謁見
最後の一人を殺した後自分の手をみれば返り血で真っ赤になっていた、気づけば朝日が登り始め周りをみれば村のみんなの死体と兵士の死体、崩れた廃屋だけになっていた
「私が最初から戦っていたら村のみんなは無事でいられたのかな…」
自問自答… 自分の情けなさに怒りを通り越して殺意さえ湧いてくる…
言葉にならない感情に振り回されていると空より一つの影が降りてくる
「間に合わなかったか…ぬぅ?」
「そこの娘…生存者は其方だけか?」
その問いは私にしているのだろうが私はこの状況をまだ受け入れられておらず頷く事しかできなかった
「ふむぅ〜そうか…この人間の死体もお前が?」
またも頷くだけ
「そうか…なんだ、落ち着くまで待っておるのでまずはその返り血を水で流して来なさい」
言われて見れば身体中血まみれだったのでまだ残っていそうな服を探すついでに洗い流してくることにした
「落ち着いたか?」
いつも着物が残っていたおかげですぐに戻って来られた
「おじさんは誰?」
「儂か?… わしは魔族の王をやっておる」
「そうなんだ」
「お主…全然驚かないな」
どこか横柄な態度から少し予想をつけていた、背中には翼に爬虫類のような尻尾が生えているので人間ではない、つまり魔族の偉い奴と当たり前を付けていたのである
「ふん…まあ良いお主わしと一緒にこぬか? わしならお前をさらに強くしてやるぞ」
「一緒に行ったらいっぱい人間殺せる?」
目の前のお爺さんが気の抜けたような顔をした後盛大に笑う
「おぉ同じならたくさん殺せるだろうて」
その答えを聞いて私は即答する
「なら行く」
「おぉなら前は急げだ、わしの背中に乗れ」
そう言いつつお爺さんが巨大なドラゴンに変わって行く
「そうだ…儂の名を言って無かったな儂はアルバン・イグナ・ドルスレーゼと言うお主の名は?」
「スクナ」
ここからのちに目の前のお爺さん…アルバン・ドルスレーゼと共に魔族の国に向かい創造だにしなかった過酷な修行が待っているのだがまたその話は今度語るとしよう
「スクナ様…聞いていますか?もうすぐ魔王様に謁見するのですからもう少し緊張感を持ってください」
「わかってるって、私だって魔王様の事は尊敬してるんだから心配しないで」
サクラは何かブツブツ言っていたがそれを私はスルーしていく、そんなこんなしてドラゴニュートが警備している大きな扉までやって来た
「サクラとスクナ様ただいま参りました」
ドラゴニュートたちが私たちの顔お見て危険物がないかチェックしていく、確認が終わり中の者と話をして私たちの到着を知らせる
しばらくして大きな扉が半分開き中から他ドラゴニュートよりも体格の良いドラゴンッキンが出てくる
「準備ができた着いてこい」
男はそれだけを告げて中に戻って行く、続くように私たちも中か入って行く
中のは様々な種族がいた、アンデットや吸血鬼、それから悪魔と他にもたくさんいる中で正面の大きな椅子には前と変わらぬ魔王アルバン・ドルスレーゼが楽しそうな顔で座っていた、私とサクラは部屋の中央で止まり膝をつき今度は私が発言した
「スクナ並びにサクラ御身の前に」
サクラは私に合わせて頭を下げる、長く綺麗に切り揃えられた髪や尻尾が床に付いてしまうがそのような事は些事である
「此度の人間との戦争は見事であったこの三年間で其方は急成長をし私の期待に応え、かつ戦果も上げた…よって幾つか褒美を垂らすこととした」
魔王の話が終わると同時に先程私たちを扉で迎えたドラゴンッキンが前に出て何かを読み上げる
「では今回の戦果を鑑みてスクナ殿に伯爵の位を授与する収める領地は後ほど決めることとし家名も後ほ陛下から贈るものとする、そして魔王軍第七軍団団長としてここに任命する」
ここで周囲がざわつき始める、爵位の件もそうだが魔王軍の軍団長に任命された…それも今まで無名だった者に、ここに意味する事は新たな魔王軍の七人目の大幹部が誕生したこととなる、魔族の国にとって爵位が低くても大幹部の方が偉いことになる、要するに男爵が大幹部なら公爵よりも権力が上になってしまうのだ、ここら辺はだいぶ面倒なので説明は省くことにする
当然だが反対意見が出た
「陛下いくらなんでも軍団長の地位を与えるのは早計ではないですか」
唾を大量に飛ばしながら重たそうな体をしたものが前に出てくる…(あぁ唾が私の綺麗な尻尾に飛んだ…このクソジジ…)
「ふぅむ〜ではウェルトン公爵が彼女に勝てるなら考え直そう」
「そう言う問題ではなく、どこぞの者かも分からない者を魔王軍の最高幹部にするのはいかがなものかと言っているのです」
「ではこれは決まったものとしこれにて終了とする…あぁあとスクナ後ほど私のところまで来てくれ」
「かしこまりました、では失礼します」
そこで謁見が終わりサクラと共に外で待っていると集まっていた者達も退室している、しばらくまた魔王も出てくる
「おぉ待ってあったのか…では一緒に行こうか」
そう言い私は魔王の後ろをついて行く
「儂から個人的に渡したい物があってな」
部屋につき中央にある机の上には幾つか置いてあった、一つ目が前世で言う紫色の巫女服や着物日本の武士が着ていた服に似た物、二つ目は白い狐面があり心なしか少し光っているように感じる、三つ目は刀がある…
魔王に抜いてみろとせかされたので抜く、刀の刃長は目算でだが役80センチメートル位だろうか…私の知る日本とよりはかなり長めであった、反りは中反りタイプで刃文は三本杉と言われるタイプのものであった
「すごいであろぉ〜その刀にはヒヒイロガネも使われておるのだ」
魔王が服などの性能などを説明してくれているが私には届かなかった
「これつけて良い?」
「行っといで」
許可が出たので着替えようとしたらサクラに止められて隣の部屋まで連れて行かれた
「おぉ〜似合ってるおるぞ」
ところどころ金属でできているところがあるため少し違和感があるが許容範囲内であるしお面も軽くて良い感じであったそして何より新しくもらった刀の試し切りを早くやりたくて仕方がなかった
「よしあとは領地の場所と家名を決めるとしよ…てスクナよどこに行こうとしておる」
魔王とサクラにまたも止められソファーに座らされる
「でぇどこが良いとかあるか?」
しばし考えたあとおまぐろに話す
「じゃあさ私の故郷をくれない?」
「うむ?…それだけでいいのか…もっとあるであろう伯爵の位をやったのだから少なくても二つの場所は収められるし、最初からスクナの故郷をやろうと考えていたのだがの」
私は頷いた、魔王は先程いたドラゴンッキンに話しかける
「それでグベルタあそこの領は誰が収めている?」
「ハッ、ダーンベルン大森林は今現在王家所有となっております、またあそこは人間の国を挟んだ守りの要となっており第四軍軍団長がグロリア・セルス・バーンベルクが率いる四軍が巡回しております」
あそこの森はダーンベルン大森林というのかと今知って驚いていると話はすぐに進んでいき
「なら大丈夫であるな、よし領地も決まった事だし次は家名を決めていこう」
幾つか候補の家名を挙げていくがどれもしっくり来ないまずスクナ・○○○・○○○○と続く語呂の良い物を思いつかない
「スクナこれもダメなのか〜?」
「いや流石にナインタールはちょっと」
私が家名は本当に必要なのかと聞くと頑なにダメと言う、話を聞くと魔族社会は弱肉強食の精神なのだが最近の魔族は人間種の思考に近くなっているのか家名のない物を侮る傾向にあるらしい、爵位もその為社会で自分の収める土地の規模がわかる指標になっているらしい、挙句の果てに魔族どうして人間のように派閥を作り魔族どうして争うときた
「今の魔族に争っている余裕などないと言うに、今ではまともに軍団長らの個々の強さでまだ押し切られてはいまいがこのバランスが崩れたら魔族はもうおしまいだ」
「じゃもう適当に自分で決めて言い?」
「えっ、スクナ・エウロ・ナインタールいいじゃろこれにしようの〜」
「あぁもううるさいじゃあそれで良いからもうなんでもいいから私は帰るから」
「あっ、こらスクナまだ話は終わっとらんぞ明日また城まで来てくれる、幹部会議があるからの〜…てっまたぬか!!!」
スクナは急ぎばやに部屋を出ていきその後サクラが頭を下げながらついていった
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