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黄昏の道標

 「チーム名かー。いざ考えると結構難しいよね。」

「チームの名前は、特徴や決意を、伝えるもの。ゆっくり、考えよ?」


 チームの名前を決めて欲しいとリリに言われた二人。早速考えてはいるのだが、なかなかいい名前が思いつかない。


「このままじゃまずい!一旦休憩して、頭を切り替えよう!」

「気分を変えれば、思いつくかも。早速、休憩だね。」




 そこで気晴らしに外に出ることにした。外に出ると、街に来たときの門番が建物の外に立っていた。



「やあ諸君!ここでしばらく活動するみたいだな!歓迎するぞ!これからよろしく頼むぞ!」

「「よろしくお願いします!」」


 ルーズは情報収集とリラックスも兼ねて門番と話を始めた。

「そういえば、リリさんが言ってましたけど、皆引き抜かれちゃったのに、門番さんはどうしてここに残ってるんですか?」


「ほう、話を聞いたんだな。それなら君達は信頼できる。とリリは考えたんだな。よし、お答えしよう。元々俺は王都の騎士を務めていたんだ。だけど、上司の不正に気づいてしまったのだ。その上司は民衆から集めたお金で豪遊をしていたんだ。皆国の平和の為に、苦労してお金を納めているのに、これでは報われない。それで国王に直訴したんだ。」



「それでどうなったんです?」

「無事に上司は捕まったが、身内を売ったということで、騎士団からは追放を言い渡されたんだ。国から追い出され、路頭に迷っていた所でここに着いたんだ。

 その後は、リリの父親に門番として雇ってもらえたんだ。あの方は優しい方だった。常に街の人や冒険者の事を考えて行動していたし、よそ者の俺を家族として扱ってくれたんだ。嬉しかったなあ。」 


「だから俺はここに居るんだよ。金?名誉?そんな物より、俺はあの方の好きな街と一緒に在りたい。この街を守りたい。言うなれば、この街は俺の第二の故郷のようなものだから、離れる選択肢なんて無かったんだよ。」

 門番は誇らしげに語っていた。



「貴重なお話、ありがとうございました!またいろいろ聞きに来てもいいですか?」

「もちろん!何時でも来たまえ!君達にも、大切な物が沢山できるといいな!」


 話に熱中し過ぎて、随分と時間が経ってしまった。気づけばもう日が沈み始めている。


「お金や名誉より大切な物かー。今の僕にはルーネと父さん、母さんが居るから大丈夫だね!」


「私も、にーさん、ぱぱ、ままが大好き。でも、これからもっと、大切な物ができたら、嬉しいな。」

「そうだね!その為にも、まずは僕達が強くならなきゃ!今よりずっと強くなって、大切なものを守れるようになるぞ!」



 決意を新たにする二人。すると突然ルーネが叫んだ。

「...思いついた!私達の、チームの名前!」

「本当!?それじゃ急いでまとめないと!」

 二人は急いで宿屋に戻っていった。そして、ルーネは紙に名前を書き出して、ルーズに見せた。




「たそがれの、みちしるべ?」

「うん。黄昏の道標。」

「その名前の理由は?」

「たそがれは、夕方の時のこと。夕方だと、もうすぐ夜になる。夜は暗くて怖い。迷子にもなる。でも、道しるべがあれば、帰ってこれるよ?

 だからもし、怖くなっても、辛くなっても、ここなら迷わない。大丈夫。ここに来れば、大切な人が、貴方の味方がいるよ。そんな場所にしたいと思って、この名前、選んだの。」

「...」


 ルーネの提案。それを聞いたルーズは、

「凄い!凄くいい名前だよ!黄昏の道標!これにしよう!僕達のチーム名!」

 飛び上がって喜んでいた。

「よかった。ありがとう、にーさん。」


「私も、頑張るね。にーさんを守れるように。」

 最後の一言はルーズには聞こえないように言った。



 そして次の日、考えた名前をリリの所に持っていった。


「なるほど、考えたわね!いい名前だと思うわ!よし、これでいきましょう!貴方達のチーム、黄昏の道標を、ギルドマスターである私、リリが認めます!これからよろしくお願いします!」


 深々と頭を下げるリリ。それを見て、二人も頭を下げた。

「「よろしくお願いします!」」

 ついに始動するチーム。二人の冒険は、始まったばかりだ。

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