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異世界転生時に発生しなかったモテフラグが本編終了後にやってくる。

「なーんで宗弥の後付けてコソコソしてんのか全くわからんのだが……」


 やって来たのは、近くの大きな複合ショッピングモール。


 宗弥の後を追って、エマと樹里と恵と香澄が四人集まって遠くから人を待っているだろう宗弥を見ていた。


 エマたちは休日ということもあり、それぞれ私服で集まっていた。


 ファッションの属性がそれぞれにバラバラで全く統一感の無い集団になっていた。周囲からも妙に視線を感じており、こっそり見ているにしては目立ちすぎている。


「見に行こうって流れになってたけど何だっけ?」


 樹里が素朴な疑問を伝えた。


「えーだって、多分宗弥さん気が付いてないけど、デートに誘われている訳よ。そんな楽しそうなものが目の前に転がっていて飛びつかない訳なくない?」


「私は見たいです!」


 恵の意見に香澄が同意した。


 そういえば、恵が昨日明日デートだろうと指摘しようとして口止めをしたのが香澄だった。香澄は昨日気が付いていたが今日こうした方が楽しいということを悟ってこのようなことをするようにした。


「お姉さんたちこの後暇?」


「「「あ?」」」


「あ、間違えましたスイマセン」


 四人組の大学生ぽい風体の男が話しかけ来たが、エマと樹里と恵の三人の覇気で怯えて帰っていった。


 その一連の出来事から、この三人に話しかけるものはいなくなった。


 しばらくすると、宗弥のもとに一人の女性が駆け寄ってくるのが見えた何かを女性が謝っているようだったが、宗弥は逆に申し訳なさそうなジェスチャーをしていた。


「お、宗弥さん相手が遅れてきたみたいだけど、それは謝りすぎだぞ」


 樹里。


「なんつーかいつも通りだな。自己評価が低すぎてああなる」


 エマは溜息混じりに言った。


「悲しいですね。でも、そこも魅力に思う人はいるとは思いますが……」


 と、香澄。


 やって来た女性は、白いブラウスに紺色のロングスカートに、黒いサンダルを履いていた。宗弥よりもやや背が低い程度で恵が隣に並んでも見劣りしない容貌だった。


「女の方結構気合入ってるな。流行りを抑えつつ似合うものを……。宗弥さんもそれなりのつもりで来たんだろうけど、本気度がこの段階で違い過ぎる」


 等と恵は論評を述べた。


「でも、あの宗弥のあの感じ1mmも気が付いていない気配がするぞ」


「それは間違いない」


 二人はその後ショッピングモールを回り、主に生活用品や男性用の雑貨などを見て回っていた。


 女の方が手にとっては相談をし、宗弥が返答をする。たまに宗弥が家に置いてあるようなものを取ってみてもらうなどしていた。宗弥はマッサージガンについて熱く語っていたようだったが、あまり反応は良くなかった。その後時計や、名刺入れなどを見て回ったあと、結局保冷タンブラーを買ったようだった。


 買い物は一時間とちょっとぐらいかかり、その後近くのカフェに入り軽く食事を取りそれから少し話して解散したのだった。


「あれ? もう終わり?」


 樹里が言った。


「初回だしそんなもんでしょ」


 恵が評論した。


 すると、エマのラインに宗弥から通知が入った。「さっきから皆で何してるの?」とメッセージあり。エマが顔を上げると遠くの宗弥とばっちり目が合った。


「あ」


「気が付かれたかー」 


 近づいてくる宗弥。構図として休日にたまたま先生に出先で鉢合わせた感じが強い。


「黙ってつけてきて悪かったよ……。宗弥が多分女とでかけるんじゃねーかってこいつらが色めき立ってたから、付き合ってたというか……」


「あ、君らは僕がさっきの女性とデートしているとでも思ったのかい? そんなことがあるわけ無いじゃないの。彼女の弟さんがもう少しで誕生日で何を選んだらいいか分からないから一緒に選んでくれって頼まれただけで……なんか言っていて悲しくなってきたな。エマだって分かってるでしょこういうイベントあの時も一切なかったし……」


 乾いた笑いを浮かべながら、泣きそうな声で宗弥は言った。


「いや、宗弥さん。さっきの人多分結構脈アリだし、向こうはデートだと思っているかもしれませんよ……?」


 恵が言った。


「何……だと?」


「さっきの人結構気合入った格好していましたし、学生時代からの仲の良いお友達とかなんですか?」


「会社の部下というか、後輩というか実質的には彼女の方が先輩なんだけど……」


「なら普通、頼まなくないですか?」


「……確かに」


 いぶかし気な顔をしながら、宗弥は納得をしたようだった。


「チッ」


 エマは舌打ちをした。


 気に食わなそうなエマを見て、恵は


「婿にしたくないって言う割に、女の影が見えると気に食わなさそうな態度を取るのかわいいね」


「喧嘩売ってんのか恵?」


「「まあまあまあ」」


 宗弥がエマ側に、香澄が恵側に入って引きはがしていった。


 気が付くと宗弥の腕を両手で抱えるようにして、樹里が真顔で張り付いていた。


「あー、ワタシ、ソウヤサンの事きになるなー」


「何で棒読みなの? それと樹里ちゃん、これはシンプルにツーオンワンを取られた後で地面に引き倒される展開しか見えないんだけど」


「正解!」


 樹里は笑顔で答えた。じゃれつきが危険な大型犬を彷彿とさせた。


「あとで道場で教えてね」


「分かった!」


 と言いつつ、イラついたエマに引きはがされたのだった。


「ニヤニヤして気持ち悪いな」


「ニヤニヤはしてないって。どうした機嫌悪いのか? アイス食べる?」


「そういうことじゃない!」


 矢継ぎ早にエマに回答する宗弥。長い付き合いのせいか扱いに慣れている感じがあり、エマにとっては余計に苛立ちを募らせる要因になった。


「今のは宗弥さんが悪いわ」


 香澄が憐れむような眼で反応した。


「え? 今のファール? どこが?」


「なんかこの人がモテない理由がなんとなく分かって来たぞ……」


「奇遇だね。私でも分かって来たわ」 


 恵が感想を述べて樹里がそれに同意をしたのだった。

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