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第四話 それぞれの幸せな休日の朝

気が付けばたくさんの評価、ブックマークありがとうございます。

すごく嬉しいです。今日も頑張ります



「ふぁ~、久しぶりにお風呂に浸かったけど、やっぱ風呂はいいな~!」


僕はお風呂から上がり、浴室に用意していたお茶を飲み干す。

いや~水道代が勿体ないって思っちゃうからたまにしか入らないけど、この寒い時期だったら毎日入りたいぐらいだ。

まぁそもそも入るまでに浴槽洗ったりしなきゃなんないし面倒だから毎日入らないけど……。

しかし久しぶりの浴槽に浸かってまさかウトウトしてしまうとは……危なかったな。

確かお風呂で眠くなるのは気絶なんだっけか?

こんなんで死んだら死にきれなさすぎるだろ……。


ふぅ、さて、じゃあ髪乾かす間にオートで周回できるゲームでもしようか―――……ってなんだこれ?


―――――――――――――――――――――――


―燕尾先輩


予定、というのはもしやゲームだったりしないだろうか?- 20:23

もし一人でやるつもりなら、僕も一緒にどうだろうか? - 20:28

もちろん無理にという話ではない! できればでいいんだ - 20:35

   燕尾先輩 がメッセージの送信を取り消しました

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すまない、気にしないでくれ。 - 21:02

見てないよな? - 21:02

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返事はいつでも大丈夫だからな - 22:13

   燕尾先輩 がメッセージの送信を取り消しました

僕はもう寝るとするよ、 - 22:21


―――――――――――――――――――――――


え、なにこれこわぁ……。


あの先輩って暇人なの?

いやにしても送りすぎじゃね?

何か嫌なことでもあった??

気にしないでくれの前後に取り消しをしないでくれ気になるわ。


そもそも、どう考えたってあの人間国宝級の顔面を持っててこの逆転世界にいたら、モテモテすぎてやり取りする女の子だらけになって僕みたいな人にこんな連絡取れないんじゃないって思うんだけど?

まぁ僕が童貞だもんでわからんけども。

いや、でも燕尾先輩真面目そうだし一人の人に絞ってそうだよな~。

あの顔の先輩に選ばれる女の人ってどんなひとなんだろうか……。


ってそんなことより、こんだけ来てて返信を返さないのは失礼……いやこの時間に返す方が失礼なのか?

いやいや、なんか僕がゲームするって勘違いしてるみたいだしちゃんと答えないとだよな……って答える前に!

藍原さんから連絡は……おぉ!!!!!これは!!!!!!


―――――――――――――――――――――――


―藍原 唯さん


ごめんね? 迷惑、だったかな? - 21:19

他の女の人とかと約束とかあった? - 21:19


―――――――――――――――――――――――


これは間違いなく僕に向けていると言っていいよな!!!!!!!よし!!!!!!!

まったく……藍原さんは何を勘違いしているのか。

そんな心配するまでもなく陰キャの僕に女の子どころか友達もいない……いや、めちゃくちゃ連絡してくる先輩はできたけど、まぁこれはノーカンとしていいだろう、うん。


だがこれで!!!

確信が持てた陰キャの行動力を舐めるなよ!!!


―――――――――――――――――――――――


―藍原 唯さん


既読 22:38 - ごめん! お風呂入ってて……全然予定何もないです


―――――――――――――――――――――――


いやいや、陰キャなんてこんなもんですわ。

ほんと舐めるなよ、陰キャの行動力を。あるわけないだろ。


……とはいえ、最新で送ってきてくれてたのが21時だったからもしかしたら寝てるかもしれな、って既読早くね? 起きてたのか。意外と夜更かしするタイプ……ってそういえば藍原さんは結構ゲーマーだし夜までやってるってこともあるんだろうか?

にしても早すぎる気もするけど、こういうので僕みたいな陰キャは勘違いして痛い目見るんだよな。

ひどい話だ全く……。


―――――――――――――――――――――――


―藍原 唯さん


既読 22:38 - ごめん! お風呂入ってて……全然予定何もないです


ほうだったんだれ - 22:38


―――――――――――――――――――――――


……?

ほうだったんだれ……?

何かの暗号か……?

いや、普通に誤字だとしたら……。


ほうだったんだれ……だれ……誰って言ってるってこと?

存在を忘れられてる????? 

あ、消えた。

あ、また来た。


―――――――――――――――――――――――


―藍原 唯さん


   藍原 唯さん がメッセージの送信を取り消しました

ごめん! 誤字っちゃった! そうだったんだ!って!!- 22:39

陽太くんは何か買いたい物とかないの?- 22:39


―――――――――――――――――――――――


おいおいおいおい、美少女ってのは誤字まで可愛いってのかよ!?

どうなってんだよこの世の中はよォ。

しかもさりげなく僕の気遣いまでしてくれちゃってなんだこれ、この世界最高だな????


んー……けど別にほしいのなんて彼女ぐらいだしなぁ、ここで藍原さんとか言ったらどうなるかな。



……いや、やらないけどね?

普通に嫌われるかもしれないし、何より気持ち悪いだろこれ……。

買いたい物はって聞かれてるのに人の名前出すのはさすがに失礼すぎるしな。


しかし欲しいものか……あ、そういえば。


―――――――――――――――――――――――


―藍原 唯さん


22:41 - 今日話したバイト先で汚れてもいいズボンが必要みたいで、それが欲しいんだけど……

22:42 - でもそれは後で一人で買いに行くから大丈夫です


―――――――――――――――――――――――


バイト先で制服は上とエプロンだけみたいだったから汚れてもいい黒系のズボンがあるならそれを着てこいって言われてたな。


……なんか、普通にやり取りしてるけど。

これ、相手はあの藍原さんなんだよな?


……あれ、やばいぞ。

なんか自覚した途端にニヤニヤが止まらないぞ???


え、女の子と連絡取り合うってこんなに楽しいのか?

しかもあんなに可愛くて優しい女の子と????

ふぁ~~~~!


―――――――――――――――――――――――


―藍原 唯さん


じゃあそれ一緒に買いに行こうよ!- 22:44

明日何時からがいい? - 22:44


―――――――――――――――――――――――


マ ジ で ! ?

え! 僕のこんな個人的な理由の買い物も付き合ってくれんの!?!?

じゃあ僕と付き合ってくれんの!?

おいもう絶対僕のこと好きじゃん!!!!!

こんなん告白するべきだろ!!!!!

いけ!!!!! 遠野陽太!!!!!!!


―――――――――――――――――――――――


―藍原 唯さん


22:45 - 10時とかどうですか? 難しそうなら午後からでも大丈夫です

22:45 - 付き合ってくれてありがとう!ございます!


―――――――――――――――――――――――


ぐぅああああああああああああ!!!無理だあああああ!!!!

今の僕にはこれが限界だ……なんて恐るべし、告白ッ!


……いや、違うな。

これは僕の中でストッパーがかかってるだけだ。


告白をするのか、しないのか。

そう!!! これは童貞であるが故の揺らぎ!


それもこれもこの逆転世界という状況が原因で!!!!


……モテたことのない全思春期男子に問おう。

もし、男女の貞操観念が逆転した世界に来たらどうしたい?

悩むまでもなく、目指したいのはハーレムだろう!?


確かに美少女から好かれるという展開は既に美味しい状況ではある。


だがしかし、あくまで貞操観念が逆転したところとて正統に生きていれば付き合えるのはただ一人ッ!


藍原さんのような美少女と結ばれる可能性があるということは僕の中でも間違いなく最も悩むべくもない選択であることは頭では理解している……。


でも!!!僕の下半身の頭だけはどうしても理解を拒むんだッ!!!!!


願わくば色んな人となんかこう、あんなこととかこんなこととかしたいとッ!!!!!!


そう思うのは悪いことなのか!?!?

違うだろう!?


僕はただ、欲望に忠実に生きたい……。

でも美少女とも付き合いたい……。


藍原さんのようなもう二度と出会うことのできない美少女と付き合うのか。

はたまたこの特殊な逆転世界で色々な不特定多数と関係を持つような人を目指すのか……!


クソッ!!!!!!!!!!!!!

僕は一体どうしたらいいんだーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!




あっ、藍原さんから返事来てた……10時からでもいいのか……。

……やべ。てか燕尾先輩に返信してなかったな。


うん、考えてもまだ結論は出せまい……とりあえず返信して今日はもう寝るか……。


―――――――――――――――――――――――


―燕尾先輩


既読 22:49 - すみません、お風呂に入ってました!

既読 22:49 - 明日は出かけるのでゲームじゃないですよ!でもまた誘ってください!待ってます!

既読 22:50 - 今日はもう寝ますね! またバイトの時よろしくお願いします!


そうか、分かったよ、おやすみ - 22:51

ところで明日はどこに行くんだい? - 22:51

   燕尾先輩 がメッセージの送信を取り消しました


―――――――――――――――――――――――






朝。

それも、休日の朝。


窓の外から聞こえる謎の鳥の声を耳に入れ、僕は目を覚ました。

未だ半分しか開けることのできない眼で携帯を見ると、時刻は午前六時を示していた。


「うわ……楽しみすぎて早起きって……小学生かい……」


僕は再び携帯を操作して、連絡先に藍原さん、そして燕尾先輩の連絡先が入っていることを確認して安堵のため息を吐いた。


――これが、今の僕の朝のルーティン。

この世界に来てから一か月経つ今でさえ、この世界が実は夢の中なのではないかと思う時がある。

まぁそれはそれで仕方のない現実なのかもしれないが、それでもなお、毎朝思う。


「……やっぱ怖ぇな~……」


この一か月で僕が得られたものは、今までの十八年間よりも遥かに多いとまで言える。

今まで女の子とまともに話したこともバイトをしたこともなかった。


……はぁ、ま、今はただ、この世界に来れたことを謳歌しよう。

原因なんてどうだっていい。

ただ、これがもし夢ならば。

覚める前に色んなことをしないとな。


……って、さっき連絡先確認するときに見えたけど、また燕尾先輩結構送信取り消ししてんな?

あの人もしかして機械音痴とかそんななのか?

まぁ解釈としては一致するけど……えっと、なになに? どこ行くのかって?


あ~、確か藍原さんと待ち合わせしたのがショッピングモールだっけ。

『とりあえず昨日話してたズボン買いにショッピングモールに行きます』っと。


よし、まだ全然時間あるけど、初めての女の子と出かけるんだからやっぱり洋服とか良いの着ていったほうがいいよな?


つっても別に安いところで買った無地の黒シャツぐらいしかないんだけども……。

……うん、後で燕尾先輩にモテる服装聞いておくか。


さっまずは朝ごはん~っと。





朝。

それも、男子と出かける日の、朝。


窓の外から聞こえる始発電車の踏切の音で私は目を覚ました。

……いや、正確には、意識をハッキリさせた、だろうか。


時刻は朝の四時。

私はもう何度目かのコップに入れたホットココアを飲み、思う。


「……まさか楽しみすぎて寝れないなんて……私は小学生なの……?」


私は再び携帯の画面で、彼―――陽太くんとのやり取りを見て、思わず口元が緩んだ。


生まれてこの方十八年。

何度か男子と出かけることはあったけれど、完全なプライベートで、それも二人きりで出かけるなんて初めての出来事!!!!


こんなんもうデートじゃん!!!!???


っとと、危ない、こっちだけ気が逸ってしまっては引かれるかもしれない……。

あくまで冷静に、何事もないかのように振舞わなくては……んへへ。

いやいや無理じゃん? 

普通に下心ないとは言えないし、そりゃ二人きりで出かけたらワンチャンスあると思っちゃうし???

しかもあんなに可愛くていい子だよ!?!? こんな気軽についてきてくれるなんて大丈夫??

もしかして私のこと好きなんじゃないの??????

もう告白してもいいんじゃない????

っていやいや、告白してもし失敗したら死んじゃう……苦しくて死んじゃうよぉ……。


……うん、告白はあくまで確信が持ててからにしよう。

……その間に他の人に行くなんてことは私がさせないから絶対に成功させるけどね!!!


んへへ。いや~楽しみすぎるな!!!

アッどうしよう、もう一回お風呂入っておいたほうがいいかな!?





朝。

本来なれば清々しいはずの朝。


僕は携帯に響いた通知音に飛びつくようにして内容を確認する。


「……なんだ、ゲームのスタミナ回復か……」


僕がこんなにも通知音に執念にも近い感情を抱いているのは他でもない。

先日届いた彼からの連絡。


「出かけるって……一人で、か? いやいや、男友達とに決まってる……女であるはずはない……断じて……ない……に決まってる!」


そう言い聞かせること、数時間。

推しの男の子が休日にどこかに出かけるということを聞いて、寝られようはずもない。


しかし……。


「ふふ……ミナトくんが"また誘って"って……これは間違いなく僕のことが好きなのだろう……ふふ、かわいい奴め……」


昨日彼から送られてきた連絡の文面を見ながら布団の上でゴロゴロと転がる。

あっ、そうだ、後でネップリもしないと……スクショを撮って……ふふふ。


そうして転がり続けること数分。それは来た。


―――ピコンッ。


その瞬間。悶えていた男のようで美しい顔を持つ一人の女の子の反射速度は―――音速を超えた。

携帯の上部から現れた、何度も何時間も待ち続けた連絡を即座に触り、その内容に。


「ショッピングモール……ショッピング……? まさか……いや、そんなわけ……」


あまりの動揺に、心臓から送られる血液は加速し、脳が揺れた。

この時、もしかしたら男の子同士で買い物に行くこともあるかもしれないなどと考えるほど、徹夜明けの僕の脳は正常ではなかった。


信じられない。いや、信じられないのなら、確かめればいい。


何時に行くとか、どこのショッピングモールかはわからない。

しかし聞いてしまうと、"偶然"という言葉は意味をなさなくなってしまう。


だから僕は、自身の持つ知識を、知恵を、経験を、すべてを注ぎ込む。


「――バイト先があのカフェであるならミナトくんの行動範囲はこの辺りで、大学が水連なら――フフフ」


大丈夫。


僕とミナトくんは、信愛度マックスなのだからきっと―――。

【応援お願いします!】


「続きはどうなるんだろう?」


「面白かった!」


 など思っていただけたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!


 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!

 

 ブックマークや感想もいただけると本当にうれしいです。


 何卒よろしくお願いいたします!

 

 更新は"不定期"【AM1時】更新予定です!

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― 新着の感想 ―
 貞操逆転物は数あれど、このお話なら「ハーレム」よりも純愛を読んでみたいです……とは勝手な我が儘ですが。  取り敢えず、ギスギスハーレムだけにはならぬ事を願っております。
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