(日誌)演劇部のテンマツについておれのほうから。
演劇部はかつて伏魔殿だった——。
いろいろ考えた結果、これで始めることにした。
部活日誌だ。最後の部活日誌。
まあだれかに見せるわけでもないし。べつにやってもやらなくてもなんの意味もなくて。だからムダっちゃムダなことなんだけど。
なんとなくあの部のことは、どこかに残しておきたいと思ったわけで。
魔が差したってやつかもしれない。
突飛な一文から始めたのは、もしかしたらいつの日かこれを読んでくれるかもしれないだれかさんが、「おっ」と心を掴まれてくれることを期待した、精いっぱいのケレンミというやつだったんだけど、それはそれとして不親切な書き出しなのは事実なわけで、だからやっぱり説明がいる。
伏魔殿。さっき辞書で引いたら、魔物が潜む城、って書いてあった。あの頃の演劇部を表現するには、これ以上ないくらい打ってつけだろう。そう。かつて演劇部には魔物が潜んでいた。ギュウジってた。
演劇部部長、逢原朔。
魔物ってより魔女ってのがふさわしい。それが我らが演劇部の支配者だったお嬢様のご尊名。
やつの性格を一言でまとめるなら——「常軌を逸した飽き性」。たぶんこれに尽きるんじゃないか。
絶えず日常に渇き、刺激という名の潤いを求め、さまよう妖怪に近いなにか。あいつと中学からの付き合いである男の評価だ。ついでに性欲も人間離れしてた。これがまあ厄介で、底なし負けなし、ゼツのリンちゃんだったわけでもう……。
そんないろんな意味で魔人的な逢原さん家の朔さんが、子供みたくただ楽しいものを求めた果てに見つけてしまった特別な玩具、それがヒトだった。
ヒト。人。つまり人間。
たぐいまれな観察眼と、ちょっと引くぐらいの人心掌握術(漢字合ってる?)と、その他細かい小手先の手八丁口八丁でもって周りのやつらを上手いこと転がし、誘導し、とくべつ御しやすいヤツなんかは流されるままに支配された。ヤツは詐欺師の才能があった。
演劇部はその一環だった。魔女に骨抜きにされた奴らの集まり。部じゃだれも彼も逢原朔には逆らわない。楽しそうに配役につき、そうとは気づかぬままステージの上で踊らされた。ヤツからしたら、あんなのは人形遊びの延長だったんじゃないか。
でも遊びは長く続かなかった。
部は崩壊する。ほかでもない朔の失脚によって。あいつときたら、なんとまあムカつくことにやりたい放題したら突然遊び飽きたみたいに倒れて、そのまま入院、目を覚まさなくなってしまった。それでにっちもさっちもいかなくなって、そのうち部も自然消滅。
……ってのが、演劇部のテンマツ。
この一年のざっくりとしたまとめ。
こうして眺めるとアレだ。ほとんど朔の悪行をバクロしただけの気もする。でもあいつなしで演劇部のことは語れないし、勘弁してほしい。
後日談的に言うことがあるとしら、やっぱり残されたやつらについてだけど。うち何人かはなんとまあ親鳥を見失った雛鳥みたくなっちまって、今も見事にちゅうぶらりんなんだけど。
まぁ大丈夫だ。自分たちでなんとかする。知らんけど。
書きたいことはもう書き終わったんで、このへんにしとく。
俺もヤツのせいでいろいろ大変だったけど、これもいい機会だし(不謹慎かも)、これからはいろいろ自由にやってみようと思う。
そんじゃ。
記入者:御子柴哲郎。
文章下手なのは許してください。




