表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フクロノネズミ ―魔導騎士物語―  作者: ボブ
第六章 デシデリウム帝国編
97/179

第九十七話改 ぶらり鹵獲の旅 その2

「……ってこれ敗北フラグっ!?ってオチは射殺って決まってるから飛び道具(魔法)には特に注意してるんだよ!!【頭陀袋ずだぶくろ】に収納!そして展開っ!!」


 飛んできた魔法をそのまま【頭陀袋】へと入れ、そして出す!自国であるフォルティッシムス王国で使おうものなら変な貴族に目を付けられる可能性があるけど攻め入ってきた敵国相手に容赦するつもりはなく全力全開でいく!


 但し私が魔導鎧に乗っている時は駄目だ……ロボットはロボット同士が戦ってこそであって【頭陀袋】や【収納袋】に入れて「はい、終わり!」ではロボット物の意味が無くなる!特撮ヒーローが変身しないままで怪人をやっつけちゃう位には視聴者ががっかりするよ!!

 ※カナオの個人的意見です。


 【頭陀袋】から戻っていった魔法で燃え、切り裂かれても元を辿れば全部あんた達が悪い!


「そういう事で抵抗するのはどいつもこいつも叩いて切る!抵抗しなきゃ戦時国際法に基づき捕虜として扱ってあげるよ!」


「チッ!?こいつフォルティッシムス王国の暗部か!!」

「違うね……私は第1っ!?」


 人が名乗りをあげている間に魔法を撃ってきたのでそのまま【頭陀袋】に収納して、お返しして差し上げた。


「人がご丁寧に間違いを正してやっているのに撃ってくるとは……そんなに人殺しが好きで好きで堪らないならいくらでも葬ってあげるからヴァルハラ(戦死者の館)に行って永遠に戦ってなさい!鈷剣どっこけん】!」


 【独鈷剣】は【独鈷杵】の刃が長くなったもので両刃の直刀で、今回出したのは太刀ほどの長さのあるものだ。


「あまり長物は好きじゃないんだけどね……死にたい奴から掛かってっ!?」


 だよねぇ、魔法が使える騎士がわざわざ武器を手に持って係ってくるとか無いだろうけど。


「ふっ!」


 飛んできた魔法を【独鈷剣】で切る事で魔法がその場で消滅する。

 何しろ一切の魔を討ち滅ぼす為のものであって魔法に魔物と、その場で撃ち滅ぼす事が出来る。


 但し魔素や魔力を撃ち滅ぼしてしまうとこの世界が魔法の世界では無くなってしまうという理由で魔素と魔力は撃ち滅ぼせないように制限が掛かっている。


 だから切って消えるのはあくまでも放出された魔力を魔法にした部分だけであって、魔力は霧散して魔素へと戻っていく仕組みなので消滅したかのように見える、というのが正解だ。


「さて、魔法はこうして簡単に切られる程にお粗末なものしか飛んでこないんだけどさ……軍人なんて職業、9割9分男ばかりだろう?女1人に情けない……真っ向から向かってくる度胸と骨のある男は居ないのかい?それともデシデリウム帝国は玉無かい?」


 こういう時は煽って冷静さを欠いた方が負ける。

 この世界は男尊女卑の典型だし、騎士ともなれば貴族の子が多い。

 誇りと自惚れ(プライド)の高さだけは一丁前だから来てくれるとやりやすいんだけどね……。


「何をしている!小娘1人に無様にやられた上にあのような物言いをさせおってからに!さっさと黙らせぬか!!」


「何言ってんだか……ここに居るって事はあんたも現場の人間でしょ?どこぞの安全な場所でプカプカと煙草を吹かしながら地図見てああだこうだ言う役割じゃ無いだろう?現場のトップってのは戦ってなんぼでしょ、ならあんたが来るのが筋ってもんだよ?」


「何を小娘が偉そうに!」

「実際偉いんだから仕方ないね、フォルティッシムス王国軍テッラ・レグヌム騎士団第一〇一騎士隊の総隊長だよ。どうやら相手を見る目も無いみたいだね。」


「はっ!こんな小娘が総隊長だと?なんとも粗末な嘘を!その黒装束、貴様暗部であろう!!」

「どこの国の暗部が正面切って戦うってのさ。見つかったら逃げるのが普通でしょ?それに小娘小娘言ってるけど、その小娘から逃げるのがデシデリウム帝国軍なら相当拍子抜けだね。魔導技術が劣るだけじゃなくて軍属が腰抜けじゃあ仕方ないね。」


「言わせておけば調子に乗りおって!あの小娘を殺ってしまっ!?」

「だからさぁ……こういうのは率先して現場のトップが挑んでこいって言ってるんだよ。」


 私は素早く距離を詰め、すれ違い様にそのまま頭を思われる男の首を切り飛ばした。

 現場に出る佐官以下ともなれば、戦える人物が上に立ち、いざとなれば一騎打ちという責任を取る事もある。


 頭である指揮官の首が飛べば、投降をしたとして最も強い人物が倒れた以上はこれ以上の抵抗をした所で無駄な戦いとなる事も多い。


 特に街や村のように守るべき存在が居らず砦は軍人だらけなのだから、明け渡せば良く戦争が終わるまで戦時国際法に基づき捕虜としての扱いをする事も出来れば、なったとしても大義名分が立つ。


 これがない投降は後々問題になる傾向が多いし無駄な殺生を避けられるのだけど、それが無能だと「やれ!」「いけ!」しか言わないから実に困る。


「さて、あとは誰かまだやる?今なら大義名分も立つだろうから、捕虜になっても問題無いと思うんだけど?」


「それはたかが大隊長だ……まだ総隊長が―――――。」

「総隊長、とはこの人物の事でしょうか?」


 音もなく現れたアシュリンさんが手に持っているのは総隊長の首かな?表情が苦悶を浮かべている訳でもなくむしろ半笑いに見える辺り一瞬で苦しまずに切られたかな?


 ただ話が分かる人が居ればこれほど解りやすい事態は無い。

 隊長格は建前上は最も強い人という事になる。

 あとはそれに変わる次に強い人の判断で降伏し易くなる。


「降参だ、俺達は第三十五騎士隊第四大隊だ。第四大隊長の死亡に伴い、この俺、第一中隊長ハーケンの名において戦時国際法に基づいての捕虜としての扱いを求める。」

「ここは第一大隊だけ?」

「そうだ、第一から第三大隊は今最前線に出ている。」

「ああ、それであんなに空が埋まる位の魔導飛空艇が……。」

「1つ確認したい、ここは帝国内だ。捕虜として……いや、何でもない。」


「その疑問は湧くのは当然でしょう。しかし捕虜の任務は敵の情報収集、及び脱走によるかく乱や捕虜そのものになる事での足を遅くするなどの妨害行為。ここからどうフォルティッシムス王国へと連れて行くのかと甚だ疑問が湧くでしょうが……。」


「愚問だった、そもそもここにたった二人だろうと簡単に侵入してきた時点で俺達の理外だ。それにこの中隊は傭兵だ。」

「傭兵でも捕虜制度はあります、それに非戦闘員は見逃しますしそれに付随するものは一切鹵獲の対象外です。我々の目的はデシデリウム帝国の財である兵站のみ。それと大変恐縮ですがこの砦もいただきます。」

「は?砦をだと……?ならここを占拠するというのか?」

「いえ、方法は貴方方にとっては理外でしょうからわざわざ言いませんよ?」


 砦をいただく、聞き慣れない言葉だろうけど私達にはそれが為せ、帝国の戦力を大きく削る為の奇策【収納袋】に収納、という手段があり、最初からしないのは上階に居る人が怪我をする可能性からであり歩哨に限れば已む無く殺したものだ。


 そしてこれはまだ始まりでしかない、ここからデシデリウム帝国がフォルティッシムス王国に対し戦争を仕掛けた事を後悔させる為の……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ