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星のアスクレピオス  作者: 面沢銀
アバンパート 星にと続く導入編
1/66

何時始まったって? とっくの昔に始まってるよ?

お手元のスマートフォンを手にとってニヤニヤしてもらえるように頑張りたいです。

僕はスマートフォンを持っていないのですが。

二話目なでは導入になりますんで、物語が本格的に動き出すのは三話目からになります。

そのー1


 何時始まったって?

 とっくの昔に始まってるよ?


 


 彼が最近幸せを感じた事。

 父親が課長から部長に昇進したと年甲斐もなく嬉しそうに報告してきた事。

 母親が生け花のコンクールで入賞したと喜々として電話で語りかけてきた事。

 妹が一郎の末に希望の大学に合格したという報告を受けた事。

 最近、姉がウェディングドレスを着て幸せそうに笑っていた事。

 加えて離れていても温かな家族を持っている自分に対して、彼は幸せと感じた。



 彼が最近不幸に思った事。

 その家族たちが旅行において事故に逢い、全員死亡したという事。



 冬、彼はその報告を受けてから大学を休学し。

 そして何処にもでかけなくなる。

 扉は閉ざされた。

 季節は変わり春。

 いつものように虚ろな瞳で、起きていても半ば起きていない様子の彼が目を覚ますと、枕元に見知らぬスマートフォンが置いてあった。

 メールの着信が一件。

 何とも無しにそのメールを彼が開くと、簡潔な一文が合った。


「おめでとうございます。残念ながらあなたは星を巡る戦いに選ばれました。悲しい事ではございますが張り切ってご参加ください」


 まるで意味がわからない彼が、寝起きの頭で状況を整理しようとする矢先。

 彼の部屋のインターフォンが鳴らされた。

 荒々しく叩かれるドア。

 居留守さえ許さぬその乱暴な行為に彼は立ち上がり、そして。

 扉は開かれた。

 彼女は現れた。

 二人は出会った。


 かくして掃いて棄てるほどある無難な不幸を背景に。

 佃煮にしてもなお腐らせるほどに存在するボーイミーツガールの。

 ありふれた、汎用な、伝統芸能と言えるほど展開の決まりきった。

 お約束に満ち溢れた異能力バトルの始まりである。


 しかしながら、物語なんて得てして全てそんな物で。

 いくら画期的な展開と言われたところで、所詮は前述のレールに従ったものばかりであり。


 従わない物は、従わない者は。

 どうあっても淘汰されるのである。

 世界はそんなふうにできている。

 世界は損なふうにできている。

 それならば。

 そうであるならば。

 物語は何時始まった?

 

 だからこれは、星のアスクレピオスの物語。 

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