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第八話 サークル活動って、よく考えたらハーレムに最も近いものだと思いませんか?

前回、3人目の登場まで迎えられて良かったと思います。

これからもまた楽しみにしてください。頑張ります。



僕はグラスさん……まぁ連絡先の名前から察するに、おそらく笹草さん?との会話を終え、ベッドに横たわった。


ふぅ~、なんか最初はこの逆転世界について色々知ってる人かと思ったけどそういう感じじゃなかったか〜。……まさか厨二病の相手を勘違いしてしまうなんてなぁ〜。


……けど、厨二病とはいえ、あんな可愛い子と毎日の電話の約束まで取り付けてしまうなんて、僕はもうこれは初めて彼女ができてしまうんじゃないだろうか!?!?!?


いや、まぁ藍原さんとも正直付き合いたかったけれど……うん、考えないようにしよう!


……って無理だよぉ~~~!!


どうしたってあの人を気にしないなんて無理だよ!?

あんなに可愛いんだよ!?

僕とワンチャンあったかもしれないんだよ!?!?

……くっ、陰キャにも優しい天使のような人だったのに~……!


……はぁ、藍原さん……あの後どうしてたんだろうか……。


あ、そういえば連絡先持ってるじゃん……?

いやでもなんて送るんだ……?


"あの後予定大丈夫でした"、とか???

いやこんなん簡単に送れてたら十八年も陰キャやってないですケド??


う~~ん、別に僕が関係ない予定を聞かれても気持ち悪いだけ、だよな??

何か共通の……あっ。そうだ!


―――――――――――――――――――――――


―藍原 唯 さん


17:46 - いきなりごめん! 藍原さんってもうサークル決まってたりする?

17:47 - 参考に聞いておきたくて……


―――――――――――――――――――――――


うん! これなら自然に連絡も取れて会話もしやすいだろう!

しかもあくまで参考程度にって事だから答えやすい、よな?


……というか、さすがにもう燕尾先輩と付き合ったとかないよな……?

藍原さん誠実そうだから、誰かと付き合ったら異性の連絡先全部消しそうなんだよな……。


せめて既読がつけば消されてないとは思うし、まだ希望だけは残るんだけど……ってついた!?

やっば! 早く画面戻さないと……! っぶね~! 

なんか向こうが返してきたときにすぐに既読つけるのってめちゃくちゃ恥ずかしくない??

ていうか予定の合間に連絡してきてくれてるんかな!?

うぅ、優しさが心に響く……。


あっ、返信来た。なになに?


サークル決まってないから、えっと、明日一緒に見に行く……?


ん???


いや、読み間違えか?

えっと、サークルは決まってない。ハイハイまぁそこはいいですよ。んで?

一緒に見に行く?


一 緒 に 見 に 行 く !?!?


ど、どういうことだってばよ……?

いや落ち着け、言葉の通りだろう。


……ど、どういうことだってばさ……???


一緒に行くってことはそれはつまり一緒に行くってことだよな?

それってあれだよな? あの、一緒に、え????


………え????

もしかしてワンチャン継続モードっスか???







「えぇ~、では、これで今日の講義を終わります。レポートの締め切りを忘れないようにしてくださいね~」


そう口にする大学の講師とともに、五限の終わりを知らせるチャイムが構内に鳴り響いた。

講義室内にはすでに帰る準備を進める者やノートに講義内容を必死に書き写す熱心な者などそれぞれに分かれる中、僕は講義室の中央端の固定席で微動だにせずにいた。


一見して講義内容をしっかりと聞く学生に見えているだろうが、正直一切覚えていない。

だからレポートもやばい。

しかし、それよりもやばい状況がこの後に待っていると思うと、それすらどうでもよく思えた。


……そう、今日は―――!


「さ、じゃあ行こっか? 行けそう?」


隣の席の美少女、藍原さんはそう言いながら、まるで少女漫画のようにこちらに振り向いた。

あっ、良い匂いっ。

でもなんだろう、僕がこんないい思いをしていると感じるたびに、あのイケメンの顔が浮かんでしまうのは……。

くそうっ、可愛い子のこんな些細な匂いも、イケメンならさぞや十分に堪能できるんでしょうねっ! へっ!


っとと、今は悲観的なのが伝わっちゃいけない……。

今だけは! 今だけは僕と藍原さんの幸せな時間なのだから!!!


「はい! えっと、最初は確か、"美術研究会"でしたっけ?」

「うん! 一応"美研”の知り合いから代表者に話し通してもらってるから行ってみよっか! ……って、学館の場所は……わかんないよね~! 案内するから行こっ!」


……うん、なんていうかアレだな……。

久しく感じてなかったけど、やっぱ藍原さんてめちゃくちゃ陽キャだよな……。


なんだあの”行こっ”って……アニメでしか見たことないよ、あんな可愛い仕草。

もしかしてここが最新の4DXの会場ですか???

もしかしてすでに美術研究会の美術に惑わされているんですか??

は~~~~~可愛いなぁ~~~~~。


「……? どうしたの?」

「あっ、いや、なんでも……行きます……!」


燕尾先輩にはあとで話を聞かせてもらおう……。

問い詰めてやる〜!!!







「おぉ~~~~!!! すっごー!!!!」


僕が入った大学の敷地内外には、大学が保有している建屋がいくつか存在している。

講義室や研究室がある棟であったり、セミナーや講習会、演奏会なんかをするホール会場もあるが、その中でも特に異彩を放っているのがここ、"学館"こと、学生会館。

僕の通う水連大学と、その近くにある確か燕尾先輩が通っている鳳仙大学が共同で保有している建物で、外観としてはマンションに近い、というよりほぼほぼマンションだ。


そしてその数々の部屋では、主に文化系の研究会が活動したりしており、今がちょうどサークルの勧誘の季節だからか、玄関付近では新入生歓迎の垂れ幕や看板がそれぞれのサークルの名とともに展示されていた。


「かっけ~~~! あ、藍原さんはここに来たことあるの?」

「う~ん、私も実は中に入ったことはないんだよね~! 案内してくれる人がいないと基本中に入れないからさ……多分そろそろ来ると思うんだよね」


藍原さんの言葉に、僕は少しほっとした。

だって、こんなサークルだらけのところに美少女が行ってたら、いくら逆転世界だとはいえ速攻で先輩に狙われるじゃないか!!

……いや、現に燕尾先輩に取られてはいるんだけど、なんかまだイケメンだから許せてるだけで、そうでもないチャラ男とかに手出されたら僕はもう……もう!!!!


頼む……知り合いは女の子であれ―――っ!

そう願うのと同時、内部を案内してくれる先輩とやらが現れた。


「あ、いたいた、藍原さん! それと、遠野くん、だっけ?」

「あっ、森先輩! 今日はありがとうございます!」


既に姿が見える前に、声からして結果はわかっていた。

だがしかし、それでも見るまでは確信は持てないッ!

てやぁああああああああ―――。


「あっ、あの、初めまして。と、遠野陽太です……」

「うん初めまして~! 美研の三年で、森 美鈴(みすず)っていうんだ~! 最近は実験とかであんまり参加できてないんだけど、一応この美研の代表者だよ! よろしくね?」


オォウ、綺麗だ……。


目の前にいたのは肩ほどの髪の毛の毛先だけが少し赤い、赤メッシュ? のようなものを入れた、綺麗な女性の先輩だった。


そして滲み出る先輩感……イイッ。


「それにしても、藍原さんの話は聞いてたけど本当に顔可愛いね~? それに、遠野君も可愛い顔してるね~! ちょっと汚いところだけど、見に来てくれて本当に嬉しいよ!」


そして、僕はこの先輩を見て、今までの疑問が解消された。


……ハーン、なるほどね。

こりゃあ僕の元の世界で、三男に一女が虜になるわけですワ。

こんな余裕かましてる先輩に、そんな聴き心地の良いこと言われたらそりゃ好きになっちゃうよ。


え? ソースを出せって?

いや、だって僕もう森先輩のこと好きだし。


って、え、なに、なんかやけに見てくるけど……え、なに、両想いだったりします???


「それにしても、この人が藍原さんの……ふ~ん?」


え? 僕が藍原さんのなんだって?

なに、もしかして悪い評判とか!?

藍原さんの腰巾着とか思われてる!?


「ちょっ、ちょっと! 違いますから! ねぇ? よ、陽太くん?」


うん! 腰巾着じゃないよ!?

確かにまぁ、何もせずに甘い思いを享受しているのは否定しないけど!


「ふ~ん、てっきり藍原さんの彼氏かと思ったじゃん!」


ん? 彼氏? 僕が? 藍原さんの?

……あれ……なんだろう、この感覚……。

嬉しいんだけど、なんかこう……少し違うな……?

確かこれは高校の時のーーー。


「ほら、陽太くんも、言い返してくださいよ~!」


ーーー確かに、逆転世界だとそう思われることも普通、か。

……そりゃあ確かに言い返さないと、ですわな。


「はは、僕じゃ藍原さんには釣り合わないですよ~!」

 

まったく、僕なんかが藍原さんの彼氏と間違われるなんて恐れ多い。

そりゃ期待することも沢山あるし、彼氏になりたいと思うことはあれど、それを言葉にすることがないのはーーー僕なんかが何をやってもお互いに傷つくだけだと、知ってるからーーー。


それに、少し前なら僕も動揺していたかもしれないけれど、今は……はぁ。

藍原さんには燕尾さんっていうめちゃくちゃイケメンな人がいるからここで誤解させちゃうのは可哀そうだもんね……。


はぁ〜〜〜僕が本当の彼氏だったらよかったのになぁ~~~~~。


「ま、まぁとりあえず中を案内するよ! どこか気になるサークルがあったら気軽に私に声かけてくれたらいいからね!」


そうして、話の流れを断ち切るような森先輩の手拍子を合図に僕らが森先輩の後を付いていこうとしたその時、ふと森先輩が立ち止まって振り返り、僕の顔をジーっと見つめ始め――っ、え、なに!? うわ、まつ毛ながっ! 毛穴どこ!? ってそうじゃなくて!


「なっ、なんですか……?」

「う~ん、なんか遠野くんの顔どこかで見たことある気がして……でも気のせいかな~ごめんね!」


そういう森さんは片目を閉じて申し訳なさそうにそういった。


それはかわいらしさと色気が混ざり合って……なんていうか、三年生って……大人だ……!

ぐぅ………あれ、三年生っていえば燕尾さんと一緒、だよな……?


なるほど、アレが男の頂点なら、きっと森先輩は女性の頂点に違いない。


僕はそんなことを考えながらも、森先輩の後を付いて行ったのだった―――。







「さて! とりあえず一番初めは我らが美研ーー美術研究会かな!」


四階建ての学館の内部階段を上がり、二階に辿り着いた時、森先輩はそう言ってこちらを振り向いた。


ここに来るまでの道中で聞かされた話では、どうやら美術研究会には現在、水連大と鳳仙大の生徒双方含めた全学年で二十数名ほどで基本的には各々時間を見つけては制作に取り掛かったりしているそうだ。


そして多分、今目の前にいるこの人もーーー。


「ヤァ! 君たちが今日美研に入ろうとする若者たちかね!? ヨウコソ!」

「え、えっと……森先輩? この方は……?」


そう戸惑いの声を上げる藍原さんに完全に同意する僕もまた、狐の着ぐるみ……? を着ている、声からして謎の女の人の正体を知るべく、森先輩に視線を向ける。


「あ〜、この人は美研の中でも割と特殊な着ぐるみクリエイターの三年生、馬場さんだよ! 」

「ヤァ! 馬場だにょん!」


にょん……?


「大体初めてここに来る人がいると挨拶してくれる良い人……うーん、今は狐、かな?」


ほへぇ〜!

なるほど、着ぐるみクリエイターなんてのもあるんだ……いやマジで精巧だなこれ、本物の毛皮使ってたりしない???

てか鳳仙って芸大じゃないよな??


……にしても、馬場って多分、馬って書く馬場だよな?

……狐なんだ……。


「ウム! おっ、今君、馬場なのに狐なのかよって思ったネ!?」


オット!? 心を読める能力者!?

ってなわけあるかいな、笹草さんに影響受けすぎだろ……。


「そいじゃァ〜楽しんでってくれナ!!!」


そう言って狐の馬場さんは二足歩行で別の部屋に入っていった。

……なんか着ぐるみがリアルすぎて違和感凄かったけどーーー。


「さっ、美研恒例の洗礼も済んだことだし、順番に紹介していくよ〜! まずは一番わかりやすい油彩、水彩画からーーー」


なんかこういうのめっちゃ楽しいナ!?





「ーーさてっ、とりあえず美研はこんなもんかなぁ〜! どうだったかな?」

「「楽しかったです!!!」」


全てを案内し終えた森先輩の言葉に、僕と藍原さんの声が重なり、すこしだけ恥ずかしかったけれど、最早それが気にならないほどに凄かったとしか言いようがなかった。


「ふふ、それなら良かったよ! 私らも君たちの新鮮な反応が嬉しいからやってる部分もあるからそう思ってくれたなら狙い通り、かな?」


今回、美研として見せてもらったのは油彩、水彩などの絵画から、切り絵やコラージュなどの平面作品、着ぐるみや粘土細工といった立体作品などと多岐に渡る実績の数々だった。


特に僕が凄いと感じたのは粘土細工で創る彫刻だった。

まさに外国で見るような彫刻を、大きな粘土から削り、時には貼り付けたりして作成している様はこれまた厨二心を擽るね。

しかしあそこからどうやって最終を想像してるんだろうか……いやぁ、僕には絶対できないね……。


そういえば藍原さんは特に映像作品について目を輝かせてたな〜。

藍原さん、ゲーム好きだしそういう作品には惹かれるものがあるんだろうか?


……にしても、だ。


「あの、森先輩。す、少し気になったんですけど……いいですか?」

「うん! なんでも聞いて!」


おっ、可愛い、って僕はそればっかり……そうじゃなくて!


「なんか、思ったより女性が多いなって思ったんですけど……あの、男子とかは今日はいないんですか?」


そう。先の見学で様々なものを見せてもらったが、そこに関わる人は、特に女性の方が多く見かけられた。

男性が完全にいなかったわけではないが、それにしても数が少ないと思う。

……逆転世界の影響だとしても、美術に関していえば別に男女関係なさそうなもんなんだけど……?


と、僕の問いに、少しだけ森先輩が申し訳なさそうな、それでいて少しだけ言いにくそうな顔をしながら答えてくれた。


「あ〜……っとね、ちょっと前に、あの……よくある男女関係、っていうのかな……事件があって……男子のほとんどが消えちゃった……というか……」


……なるほど。

話には聞いていたけど実在するんだな……サークルクラッシャーって……。

逆の世界でも度々耳には入ってきてたけど、この世界では男子がそういう形になるわけだもんな……。


……ん? と、いうことは、だ。


「そうなんですね……っていうことは、今はあんまり男子はいない、んですか?」

「いやいや! いないことは、ない……けど、でも全然! 少なくても男子にセクハラとかする人はいないし、よくある飲み会に誘うとかもないから入る時は安心していいからね!!?」


……ほォ?

それはまた……フム。


ここに入れば……ハーレムになるのではなかろうか……?


美術に造詣が深い訳ではないが、勾玉作りとか好きだったし……アリ、かもしれないぞ?


「えっと、あの〜そしたらーーー」

「ねぇ、陽太くん! 急いで決める必要は無いし、後でゆっくり決めない!?」


ーーと、僕が言葉を発する前に、藍原さんが会話に割り込んできた。

うーーん、まぁ確かに藍原さんの言葉も一理あるな。

下手にサークルに入っても、実際その空気感に溶け込めない可能性も全然あるし、そうなったら陰キャの僕としては抜けるのも一苦労……。


さっすが藍原さん! 理解が深いぜ!


「うんうん、もし後で入りたいなってなったら私にまた連絡してくれたらいいから、そうだ! 連絡先交換しよっか!」


おっひょ……え、まじ???

いいの???

僕だよ???

森先輩みたいな美人が、こんな陰キャの連絡先入れて大丈夫なんです???


ってここは逆転世界じゃん!

僕の連絡先でさえ嬉しいんじゃないんですか!?


ほんじゃ! お言葉に甘えて、美人の先輩の連絡先いっただっきまーーー。


「はい! あっ、私が登録しておくから陽太くんに後で送るね!」


ーーーあっはい。オネガイシマス……。

……いや、まぁすぐに美人先輩のがもらえなくてもいつか手に入る上に、とりあえず藍原さんと会話出来る手札が出来たのはありがたい……か……?


「さて! とりあえずこんなもんかな! 私は少しここに残るから、二人とも自分たちで帰れるかな? ……うん! それなら夜も遅くなり始めてるし、気を付けてね! また来るのを待ってるよ!」


……あの、それちょっとまた行かないといけない雰囲気だからやめませんか……???

【応援お願いします!】


「続きはどうなるんだろう?」


「面白かった!」


 など思っていただけたら、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします!


 面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!

 

 ブックマークや感想もいただけると本当にうれしいです。


 何卒よろしくお願いいたします!

 

 更新は"不定期"【AM1時】更新予定です!

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 こんな余裕かましてる先輩に、そんな「耳障りの良い」こと言われたらそりゃ好きになっちゃうよ。  →  「耳障り」は、「耳に障りのある」という意なので、「不快な音、声」を表します。ですので良い耳障りは存…
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