新しい家
「楽しみだなー!僕達のお家かー!」
「私も、楽しみ。にーさん、良い所だと、いいね。」
「あの、ルーネさんってさっきと雰囲気違ってませんか?」
「さっきは、リリの前、だったから。普段は、こんな感じ、だよ?できる女子は、切り替えが大切なの。」
「なるほどー。...兄さん?ルーズさんって男の子だったんですか!?」
「そうだよ!男だよ!」
「...ルーズさん、あれがマスターの言っていた家でしょうか?」
「おー!クロス君ありがとう!ついに見えてきたね!早く行こっか!」
四人はしばらく自分達が住むことになる家に向かっていた。
到着した家は...小さな一軒家だった。
周りに平地が広がっているだけの、小さな家。それでも、四人にとっては初めて入る自分達の家だった。
「早速中に入ってみよう!」
「うん。にーさん。」
「「失礼します!」」
中はそこまで広くは無いが、きっちりと整理整頓されている。家具やお風呂場、ベランダ、ベッドなども一通り揃っていた。家を見学していると、ウルフに乗ったリリがこちらに向かっているのが見えた。
「わん!」
「どうかしら、この家は!私が全部用意したのよ!空き家を見つけて中を掃除して、家具も取り揃えて、出来ることはやらせてもらったわ!...って言っても、このくらいしか出来ないんだけどね。
……私まだ新米だから。後、元々二人の予定だったから、ベッドは2つだけになってるわ。ごめんなさいね。」
「凄い!これをみんなやってくれたんですね!ありがとうございます!」
「感謝します。リリ。」
「あの!ありがとうございます!」
一瞬クランはルーネの方を見てから、リリにお礼を言った。
「しかしマスター、結構お金もかかってますよね?大丈夫ですか?」
「平気平気!これは必要経費よ!皆が頑張って強くなる分、私は環境の面でサポートするわよ!」
ポンと胸を叩いて堂々としているリリを見て、ルーズとルーネ、クロスとクランはそれぞれ、自分達も成長しなければ、というやる気を改めて持つのであった。
「ぷにゃー!」
「うん?どうしたのスライム君?」
「ぷにぷに、ぷー!ぷにー!」
「わん!」
「本当!是非お願いします!」
「どうしたの?にーさん。」
「スライム君とウルフ君が、強くなるための先生を紹介してくれるんだって!どっても強い先生らしいよ!」
「本当?それなら私も、お願い、したいな。」
「ぷーにぷに!」
「わおーん!」
「ありがとう。スライム君!ウルフ君!」
スライムは、皆を鍛える先生に心当たりがあるから、明日連れて来る、と約束して森に帰っていった。もちろんウルフの上に乗っている。
「それじゃ、明日に備えて、今日は早く寝よう!ベッドに直行だ!」
「私はにーさんと一緒。」
「クロス!一緒に寝ようよー!」
「いいよ。...ちょっと恥ずかしいけど。」
こうして新しい生活が始まるのであった。
森の中、小さな祠の前。そこに一人の女性とスライムが月を見ながら座っていた。
「ぷに?ぷーにぷに!。」
「うん。分かってるよ、スライ。でも、もう少しだけ。」
「ぷー!ぷにぷにぷにゃー!」
「大丈夫。あの子達は必ず一人前の冒険者になれる。そうでしょ?」
「ぷに!」
「...助けて貰った恩は、必ず返すからね。ルーズ。」