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星のアスクレピオス  作者: 面沢銀
前半パート  星へと至る予選編
5/66

バカとハサミは使いよう、ハサミの立場が可哀想。

その3

  バカとハサミは使いよう、ハサミの立場が可哀想。


 それで気持ちが切り替わったとか、戦いたくて仕方がねぇ! といった戦闘民族的な思考が唐突に生まれるわけでもなく。 むしろしっかりとお互いを認識しあったからこその気まずさというか、小中学生の頃に無理矢理に男女ペアにさせられてしまって変に意識してしまって上手く喋れないっていう感情がこみ上げてくる。

 何というか恥ずかしいのだ。 それはそうだ、とんでもない状況下というか設定を盛られたとはいえ、そこは年頃の男の子。

 同年代の女の子をいきなり呼び捨てにすれば、ホストでもない限りそんな気持ちが少なからずは沸き上がるだろう。

 そう思って目を伏せていたのだけど、ちょっとあさぎの顔を見たらあさぎも同じような感じでモジモジしていた。

 いやいやいや、お前がそうしろと言ったんじゃねぇのか。

「あ、あ、あ、あのさ!」

 キョドっていた。

 酷い狼狽ぶりだった、目も泳ぎまくっている。

 何だろうこの豹変は、人の部屋のズカズカと入ってきた傍若無人の堂々たる態度はどこにいったのだろうか。

 だけど良い反面教師になってくれた、俺はこうはなるまい。

「お、お、おう! な、な、な、何だ?」

 前言撤回、俺の方が酷い有様だった。

「えっと、私が今までに。さっきもだけど、倒した敵のEXPと初期ボーナスのEXPがある程度入ってると思うんだ」

「ん、どうすればいいの?」

「メニューにステータスってあるでしょ?」

 スマートフォンを見せながら丁寧に指を指すあさぎ。

 勢いはとんでもなくあるくせに、変に常識人で丁寧だ。確かにメニュー画面の右上にステータスというアイコンがあって。

 そこに触れてみる。

 察するに俺のステータスの初期値はこうだった。


 ****座


 生命力 10 E

 攻撃力  6 E

 防御力  5 E

 特性力 22 D

 回復力  7 E


 特殊能力 *******(7)

      *****(4)


 残りボーナスポイント 15



 肝心の星座の名前が文字化けしていた。

 星座の恩恵がどうのこうのとあったので、俺にもあさぎにも何らかの星座がついているのだろう。

 そういう意味で、何かこう伏せられていると気になるし。きっと自分が何の星座か知る事が戦いの大きな鍵を握っていると俺は踏んだ。

「あ、どこか一つをランクCにするか、どれか二つをランクDにすると星座の名前がわかるよ。今のとこだけど20を越える事にランクがあがるみたいで、EからDにあげるのは誰も倒さなくてもいいみたい」

 的外れな予想だった。

 何だよ案外簡単に星座を教えてくれるのか、それなら最初から伏せらないで開示してくれよ。

「経験から何だけど、初期値は五十の振り分けでそれぞれの星座で違うみたい。星座がわからないと特殊能力もわからないし早めに開いた方がいいと思う。私が前に勝ったのだってそのルールに気がついてない奴だったし」

 なるほど、と思いつつも気にかかる一言だった。

 前に勝った。

 つまり、その言葉の意味は。

「もうあさぎは少なくとも一人殺したって事か?」

「うん、殺したよ?」

 しれっと当然の事を言ってきた。

 さすがに心臓の鼓動が早くなる。

 考えてみれば、考えなくてもこれはとんでもない事だ。 いや、確かにあさぎは言っていた「パートナーでなければとっくの昔にぶっ殺してる」と。

 そうだ。

 これはそういう戦いだ。

 殺そう、ではなく殺すという意思であり。

 それは自分を殺すという事とも同義だ。

 殺さないから殺されないという事はなく、殺すけど殺されないという事もない。

 殺そうとしてくるけど、殺そうとはしないなんてぬるい考えではダメだ。

 気持ちを切り替えろ。

 緊張感を持て。

 モラルを捨てろ。

 頭の中で自分にそう言い聞かせる途中で、ふと思う。

 モラルって何だ?

 人殺しは良くない、では何故良くないのでしょうか?

 なんてよくある道徳の授業じゃあるまいし。

 殺人犯だからといって死刑にするのは良くないといったズレた人道主義者じゃあるまいし。

 こんな殺し合いなんて良いはずない。

 しかしながらパートナーという抑止力があるからこそ、上下もなければ主従でもないのだ。

 これを止めるために戦うなんてヒロイックな健全な道理は通りはしないのだ。

 パートナーの願いを叶えるために戦う。

 そういう意味では良くできたルールだ、そんな事を考えていたらパートナーに殺される。

 パートナーと合流し、一日が過ぎるまではペナルティーは無いというのも恐ろしいまでに良くできた一文だ。

 パートナーとして合意できなければ殺しあえって事だろう。

 人間としての嫌らしさと、野生の弱肉強食の世界をミックスしたような感覚だ。

 人の感覚としては間違っているが、世界の理という感覚で考えれば殺される方が悪い。

「おっけー、落ち着いた」

「大丈夫、考えてる事はわかるよ。私も最初は考えた」

 あさぎはそう言って、何というか。

 どう表現したら良いのか。

 見通して、見透かして、それでいて同情も哀れみもせず。

 俺にそれを自覚させるような。

 覚悟を自覚させるような。

 僅かに俺に残っている良心とか常識とかをぶっ壊して狂奔に駆り立てるような目。

 きっとこの目線を俺は生涯忘れる事は無いんだろうなと確信させるそういった類の物。

 あさぎは自覚がないだろうけど、俺にはそういうのは、俺でなくてもそういうのは解るもんだ。

 とんでもないぞこの女。

 この女は俺のこれから持つであろう罪悪感も肩代わりするつもりでいる。

 自分で「私の気持ちは、感情は私の物!」と啖呵を切っておいて、俺の持つであろう負の感情は持たせない気でいる。

 殺すだけじゃない、そういった覚悟を内包した目だ。

 いったいどういう人生を送ってきたらこんな目ができるようになるんだろう。

 飲まれた。

 呑まれてしまった。

 それだけでちっぽけで酷く一般的な俺のモラルはとりあえずどっかに行ってしまった。

 強い女だ。

 強すぎる女だ。

 ならば戦う話を進めなければならない。

 今の俺ができる最低限のお返しだ。

「じゃあ、あさぎはもう自分の星座は解ってるんだよな?」

「う!?」

 感心を通り越して感動まで覚えたというのに、あさぎはそれを台無しにするかのように顔をびくんとひきつらせて、似合わない愛想笑いを浮かべる。

「何の事かね?」

 しかもしらばっくれた。

 刑事ドラマで犯人が動かぬ証拠を突きつけられたにもかかわらずにとぼけてみせるようなしらじらしさだった。

「いや、パートナーの星座が何なのかは知っておかないとまずいだろ。俺だって今から理解しておかないといけないんだしさ」

「それは……そうなんだけど……笑わない? ってか驚かない?」

「笑うような星座ってあったっけ?」

 八十八組百七十六人って事は俺も初めて知ったけど星座の数は八十八個あって、各世界でその星座の人が一人ずついるって事だろう。

 それくらいの予想は俺だってつくけど、はたしてそんなトンでも星座なんてあるのだろうか。

 そんな疑問をよそにスッとテーブルに置かれたあさぎの端末のステータス画面はこうなっていた。


 エリダヌス座


 生命力 12 E

 攻撃力 41 C

 防御力  3 E

 特性力  3 E

 回復力  5 E


 特殊能力 リゲル(3)


 残りボーナスポイント 1



「………」


 マイナーな星座だなとは確かに思った。

 でも、それ以上おかしいのはステータスの割り振りだ。

 なんだこの攻撃力は!?

 確か五十が初期値で十の最初の振り分けと言ってたよな?

 今の俺の数値が十八残っているという事は高いところからマイナス十八するしかない。

 いや、ここに一残っているんだからさっきのあさぎが倒した敵が一という事だろう。

 四十四から十七引いて最低でも二十七か。

 俺の初期の特性値が二十二だから、それくらいはあるのか。

 いや、さすがに攻撃力に全部振るって事はないだろうけど。

 最初から攻撃力のみに突出していたのはわかるし、他の奴がどれくらい数値の重要性があるかはわからないが、少なくても生命力が重要なのはパッと見でわかる。

 にしてもこの振りわけには問題があると思うのだけど。

「ど、どう?」

「どうって言われても……バランス悪いとしか……初期値ってどうだったの?」

「攻撃力が二十七であとはそこに全部振った……」

 まさかの全振りだった。

 真っ直ぐで凄い女だと思った俺は正しかった。

 真っ直ぐで凄い馬鹿だ。

「何で! どうしてそういう事するかな!? いや、俺もまだこの数値とかよく解ってないけどさ。防御力三とか問題じゃないの!?」

「あのね千鶴」

 キッとあさぎは本当にさきとは別人なんじゃないかと思える目力の無さで反論する。

 おそらく、攻撃は最大の防御とか言い出すんだ。

「攻撃は最大の防御って言葉を知らないの?」

「知ってるけども、それとこれとは全然ちげぇだろ!」

 わかってたけど突っ込んだ。

 真っ直ぐで凄い馬鹿から改め、真っ直ぐで凄いとんでもない馬鹿で無鉄砲だ。

 森の石松かこいつは?

 その考えは最終的には死ぬじゃねぇか。

「いや、もうこの際だ。それはどっかにおいておこう。えっと何?まずエリダヌス座って何だ、聞いた事ないぞ?」

 そもそもマイナーな星座だ。

 自分の星座がわからない以上、ここを強く突っ込みをいれる事はできない。

 俺だって俺の知らないトンでも星座を告げられる可能性があるのだからここで強気にはなれない。

「そうそう、聞いてよ私もこの前調べたんだけどさ」

 そうか、ランクDを二つにするかどれかをランクCにするかしないと星座がわからないって言ってたな。

 じゃあ、わりと最近まで自分の星座を知らなかったって事だよな。

 DからCになるにはさらに二十必要でおまけに誰かを倒さないといけなかったっていうのに。

 いつから戦い始めたのかわからないけど、よくもまぁ今まで生き残れたな。

「何かカッコつけて乗れもしない馬車を走らせたら制御不能になって馬車ごと川に落っこちたって逸話のある星座よ」

「ロクでもねぇ話じゃないか!」

 だけど少し納得する。

 なるほど、らしい星座だ。

 つまるところ人の性格によって星座が決まって、星座によって初期値が決まるって事だろう。

 そういう意味では確かに星座は知っておいた方が相手の対策や性格がそれとなくわかる。

 それは重要な情報だ。

「何よ、そんなに言うならアンタのも見せなさいよ!」

 言われなくてもそのつもりだった。

 文字化けしているけど4文字の星座って事は間違いないだろう。

 少し楽しくなってきた、ぱっと思いつく四文字の星座はペガサスとかオリオンとかだ。

 あるのかはわからないけどドラゴンとかそういうのも悪くない。

 そんな思いを走らせるけれど、俺はおいそれと数値を考えなしに振る気は無い。

「十五あるわけだけど、特性値に全部振ったとしてもCにはできいからどこかをDにする必要があるわけだが」

 そこで気がついた。

 Dを二つにしないと星座がわからないという縛り。

 これはよほど上手くしないと最初からはできない条件だ。

 解放条件を知っていたからこそ、俺は突っ込みをいれたわけだけど。

 その実はこの配分はかなりえげつない。

 例えば俺の場合だ。

 俺の場合は特性に最初から22あるのだから、もう一つ20のDにするには生命力に初期値の10を全部振らないと星座は開示されない。

 星座の初期値はそれぞれ違うとして、あさぎだって最初から星座を開示させようと思ったら生命力に8を振らないといけないのだ。

 そもそもの話としてバランスを重視する人間ならば俺のステータスの場合は比較的に低い攻撃力と防御力に5ずつくらい振ってしまうだろう。

 少なくても条件を知らないならばそうしてしまう真理がある。

 仮に全部をあさぎのように振ったとしても、俺の場合だったら生命力以外に全部振っても20には届かないから星座は開示されない。

 星座が開示されなければ特殊能力も使えないというのもポイントだ。

 公平でいて公平でない状況なのだから、特殊能力がステータス差を覆す重要なファクターであろう予想はつくから開かない事には話にならない。

 あさぎは気がついてない奴と言っていたが、気がつかないのは普通だ。

 むしろそこに気がつくかどうかが最初の段階の生存の分かれ道だろう。

 この戦いは予選と決勝の2段階なんてシンプルな話じゃない。

 予選の時点で天気図のようにその姿を逐一変えていくそういう物だ。

 そういう物であるのに、この馬鹿あさぎはまるで気がついていやがらねぇ。

「十五もあるんだから防御力に全部ふれば二十じゃない。千鶴が私の盾になって私が攻撃! おおっ! シンプルだけど超強そうじゃん!」

 確かに単純だし、単純だからこそ破られても応用が利きそうな戦術だよそれは。

「でも、それって俺が犠牲になるのが前提だよな?」

「我慢です!」

「我慢で死ぬ確率を上げたくねぇよ!」

「確かに!」

 マジかこいつ!? 本気で納得しやがった!

 つまり本気で俺を盾にしようと考えてやがった。

 だけどそうは言ってもあながち間違った事をあさぎは言ってない、これはタッグ戦なのだからパートナーの足りない部分を補うのが正しい。

 足りない部分。

 何か、戦いを準備するうえでのヒントはあるはずだ。

 そこで気がつく。

「あさぎ、この特殊能力の脇の括弧の中の数字は何だ?」

「ん、特殊能力を使うのに必要なポイント。特性力がいうならマジックポイントみたいなもんでさ括弧

の中の数字だけ減らされる。あと回復力はその名の通りよ、大きければ大きいほど体力と特性力が回復するわ」

 何でこんな大事な事を割り振りをするって話の前にしないんだ。

 いや、もうそこは諦めよう。

 こっちは疑問はどんどん聞いていった方がいい。

「じゃあ、あさぎのリゲルって何だ?」

「見せたじゃない? なんかこうね……ぶわーってなってガーって行く攻撃。最初はなんかただの体当たりぽかったんだけどキックに工夫したのよ。ちなみに発動するのは手元で操作した後に音声で認識するみたい。って説明にあった」

 そういって端末を操作してリゲルの項目を俺に見せる。



 リゲル 攻撃スキル

 自身の肉体に攻撃要素を付与して攻撃力値の1.2倍相当の高速の突進を行う。

 端末操作でスタンバイ状態となり、音声認識で発動。

 正規の破壊力が完璧に発動する射程距離は25メートルである。



 非常に丁寧な説明だった。

 数値の因果関係はわからないけど、この時点で発動して命中さえすれば50を越える攻撃力になる。

 最後まで使える手とは思えないが、初期においてこの表現に偽りのない一撃必殺だ。

 ならこれを活かす手はない。

 というか、これを活かさない事にはどうしようもない。

 戦闘方針はもう一方向にしかいかないのだ。

 そこでふと考える。

 やはり特殊能力は強力だ。

 ならば自分の特殊能力が気になる、それは単純な好奇心以前の問題で俺の特殊能力は消費が大きいのだ。


 一つは七で一つは四。

 一見して強力ではと思えるリゲルよりも消費は上であり、片方によっては倍以上だ。

 加えて俺の特性値の高さ。

 つまり特殊能力を使って戦うのが主な星座という事だろう。

 なら、手札は多く使えた方がいい。

「よし、決めた!」

「お、どうするの?」

 これは賭だった。

 二つをDにするという条件と、自分の特殊能力の強さを信じるという事が前提条件。

 特殊能力が使えそうにないものだったら、まるで無駄な割り振りで、この状況下でなければ俺はこんな振り方をしなかっただろう。

「回復力に十三ポイントあとは防御に二ポイント回す」

 攻撃力はこの際捨てていいだろう、防御に回すのはこの策が裏目にでてからでいい。

 最悪として今後はあさぎの言うように全部防御に割り振ってあさぎの盾になるのもこの際だから仕方あるまい。

「マジで! どうしてそこに振るのさ!?」

 あさぎは俺の断腸の思いをまるで理解してなかった。

 いちいち最初から説明するのも面倒だ。

「ちょっと! パートナーに相談も無しに決めないでよ!」

「それはこっちの台詞だ!」

 考え無しだったとはいえ、この戦いにおいてあさぎのポイント配分は正しい。

 ただそれは結果論だし、この馬鹿を今は正しいとは言いたくないのだ。

 それくらいは反抗してもいいだろう、仲良しこよしがパートナーのあり方ってわけじゃないし。

 そして俺の星座は開示された。



 蛇つかい座


 生命力 10 E

 攻撃力  6 E

 防御力  7 E

 特性力 22 D

 回復力 20 D


 特殊能力 ラス・アルハゲ(7)

      ケバルライ(4)


 残りボーナスポイント 0



 ラス・アルハゲ 回復スキル

 パートナーの生命力を十五回復する事ができる。

 操作で選択後に発声で発動、有効範囲はパートナーとの距離が五メートル以内。



 ケバルライ 支援スキル 

 パートナーの攻撃力を三割ほど引き上げる事ができる。

 操作で選択後に発声で発動、有効範囲はパートナーとの距離が7メートル以内。効果時間は一分三十秒。




「蛇つかい座って! 別に三文字で表現しても良くない? そういえば昔星座占いに一瞬だけ加わって消えたよね」

 脳天気な事を言うあさぎを無視して、俺は賭に勝ったと思った。

 まだあさぎは気がついていない。

 気がつくそぶりさえ見せていない。

 自分が言った事がまさか逆の立場になっているという事に。

「ラス・アルハゲって何かしまらない呪文だよね。言葉の最後がハゲって!」

「いや、そこを問題視するなよ。それと、他にはないのか? 例えばあのルールについて書いてある事の他に裏ルールめいた事はないのか?」

「ルール? さぁ……? だってあれって要約すると『パートナーがお互いの望みを叶える』『ゲームをやめるような願いとゲームの参加者の復活はできない』『あとはルール無用で戦って』ってだけでしょう?熟読しないと理解できないルールのゲームなんてクソゲーって相場が決まってるじゃない」

「みもふたも無い言い方するなよ!」

「それだけわかってればいいじゃない。無駄なシステムとか専門用語を使って奥の深さとか世界観を広げた気になってるのって私は好きじゃないのよ、戦闘空間とかそんなのでいいじゃない、何よホライゾンて! わかりにくいだけよ、馬鹿じゃないの!」

「そういう事を言わないであげて!」

 パートナーの星座がわかってテンションが高くなっているところ申し訳ないが、少し前にも思った事を改めて思い直す。

 パートナーの足りないところをこの戦いは補わなければならない。

 俺はこの愛すべき馬鹿の頭脳になってこれから戦わないといけないのだ。

 きっと今の俺は腕白坊主を見守る暖かいお母さんのような目をしていただろう。

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