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フクロノネズミ ―魔導騎士物語―  作者: ボブ
第一章 国軍科入学試験編
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第二話改 入学試験1日目 前半戦

 正直、初っ端から学校側の意図が先導する4人の先生たる教師達の身体で表されていた。


 距離は短いけど険しいコースの教師は相撲取りのあんこ型や恰幅が良い、と言えば聞こえが良いかもしれないけど純粋にデブった教師に見える。


 距離は程々だけど程々厳しいコースの教師は長身でヒョロガリな体形の体力の無さそうな教師に見える。


 距離だけはやたら長いけど起伏の少ないコースに至っては重そうな筋骨隆々な教師に見えるし

 4つ目のコースは珍しい女性の教師。


 どれもこれもが見た目で評価をすると痛そうに思える中私が選択したには距離が最も短く、険しいコース。

 そして受験生はどう捉えたのかはあれとしても最も多く受験生がついたのが私と同じ

 距離は短いけど険しいコースだった。


 開始早々から汗が大量に噴き出し、苦しそうに走っている絵面もそれを助けたのかもしれないけど私が感じているのはあの体形は本物だけど苦しそうに走っているのは単なる演技にしか思えなかった。


 そして1時間も走ると、ほぼゴールの手前についた。

 但しそれは大量の水が流れる滝だった。


 先導する教師は流れ落ちる滝の上をいとも簡単に走り、そのまま消えていきそうになった為私も急いで追いかけた。


「【勇魚いさな岩】!」


 私は滝の裏側の岩壁に鯨を模した岩の起伏を作り出しそのまま足を架け、次々と飛び上がっていく中それに気が付いた連中が次々と私の作った起伏を利用して上がってこようとするもそのまま苔に足を滑らせ、次々と滝壺へと落下していった。


 私は手に「頭陀袋」と呼ばれる力で生み出した袋である革手袋を装着し、足には地下足袋と呼ばれる底にゴム足のついた足袋を装着していた。


 私はこの世界に転生させられる際7つの神様から力を与えられていた。


 勇魚は鯨の昔の呼び名で、漁業の神としての鯨でありこれは恵比須様が持つ力の1つであり、れっきとした神の一柱だ。


 そして「頭陀袋」は布袋様が持つ力で様々な袋を生み出す事が出来る。

袋、嚢、バッグ、サックといった名称のつく袋が生み出せる為、革手袋も地下足袋もその一環で、革手袋は一度掴めば逃さず腕力、握力共に強化される力があり、地下足袋は例え垂直であろうと駆け上がるだけの力を持ち合わせている。


 さらに鼠の獣人の一種である灰銀鼠族は基本非力ながらも嗅覚、聴覚に優れているだけでなく、素早い行動が取れ、元々木なども垂直に駆け上がるだけの身体能力を持っている。

 少々チートが過ぎるのだけど、それでも利用しない手は無い。


 法にさえ触れなければどんな方法でこの急流の滝を駆けあがっても良いのだから、正直金に物を言わせて魔道具なる魔力を動力とする地球で言う家電のようなものを利用した所で不合格となる謂れすら無いのだから、これでも正攻法な方だ。


「ぐぬっ!?」


 但し一番あってはならない事も同時に起きた。

 滝全部を凍らせようと魔法を放ったのが居た事で滝の表面だけが一部凍ると共に、水の量が多過ぎる事からか氷はは一瞬で割れ、下へと降り注ぐ大規模な氷の雨を降らせあっという間に下が事件現場よろしく、大量殺人未遂現場へと変わっているのが見えてしまった。


 同時に私も突然作り出した勇魚いさな岩の表面に薄っすらと氷が張った事では滑らなかったもののその氷が割れた事で地下足袋で足を踏ん張る足場そのものが崩れ、大きく体勢を崩し始めていた。


「【羅索けんじゃく】!」


 これも神の一柱たる、私に力をくれた弁才天様の持つ八武器の1つでけんが罠と言う意味でじゃくが縄を意味し、鳥獣を縛る投げ縄みたいなものを原型とした狩猟道具。


 すぐに手の中に出し、勇魚岩へとひっかけて体勢を立て直しつつ新たな新たな勇魚いさな岩を出しては下に出した岩は消し、長い長い滝を2分ほどで登りきったのです。


 力をくれた7つの神。

 それは七福神とも呼ばれる恵比寿様、大黒天様、毘沙門天様、弁才天様、福禄寿様、寿老人様、布袋様なのは私に幸福を、と力をくれたものでそもそもの原因は全てあの駄神のせいである。


 ガングロでJKっぽい制服を着た自称神様とやらは本来であればこれから18年後程に地球を滅亡させる程の画期的かつ、脅威となる発明をしてしまう男がそのきっかけとなる出来事を迎えてしまった事で神と言う存在からすれば地球の安寧の為、消し去らなければならなくなった時。


 丁度日本を旅行中だった男のすぐ傍を通った私を間違えて殺し消し去った事が全ての原因である。

慌てて本来消すはずだった男も消したそうなのだけどなんとその男はこの魔法の世界に転生してしまい、やはり同じようにこの魔法の世界を滅亡させる程の魔法などに必要な魔力を永久的に産み出す機関を発明してしまう未来へと変わってしまったらしい。


 で、私にその尻拭いをしろと、どのガングロが言っているのか知らないけど、殺された挙句に地球にはもう戻れないと言われた上で尻拭いしろだなんてまぁ普通ならやりたくも無ければ一生ガングロ神を呪い続けるつもりだった。


 しかしガングロ神は7つの神、七福神の力を使えるようにする事。

 そしてその男の発明を止め、その男を変わりに消し去ってくれる事を条件に、この世界で生き返らせてくれる、だのとどれだけ上から目線なんだと憤慨するもこの世界に魔力で動くロボットでもある魔導鎧マギ・アルミスという存在を知り、考えが変わったのです。


 いやぁ、だって地球ですらまともなロボとか出来るのなんて私が生きているうちに叶うか解らない上に乗れるかどうか、で言えば多分とんでもない費用が発生したりするはずだし現実的に叶わないであろう夢のような世界に来る事が出来て男さえ殺せば世界は救われ、そして私は以降は

 怠惰を享受し、幸福に暮らしていける。


 なんて素晴らしい話だ!とロボ好きな私にとっては願っても無い話でもあった為引き受けたのですがまぁその男はこの世界では魔道具に携わる研究者をしているそうでいずれこのフォルティッシムス王国がその男の発明が理由で戦争状態に入るという将来的展望も含めて、私は目標は自らの趣味の満喫、とガングロ駄神が地球の神である事でこの魔法の世界に干渉出来ない為、送り込まれた神の使徒的な役割を両方果たす為、私はここで不合格となる訳にはいかないのです!


「今年は登ってくるのが早いな……歴代最速だ。」


「ほほぅ、なら未来永劫抜かれないように滝にちょっと色々と流そう……たららたったたー!血袋ー!」


 私は頭陀袋の力で血袋なる袋を生み出しその中身をドバドバと滝へと流し始めた。


「ん?なんだそれは……。」

血袋ちぶくろ。」


 別名血液バッグとも呼ばれる輸血時等に使われるあれ。

 血であれば落ちてきても怪我をする事も無い為、流すにはうってつけ!


「何故血を流す……。」

「登りきった私が消えてから滝に大量の血が流れる。さて、どれだけの人が怯え震えて上に登るのを

 辞める程にやる気が削げるかなぁと……。」


「お前、鬼か?」

「滝の上から血が降り注いだ位で失意になるならいずれどこかで試験辞退しますって。

 早いうちに脱落してくれた方が私としてはやりやすいですし何より引率の先生方も楽になりませんか?

 それもただの血ですから、痛くも痒くも無くこの水量なら多少赤味が見える程度でしょうし。」


「まぁ、落下してきて怪我する訳でもないから良いか。流石に固形物を意図的に落とすとかは認められないがな……。」

「え?まだ糞袋くそぶくろがあるのに!」

「悪魔のような奴だな!?魔物の臓物など落としたら怪我するだろうが!!」


 先導の教師には鬼だの悪魔だのと最高の評価をいただいた、と思いたい。


 ちなみに糞袋くそぶくろとは多分多くの方がイメージしているものとは多分別物で、生物の胃と腸の事。

 まぁ、中身の終端辺りは最早、栄養も吸収しきった残りでありそれを糞と言うんだけどね……。

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