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第三十六話 VSプロゲーマー



「まずはこの人っす! すべてを見通す第三の眼!! 読みの正確さはまるで神域ッ!! 攻撃を受けるその一瞬が、最大の反撃の起点となる――!」


「動けば狩られ、放てば跳ね返されるッ! その瞳は未来を射抜き、その手は一撃の狩人――!」


「いまここに舞い降りるのはッ!! 《零距離の未来視》藍原唯―――ッ!!!」


ぜ、零距離の未来視!?

かっこよすぎだろ!!!!! うお~~~!!!


「さぁッ!!!! 会場の熱気もッ、準備もッ、すでに最高潮っすね! それじゃあ続いて―――」

「―――いざッ! この熱を刮目せよ!! 止まらない連撃、切れ目のない怒涛のコンボ! 流れるような操作に一瞬の迷いもない! 踏み込んだら最後――その手数、その火力、その圧力!! 常識を塗り潰す暴力的秩序ッ!!」」


「《百華繚乱の制圧者》内藤花蓮―――ッ!!!」


おいおいなんだよそれ!!

なんかもう言葉からしてヤバいっていうか……絶対強すぎるだろ!!!


「うおぉぉぉぉ……!!!」


と、僕の隣にいた観客たちは一斉に立ち上がり、うねるような歓声が会場を包む。


ドラムのビートと共に、鮮やかに舞い散る花びらの映像エフェクトがスクリーンに映し出され、

一筋の赤いスポットライトが、二人を照らした。


僕と同じ大学生。

ただの同じ人間のはずなのに、しかし堂々とそこに立つ姿は……。


王者という言葉が適切だろうか。


そんな歓声が舞う会場で、再び実況は叫んだ。


「さぁ! しかし、此度は何と!!! なんと、なんたる運命の差し金かッ!!! 彼女らに挑むのは! 総勢一万名の挑戦者の中の頂に上り詰めたこの二人――!」


場内の照明が一度すべて落ち、まるで深海のような暗闇に包まれた。

静寂。観客も僕も、思わず息を呑む。


そのとき。


「まずはこの人っす!! ――その動き、静かなる海の如し。思考の届かぬ先手をもぎ取り、冷静に最善手を取る様はまさに精密機械ッ!! 寸分違わぬ正確な操作だが、闘志はまるで獣ッ!! 触れた瞬間、勝負は終わる――」


「《零式》水無瀬 蘭―――ッ!!」


水無瀬さん!!!

誰か分からないケド、めっちゃかっけぇ!!!!

眼鏡女子最高!!! うお~~~!!!


「そして最後はこの女――ッ!! ゲームにボルテージを注ぎ込む、嵐の奔流!!」


バチンッ!!


と、先ほどまで暗かった室内が一転。

派手なスパーク音と共に、スクリーンが走るように光る!


かっけぇ~~~~~~!!!!


「高速操作! 瞬間対応! 全反応型の攻撃意思ッ! 彼女の前では事前対策など無意味――! 一つに囚われず、全てを極めるこの女ッ」


「《完璧人類》成宮 灯―――ッ!!」


か、完璧人類!?


そう呼ばれた女性―――成宮さんは派手な金色のジャケットに、綺麗な赤髪を揺らし、電気のように弾けるそのオーラが観客席までビリビリと伝わってくる。


成宮さんはステージに上がると、観客席に向けてニッと笑って手を振った。


その瞬間、まるでこの場所だけ地震があったかのように揺れ、耳を劈くばかりのラブコールがそこかしこから飛び交っている。


誰よりも目立つ登場であることは勿論だったのだが、その誰よりも会場の空気を支配する雰囲気に、僕は理解した。


彼女らは、ただの人ではないんだろうな……と。


事実。

成宮さんがステージ中央に立った瞬間、全体の空気がガラリと変わり、藍原さんと内藤さんですら、一瞬だけ表情を引き締めるのがわかった。


「……っすげぇ、なんだこの空気」


僕の背筋も自然と伸びる。

たった四人が並んでるだけなのに、そこが異次元の舞台みたいに感じた。


すると、成宮さんがゆっくりとマイクを口元に持っていき、微笑んだ。


「おひさ、花蓮。いや~! 予選もみんな強かったし、すごく楽しかったよ! ありがとう!」


その声は挑発でもなく、緊張でもなく――ただの世間話。

なのに、ぞくっとするような鋭さを孕んでいた。

一方の内藤さんは成宮さんの前で肩をすくめた。


「……あはは、まさかこっちも先輩二人が出てくるとは思いませんでしたよ。私はまだ正式に入ってすらいないってのにさ~!」

「ははっ、丁度いいから入団前に実力を見せてもらおうってことよ! ね、蘭?」


と、水無瀬さんは相変わらず表情を変えず、観客を一瞥したあと、淡々と答えた。


「えぇ、こっちとしてもあなたのことは見ておきたかった」


うおぉぉ!!

そうか、内藤さんの言葉からして、やっぱり彼女らはプロゲーマーなのか!!

初めてみたけどかっけぇ~~~!!


「ま、面白そ~ってのもあるけど、花蓮はこの場で実力を証明できるの? そこの彼女は見たことないけれど」


と、成宮さんはちらりと藍原さんに視線を向けた。

でも――。


「……もちろんですよ」


内藤さんは、静かに笑った。


「それに、油断していると、私ではなく彼女に喰われますよ~?」

「へぇ。なら、後悔させてあげる。わたしたちが今日をどれだけ楽しみにしてきたかをね――!」


成宮さんの言葉を皮切りに、場内が再び沸騰するような熱気に包まれた。


「それではッ両名揃いましたので、ルール説明を行うっすッ!」

「観客の皆さま!! 目を、耳を、魂を奪われる準備はできてますか!?」



すみません、体調不良なので今日は短めです。

明日以降通常通り戻りますのでご不便おかけいたします……!

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― 新着の感想 ―
お大事に。 全員女性なのは、この世界ではゲームは女子がするものだからかな。 ただ、ゲーム部が作ったソフトでゲーム部メンバーを相手にするのは習熟度の面から少し不公平に思えるけれど、それは現役プロのハン…
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