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わからないのは自分のきもち

「ただいま」


 自宅に帰るとエマは不機嫌そうな顔でソファに座ってテレビを見ていた。


 夕食は各自で取ってくれと連絡を入れておいたので夕食は食べた後だろう。


「今日、クラス出るんじゃなかったのかよ」


「ああ、朝家を出るまではそのつもりでいたけど、帰るときに飲みの予定が入った」


「あの女か?」


「あの女呼ばわりはやめなさい。そうだよ、この間の件お礼したいって言われて……告白された」


「はあ?」


 エマは眉間にしわを寄せて乗り出した。


「いや、僕も何が何だかさっぱり分からないんだよ」


「そうかよ」


 エマの不機嫌な度合いはさらに加速しているようだったが、不機嫌である理由もまた分からなかった。クラスに行かなかったことというのは残業で行かなかった日もあるがこうはならなかった。


「いろいろあって疲れたので、今日はもう寝る。明日はクラスに出られると思うわ……」


 と言って、さっさとリビングを通って自分の部屋へと入った。もう何も考えたくなくなって、着替えたらシャワーも浴びずに歯磨きもせずにさっさと寝ることにした。








 翌日


 エマはずっといらだっていた。何がとエマに聞かれても答えることは出来ないがなんだかとてもイライラしていた。


 朝食も宗弥と一緒だったが会話は無く、それぞれの朝の準備を進めて出かけることになる。


 学校に行ってもその気分は変わらず、授業もまともに入ってこなかったのだった。


「人殺しそうな目をしているけど大丈夫? ブラックサンダーならあるよ」


 中休みにいつもの面々が集まって来た。


 エマは樹里からブラックサンダーをひったくると口の中に放り込み咀嚼する。気は晴れないがしゃべることは出来るようになった。


「は? 誰が人殺しだ。何人か殺した気がするけど、まあ良いや何か用?」


「殺したことあんのかよ怖」


 樹里は冗談と捉えて笑っているが、事実だった。


「どうせ宗弥さんとあの人になんかあって当たり散らかしてるだけでしょ?」


「そうなんですか?!」


 恵が断じて、香澄が驚いた。


 エマは反応を見られたくなくて顔を伏せたが、恵は楽しそうに笑っていた。


「当たりじゃん。何があったのよ話しなさいよ」


 恵に聞かれたので、昨日宗弥から聞いた通りのことをしゃべった。


「やっぱりあの人宗弥さんのこと好きだったんじゃん! いやー乙女の勘冴えわたりまくりだわー」


「ええ、やっぱりですか、でもなんかうまく行ったら絵になるのでそれはそれで素敵というか」


「なんで、エマは不機嫌になるんだよ」


「分からん」


 顔を伏せたままでエマは答えた。


「なんか逆に可哀そうになって来たから、言わないであげるわ」


 恵がエマの頭をなでながら言った。


「宗弥さんの事が好きってこと?」


「樹里、次のセリフで全部台無しにするな!」


 エマは恵の手首をつかんで引きはがすと、顔を上げた。


「そうじゃない、そうじゃないけど、イライラするんだ」


 心配だからと元の世界を飛び出してこっちに来てみたら人並みに幸せにはなりつつあって、それなら自分って来なくてもよかったじゃないか。


 本当に来なくてもよかったんじゃなかったのか、逆に宗弥の邪魔になってないかと思い始めて来た。


 本当は宗弥を自分一人のものにしたかったのか? ということも思い始めて自分にも苛立ち始めている。


 エマには全部しゃべることが出来ないから「イライラする」という言葉で片付ける他無かったのだった。


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