞いた。

「あと、私の術式はマナの流れを止めるから他人の『術式』自体も止めるんだよね?ヴィーナス」

「はい、そうでございます」


 へぇ、そうなんだ。


 うん、そうなんだ。


 ・・・・・・アレ?


――何かおかしくないか!?――


 それに比べて俺の能力なんか、虫けらじゃなくて最早戦力外でもない・・・・・・空気だった。

「じゃあ、アンタ、健太の能力はどうなのよ?」

「ええっ?」

 今戸惑ったのは二つ理由がある。

 一つ、いきなり健太と呼び捨てにされたから。

 二つ、脱衣しかしない術式であることを悟られるかと思ったからだ。


――今は、全裸になりたくないっ!――


 どうせコイツは『術式』を使えというのだろうが、今は強く願う。

「ん、難しいのか?」

「ああ、そうそう、超難しいんだよ。まぁ、こんなところで披露できるものじゃないってことだな」

 間違っては居ないはずだ。

「じゃあ、仕方ないな。では、今日は解散とするか。また今度な」

 あれ?

 優佳はそのまま空き教室から出て行った。

 残った俺と、何も話さなかったオッサン精霊が空き教室で取り残され、チャイムが鳴った。


「どういうことだ?」

「それは、恐らく『魔術』が働いたのでしょう」

「う、うわっ!」

 いきなり、オッサン・・・・・・ラウが話だした。

「そんなに驚かなくても、アナタの『術式』は最強にして最高のものですから」

 男の脱衣が最強にして最高かと思い、背筋が凍る思いをした。

「そういえば、アナタまだ『術式解放』を行っていませんでしたね。それをしないと、マナを放出したままですよ」

 意味が解からないが、質問も兼ねてつぶやく。

「術式、解放?」

 すると質問をする前に、目の前のオッサン精霊が消えた。


 俺は『魔術』と言う言葉が気になったが、もう授業はとっくに始まったので教室へ戻ることになった。

よければ感想待ってます。まだまだ、稚拙で申し訳ないですが。

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