坂上真と言う男
今年の夏は暑い
だが、あんなうるさい蝉の声が今は嬉しく感じる。
だって、それがなければ
聞きたくないものまで聞いてしまうから。
15年前の連続児童殺害事件
当時12歳の男女9名を殺した事件。
よくある殺人事件、そう思っていたが、犯人はなかなか見つからず、今年の春、犯人は捕まった。
その名は坂上真
彼は容疑を認めている、そして、彼の話した殺人方法は、奇妙なものだった。
目をつけた者の個人情報を特定し、人のいない所を見計らい家に侵入し、首を括らせ自殺に見立てて殺す。
今年の夏、俺、四谷大輔は、そんな殺人犯の看守を任された。
奴の死刑執行まで15日。それまでの間の仕事だ
牢屋に誰かが連れて行かれている。俺の牢屋の方だ。
「こいつが今日からお前が見張る、坂上真だ」
坂上真、初めて対面したが、思っていた坂上とははるかに別人だった。
どこをどう見てもただの一般人で、どこか優しそうな雰囲気を出していた。
「こいつはこんななりだが連続殺人犯だ、気を抜くなよ?」
連れて来た看守がそう言った
「わかりました。」
短く、そう返事をした
昼が先輩の看守、夜が俺、と交代で見張ることになった。
飯を食べながら見張っていると、坂上は声をかけてきた。
「あなたの名前…なんでしたっけ」
「四谷大輔だ、坂上真、早く寝なさい。」
「四谷看守、あなたに頼みごとがあるんです。」
突然そう言ってきた。
「四谷看守…あなた僕が、無差別に子どもを殺しただけかとお思いで?」
急に聞かれ、少し考える
「いや、例え殺人犯でも何か理由があるんじゃないか?それがどうかしましたか。」
「僕は無差別じゃない。
全員大罪人だったんだ。
ですが、ただ一人殺し損ねた人がいる、僕の殺した子ども達の情報をできるだけ調べてください。
そうしたら、きっとこの事件の真相を知れるでしょう。
そしてこのことを白日の下にさらしてほしい。」
「……は?」
唐突の頼みで俺は混乱する。
聞かれる前は手紙のやりとりとかだと思っていたが、手紙どころじゃない、まだ警察に話していないことがあるのか?
「ちなみに、このことを他にしゃべってはいけません。昼が来たら自室に戻れるでしょう。
その時に調べると良いですよ。」
「………早く寝なさい、坂上真」
「わかりましたよ。おやすみなさい。四谷看守」
このやり取りから、まさか想像を絶するような闇が暴かれるとは、まだこのときは、俺自身も知る由はなかった。




