白猿ハヌマーンと星の6兄弟
『小さい子に読み聞かせる童話』を意識して書いてみました。
風神の子、白猿ハヌマーンが仲間と協力して、町を襲う怪物たちに立ち向かいます。
インド神話のヒーロー「ハヌマーン」の物語です。特撮ヒーローの変身ものが好きな子におすすめかも。
冬の童話祭2022「お題:流れ星」参加作品。
ハヌマーンは かぜのかみさまの こどもです。
そのすがたは しろいさるでした。
ハヌマーンは わがままで あばれもので みんなに きらわれていました。
なんでも ほしがるハヌマーンは そらのおひさまが ほしくなりました。
ハヌマーンは そらたかく まいあがり かぜのちからで おひさまを ひきよせました。
こまったおひさまは かみなりのかみの インドラさまを よびました。
インドラさまは かみなりで ハヌマーンをうちました。
ハヌマーンは まっさかさまに ちじょうにおちました。
おちていくハヌマーンは しろいひかりに なりました。
そのころ ちじょうのおてらに ひとがあつまっていました。
ひとりの ゆうかんなしょうねんの おそうしきでした。
おてらの きんのぶつぞうを ぬすみにきた とうぞくがいたのです。
しょうねんは ぶつぞうをまもって いのちをおとしました。
だいのうえの しょうねんのからだに てんからおちてきた しろいひかりがあたりました。
しょうねんのからだは しろいひかりに つつまれました。
おそうしきにきた たくさんのひとびとは おどろきました。
でもすぐに もっとびっくりしました。
しんだとおもわれていた しょうねんが めをさましたからです。
ふしぎにおもいながら ひとびとは しょうねんが なおったことを よろこびました。
しょうねんの ゆうかんなこうどうに かみさまほとけさまが こたえてくれた。
ひとびとは そうおもいました。
そのころ せかいじゅうで ひでりがつづき あめがふりません。
ハヌマーンが おひさまを ひきよせていたからです。
たくさんの まじないしが あつまって あまごいのぎしきを やりました。
あまごいのぎしきは しっぱいして まものをよびよせました。
おしろよりもおおきな たくさんのまものが でてきました。
まものたちは まちまできて あばれました。
くにのへいしたちが まものたちを とめようとしました。
でも おおきなまものを とめられません。
まちのひとたちを ひっしでにがそうとしている へいしたちがいました。
そのすがたを あのおてらのしょうねんが みていました。
そして しょうねんは りょうてをあわせて おいのりをしました。
しょうねんのからだは しろいひかりにつつまれました。
ひかりはおおきくなり おしろよりおおきな ハヌマーンのすがたになりました。
しょうねんの やさしいこころと ゆうきをてほんにして ハヌマーンはまものたちに たちむかいました。
まものたちは あやしいじゅつで ハヌマーンを かなしばりにしました。
うごけなくなった ハヌマーンは ともだちの すばるのほしたちをよびました。
6つのほしの すばるのきょうだいたちが そらからとんできました。
すばるのほしたちは うごけなくなっているハヌマーンを すくいだしました。
ハヌマーンは ほしの6きょうだいと いっしょにたたかいました。
そして すべてのまものを たおすことができました。
ハヌマーンは しょうねんとわかれて ほしたちといっしょに そらにかえっていきました。
しょうねんは てをふって かれらのすがたを みおくりました。
てんのうえで ハヌマーンは おひさまにあやまりました。
そして みずのかみさまに あめをふらせてくれるように たのみました。
それから 1ねんほど すぎました。
しょうねんのくにの となりのくにで おそろしい やみのきゅうけつきのおうが あらわれたのです。
やみのおうは おんなのひとをさらい ちをすって どんどんつよくなりました。
かいぶつをだす まほうのはこで けらいをふやしました。
かみさまほとけさまのちからをうけた 5人のゆうかんなせんしが たちあがりました。
5人のせんしが やみのおうのけらいとたたかって すべてのけらいをたおしました。
さいごにのこった やみのおうは からだをおおきくして 5人のせんしをみおろしました。
いちばんつよい あかいせんしに のこりの4にんが ちからをあつめました。
あかいせんしは からだをおおきくして やみのおうと おなじおおきさになりました。
だけど やみのおうは とてもつよかったのです。
あかいせんしは そらたかく なげとばされました。
やみのおうは おおごえでわらいました。
そこに てんからおりてきた ハヌマーンがあらわれました。
きらわれもので らんぼうなハヌマーンは どこにもいません。
ただしいこころと ゆうきをもった ハヌマーンがそこにいました。
ハヌマーンは やみのおうをやっつけると そらにまいあがりました。
そらのうえで おりられなくなっている あかいせんしのところまで いきました。
ハヌマーンは あかいせんしに「きみは どこにおりたい?」とたずねました。
そして しろいひかりと あかいひかりが かがやきながら ちじょうにおりました。
ちじょうでは あのしょうねんが おねえさんとならんで そらをみあげていました。
おねえさんは ひかりをゆびさして「ながれぼしだ」といいました。
しょうねんは てをあわせて なにかをいのっています。
おねえさんは しょうねんに なにをおねがいしたかを ききました。
「せかいじゅうのひとが へいわで なかよく ともだちになれるように。たとえ このきもちが なんどうらぎられても。これが わたしのねがいです」
しょうねんは そうこたえました。