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第十二話 弱い決意

 学校から五百メートル前ぐらいで夏神を降ろし、僕は一足先に学校へ行こうとしたのだけども夏神が「道がわかりません、連れて行ってください」などと言い、ざけんなとも思いつつ彼女に逆らえず(魅力に負けたわけではないぞ!)目的地まで導き、そして、


「ええ! 夏神と一緒に登校してるの……左座じゃね!?」

「うっそー」

「まじかよ」

「どうやったんだあいつ、羨ましいな」

「くそう、左座の野郎」

「生かしては……おけぬな」

「昨日立ち上げた、ファ、ファンクラブの会長はボ、ボクなんだぞ!」


 想定していた最も悪い状況へと移行していった。これを機に僕に不利益なことが起こってくるだろう。

 そうなってはほしくないけれども、自分にこの場をうまく収める手立ては一つもありはしない。お守り効果ないな……どうにもならないっていうのか。

 遊園地では生き死にで腹をくくったけど今回は別の意味で腹をくくらねばなるまい。


「おーす。お早いな、左座ー」


 振り返ると上下ウインドブレーカー姿の雀部が走ってくる。


「おうおう、囲まれてるなぁ。何した?」


 巨人雀部がやってくると僕を包囲、殲滅せんとしていた輩達がいささか後退りする。雀部は夏神がいることに気付くと高速でそちらに体を向け、その勢いで僕は吹っ飛ばされた。


「おやまあ、おはよう、紫杏ちゃん」

「おはようございます、雀部さん」


 雀部がちらりと地面に倒れている僕を一目して、ははーんと声を出した。


「夏神ちゃんとここまで登校してきたな……先を越されたぜ」


 にやにや雀部は笑っている。朝から夏神と会えてうれしいのだろうけれど周りをよく確認したほうがいい。

 僕が夏神と登校してきたより、“紫杏ちゃん”の一言の方が絶大なパワーを秘めていたようだぞ。


「紫杏ちゃん……だと?」

「うっそー」

「まじかよ」

「うっわーすげー」

「雀部のにゃろう!」

「この世にのさばらせては……おけぬ」

「ど、どいつもこいつも、抜け駆けしやがって。ボ、ボクがファンクラブの会長だぞ!」


 僕を敵対視していた奴らが今度は同じ視線を雀部に向けている。ナイスタイミング、雀部。お前にとってはバッドタイミングかな。今のうちにありがたく教室へ逃げさせてもらう。

 発生した敵たちを雀部にまかせて僕はその場を後にした。

 教室に入れば朝礼まであと三十分以上の空き時間があるためか、ちらほらとしか生徒が登校していない。

 僕は席に着いて色々と疑問に思うことを考えてみて、それをメモ帳に記入していく。次に質問の機会が与えられれば訊こうと思うものリストだ。

 しかし、書き込む手が止まった。


『そいつは抜け目のない男だからね。顔も能力も見られてしまったら、恐らく生かしておきたくはないでしょう。だから、左座君を殺しにくるかもしれないの』


 脳裏に蘇る女性の声。そういえばペネロペなんて呼ばれてたな。

 ……殺される、か。実感が沸きます、なわけないだろう。つい一昨日まではただの高校二年生だったのが、只今超能力者に殺されそうになっている一般人です、って……もう一般人じゃねえ。

 そうだ、超能力者だ。あれは一体どういった存在なのだろうか。地球外生命体だったりして!

 でもさすがにその想像は出来ないなあ。


『えっと、その、夏神とか貴方が使っているのは、超能力、なんですか?』

『……ええ、そうですよ』


 超能力者……本当にいるんだ。この目で見てしまったし信じないわけにもいかない。ドッキリでは……もはやその可能性はないに等しい。ここまで手の込んだことをする暇人がいるわけがない。


『夏神は身体能力を強化する能力を持っています。ただ欠点があって、能力使用後には使用時間の二十倍のクールタイムが必要っていう使いにけー力ですよ』


 僕を守ってくれるのがあの夏神紫杏。美少女も美少女、とびっきりの。そして彼女も超能力者か……。


『で、私の能力は心への干渉ですから、心を読んだり、他人と心をリンクさせることだってできます、いやほんと、使いやすい!』


 未だ見たことのない夏神の上司。どんな人だろう。

 そして正体不明の僕を殺そうとする能力者。


『そうねー、彼は舞草兵駕。年齢は二十二歳。私たちの組織の元構成員で……手から衝撃波を放つ力がある能力者なんだけど……それで、巷で有名な連続無差別殺人事件の犯人でもあるんだけど……それ以外は一切不明なの。素性も知れない奴をよくうちの組織は受け入れたと思うわ』


 どう心構えをしておけばいい。わからない。殺しに来るかもしれない、と言葉を濁していたけれども護衛をつけるぐらいだから相当確信があるんだろう。


『彼については夏神ちゃんのほうが詳しいわ』


 僕はハッとする。悩んでいてもしょうがない。自分から知りに行こう。そうでなければ彼女たちは教えてくれそうにない。

 よし、と決意したのは良いものの、それが心の中だけでそうそう行動に起こせないものなのだと悟るのにほとんど時間は必要としなかった。だって真後ろに平然と座っていた彼女に話しかけることが出来なかったし。


結構な矛盾が発生している気がしましたが、何処だったか忘れてしまいました(何


もし見つけた方がいたら教えていただきたいです。

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