スマホで魔王を殺します
「ハッ……」
気がついたら、映画のセットみたいな石造りの城の中にいた。
「召喚されし勇者、魔王を討伐せよ!」
俺はポケットからスマホを取り出す。
「OK,Google 魔王城の場所教えて」
『ピコン』
画面上には地図が現れ、魔王城の位置が示された。
謁見の間に集まった家臣やお姫様までもがザワザワとし始める。
「おい、何だアレは!?」 「今、何をしたんだ!?」 「グウグル、というのは使い魔か何かなのか!?」
様々な憶測が飛び交う中、俺は堂々と答えを言う。
「検索したんですよ。ああ、Googleっていうのは検索エンジンのことですね。使い魔ではありません。我々は1人1台このスマートフォンというものを持っています。使いこなせれば、とても便利ですよ。ただし、使い方を謝ると、自身がコレに飲み込まれてしまいます」
「なんと!?」 「自身が飲み込まれる!? 命を吸い取られてしまうのか!」 「勇者のみならず、異世界人はかようなバケモノを手玉に取っているというのか……!」 「やはり勇者様は偉大だ!」
「皆さん、大袈裟すぎますって、これくらい普通ですよ、普通。まあ、現代人はコレに取り付かれて、人生を棒に振った者もいますが」
「なんと!?」 「取り憑かれてしまうのですか!?」 「スマアトフォンと言うのは悪霊の権化なのですか!」
「……ゴホン」と王が咳払いをすると、急に静かになる。「勇者よ。魔王を討伐するにあたり、そなたに同伴する強者たちを紹介す……」
「いや、仲間なんて要らないですよ」
「え」
王は口を開けたままぽかんとしている。
「俺、このスマホひとつで魔王を倒せる自身ありますから」
「それは、いかようにして」
「えぇ、まず、魔王に直接会いまして」
「なんと直接!?」 「流石は勇者様だ!」 「肝が座っておる!」
「ゴホン」
「スマホを渡します」
「なんと!?」 「勇者様の持ち物である貴重なものを!」 「心の広いお方だ!」
「ゴホン」
「パズドラで遊ばせます。すると、多分ずっとそれに熱中するはずです」
「なんと!?」 「隙を作るのですか!?」 「その隙をつくのですね!」
「ゴホン」
「いいえ。直接、手は下しません。魔王は自分自身の手で、自らの首を絞めることになるでしょう。
まず、初撃で魔王は爆発します。その後も、爆死を続け、いつか無料配布では満足できなくなるはずです。
ガチャに取りつかれた魔王は、いつかは必ず課金を行います。1度ハマった沼からは抜け出すことはできません。魔王の貯金は直ぐに底を尽き、破産することでしょう」
王たちは唖然としていた。
「また何かやっちゃいました?」