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フクロノネズミ ―魔導騎士物語―  作者: ボブ
第八章 デシデリウム侵攻編
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第百五十四話改 ペリークロサス砂漠 その1

  『流石、危険な(ペリークロサス)砂漠というだけはあるね。』

  『くっ!何故俺達がこんな事を……。』

  『文句は総隊長になってから言って欲しいね。』

  『そういう事では無い!!』

  『ならなんだってのさ、アラカンド少佐』

  『何故我々がこうして地上を這いつくばるように逃げ回りワームを誘き出す贄の役割をせねばならぬのかと聞いておるのだ!!』

  『ああ、そっちか……。』


 デシデリウム帝国の国土ベリークロサス砂漠を進む私達の任務は街等に寄る事は決してないのだけど変わりにしなければならない事があった。


 それは進路上に居る魔物の討伐である、ヘビにミミズにサソリと様々な系統の魔物が多く出るのだけど【ナーウィス・ロンガ(戦艦)】で進む以上はまぁ無視出来る。


 しかしそれだと後続からやってくるデュプレ(二桁)の足が必ずしも魔導飛空艇や魔導戦艦とは限らない為、鈍る事を懸念し私達が半ば間引きながら進むといったもので、その為に第一〇一騎士隊の多くが地上で【浮揚機構】を使用して音を激しく出しつつおびき寄せる餌の役割をしつつ倒す。


 こういう方法で行っているのだけどまぁ文句が多い……。


  『当然であろうが!こ奴等は碌に音も立てずに突如現れるのだぞ!!』

  『はいはい、危険なのは知ってるよ。だから私も付き合って地上に居るんじゃない……っていうか普通の騎士の仕事だからね?』


 国内の馬車の通る街道であったりと様々な場所で魔物の討伐を生業とする冒険者達とは別に先んじて魔物を排除する事も仕事の1つだから全くした事が無い訳では無い筈なんだけどね。


  『土の中から出てくる魔物だって居れば空から襲ってくる魔物だって  フォルティッシムス王国にだっているんだからさ……それとも砂だと何か不都合があるのかね?ああ……もしかして魔物が怖いとか?』


  『そっ、そんな訳があるか!!』

  『なら文句言わずにやるんだね、あんまり文句ばっかり言ってるとマリー()さんに言うよ?』

  『つっ、妻は関係なかろうが!!』

  『あるある……例えば来年の年給(きゅうりょう)の査定に響くとか?いやぁ、男爵家から伯爵家の四男に嫁いだ先の騎士爵の旦那が少尉から少佐まで一気に昇進したというのに来年は元通り……いや、もしかしたら第0騎士隊なんて事にも……。』


  『くっ、貴様ぁ!!』

  『ア・ラ・カ・ン・ド・しょーさ♪』

  『……………了解した。』


 アシュリンさんのアラカンド少佐への呼びかけであっさり退く辺り、何をどう教導されてきたのだろうと思うも多分聞くと後悔するので聞かないことにしている、まぁここまでは良いんだよ……。


  『で?なんで獣人あんた達まで参加してるのさ……それも誰よ、魔導鎧貸したの……。』

  『私よ?カナオちゃん。』

  『アシュリンさん、一応魔導鎧は一般の人は乗っちゃ駄目なんだけど……いや、正確には乗るのは問題なくとも操縦するのは問題だよ?』

  『セネクス大元帥の許可なら得ているわよ?』


 なんでヨボ爺が許可を出したのやら……。


  『実は凄い人達とか?』


 まぁライオン、ゴリラ、ペンギン、イノシシ、クマの獣人に貸与許可がヨボ爺から出たって事は絶対裏があると思う、それこそ獣人の国に関連しているとか?そう言われると獣人の国である獣王国を治めるのは代々ライオンの獣人だ。

 正確には新たな王が就く際に種族間で戦って決めるそうで代々ライオンの獣人が王座についているって知識はあるんだけど……まぁそもそもライオンの獣人が負けたと言う歴史が無いのでほぼライオンで決まりだと言ってもおかしくない。


  『ただの獣人族の方々なのよ?』

  『それでよく許可出したね!?ヨボ爺!!』

  『なぁに、少々セネクス・オブ・フォルティッシムスとは面識があってな!』

  『ただの獣人に先王と面識がある方がおかしいからね!?』

  『そんな事いったらお前さんも獣人じゃねぇかよ。』


  『いや、そりゃそうだけど私の場合はフォルティッシムス国軍だから合法的に乗っているだけだからね?』

  『カナオちゃん今だけ彼等も義勇兵って扱いなのよ?』

  『強引な……いや、ヨボ爺が責任取るって言うなら良いけどさ……。』

  『ちなみに第一〇一騎士隊の第四大隊として扱ってるから責任者はカナオちゃんよ?』


  『ふぁっ!?私はそんな事を認めた覚えは無いんだけど!?』

  『大丈夫よ、カナオちゃんが責任を取り切れなければセネクス大元帥が責任を取る事になるから。』

  『どこにも私が大丈夫な要素が無いんだけど!?ヨボ爺は第一〇一騎士隊の担当だから責任取るのは当たり前で……っていうかどう転んでも私が責任を取らないと始まらないのか。それもアシュリンさんがそこについて何も言わないって事は……。』


  『そういう事なのよ?』


 やっぱり厄介事だね……多分獣人族の中でもそれなりの立場とかに居る人物って感じかな?


  『ま、血気勝ったりしてアラカンド少佐みたいにならなきゃ良いよ……。』

  『何故、俺を引き合いに出す!!』

  『私からすれば似た様なもんだからだよ!そう言われたくなかったら過程を含めて結果出してくれれば考慮しなくも無いんだよ?』

  『ぬぐぅっ!?』

  『あとガラ中尉以下第一中隊もね……。』


  『ふっ、何を言うか総隊長殿。我等は生まれ変わったのだよ!』

  『ん?』

  『全てはドルー准将の為に!』

  『『『『イェスマム!』』』』


  『……………ドルー准将、何やったの?』

  『あとでちょっとお話を聞かないといけないわね?』

  『ま、まぁ……お手柔らかにしてあげてね?』


 何か厄介事ばかり増えている気がするけどとりあえずまとまっているのであればと思う中、中型魔導飛空艇四基が【ナーウィス・ロンガ】へと追いかけてきて着艦。


 どうやら新生第一大隊85名がやってきた、との事で私とアシュリンさんが【ナーウィス・ロンガ】へと戻ると……。


「あー、やっぱりかぁ……。」

「ドルー?どういう事かちょっとお話合いしない?」

「話し合いと言いながら既にマウントを取りながら殴り続けているアシュリンさんが超怖い……まぁ仲良くじっくり話してて。」


 夫婦間のいざこざに飛び込む程私は無謀ではない、それより着任まで時間が掛かる、と言っていた筈の新卒を含めた第一大隊が何故ここに居るのか……。


「という事でハイネル中佐?」

「予定より早く仕上がった為に合流する事となったんだ。」

「仕上がった?予定よりまだ3か月も早いんだけど??」


 何でも新卒以下は全員が小隊長と隊員として80名が配属され、それとは別に4名の中隊長となる中尉、少尉が加わり3ヶ月前から教導など実戦に向けて仕上げてきたそうなのだけど中隊長達の力によってそれだけでも十分仕上げてきた、とか。


「ハイネル中佐ぁ、こんなションベン臭そうな嬢ちゃんに媚び諂わなくても良いんじゃねぇっすか?」


「あと中隊長があんな感じでして……。」

「成程ね。」


 仕上がった、というのは多分ハイネル中佐の事だから間違いないと思う、問題は新卒じゃなくて予定で聞いていなかったこの中隊長の方か……また面倒事の匂いしかしない状況に私は頭を抱えたくなったのだった。

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