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1話 マッチ棒

「このアニメめっちゃおもしろいやん!」


 俺が見ているアニメは「異世界に行ったら最強になれたんだが?」といういわゆるテンプレ、だがそれが面白い!

 こういうアニメを見ていると自分も異世界に転生してほしいなって思っちゃうんだよね。


「俺も異世界行きてえな」


 そう思いながら俺の横に座っている可愛いポメちゃんを撫でる。


「もしも異世界に行くことになったらポメちゃんも一緒に行こうな」


 俺は犬を飼っている種類はポメラニアンで名前がポメ、だからいつもポメちゃんと呼んでいる。

 どうだ? 可愛いだろ? まん丸なお目目にお口もう天使だよ!

 テンションが上がる一方時刻は夜中の二時を回っている。


「そろそろ寝ないとな、ポメちゃんハウスや!」


 ケージに指をさし指示をするが俺の前でお座りをしたまま動かない。


「そんなにじっと見つめられると照れちゃうじゃないか!」


 一回ワンと吠えた、俺は犬の言葉がわかるのだ。


「ケージで寝たくないと! 廉君(やす)と寝たいって? 仕方がないな今日だけだぞ?」


 申し遅れたが俺の名前は扇原(おうぎはら) (やす) 16歳だ。

 今日だけと言っているが飼って以来ケージで寝させたことがない。


「まだ産まれて二ヶ月だもんな! 一人で寝るのは寂しいよな!」


 ポメと一緒にベッドに移り布団をかぶせて寝る体制に入る。


「じゃあポメちゃんおやすみ!」


 俺は身体をポメちゃんの方に向けて寝る。


「おやすみ」

「はーい、おやすみ......え?」


 立ち上がり部屋の電気をつける、一度ポメちゃんを見たが特に変わった様子はない。


「幻聴聞こえたわ末期か?」


 そう思いながら再び電気を消しベッドに入る。


「暑苦しいわ」


 明らかに誰かが話していると思い再び電気をつける。


「誰や暑苦しい言うたの、だれか家の壁よじ登ってるんかな?」


 考えている最中再び声が聞こえた。


「今晩特に暑いな」


 ついつい会話してしまう。


「そうやな暑いな、え?」


 一度窓を開け誰かがよじ登っていないか確認する。


「いや気のせいか」


 誰もいないのを確認し窓を閉めると再び聞こえる。


「ああもう辛抱できへん、水くれ水」


 明らか部屋内から聞こえる、この部屋にいるのは俺だけだ、なのに誰かの声が聞こえる。


「なんやねん、なんか不気味やな」


 さっきより鮮明に声が聞こえた。


「早よ持ってこい水、それとドックフードが食べたい、あればでいいけどジャーキーもほしいかな」


 俺は確信したポメちゃんが喋ってることに。


「早よ持ってこないとポメちゃん死んじゃう!」


 そう可愛らしく言ってるつもりだが全然可愛くない。


「喋らんかったら可愛いのに喋ったらブサイクやな」


 ついつい本音が出てしまった、俺の声が聞こえてるのだろう少しキレていた。


「俺に向かってそんなこと言うていいと思ってるんか?」


 ポメちゃんが喋ってるのはわかったが一つだけ気になることがある。


「ポメちゃん? なんで関西弁なん?」


 さっきまで目を瞑っていたポメちゃんが目を開き身体を起こした。


「ああワンワンスクール通ってたからかな」

「いつのまにそんなところに通ってたんや?」

「そんなことええから早く水持ってこい」


 1階に行き頼まれたのを持っていく。


「はいよ」


 よだれを垂らしながらドッグフードを食べる。


「やっぱうまいな、犬の餌は」

「ポメちゃんすごいな! そんな言葉知ってるんか」


 ドッグフードを食べ終わると横に置いていたジャーキーの袋を鼻で開けようとする。


「なんやこれ開けへんやないか」


 必死に頑張ってる姿を見てとても癒される。


「おい開けてくれへんか?」


 鼻と手を使うも開けられず終いに袋を振り回す。


「もう我慢できへんな! ジャーキー!」


 ジャーキーの袋を横から取り、開けて一つ渡す。


「早く開けてくれよ! ほんまジャーキー上手いな! この塩加減が抜群やわ!」


 食べ終わると眠たくなったのかケージではなくベッドに入る。


「眠たくなったから寝るわ」


 そのあとビクとも動かなくなった。

 犬が喋るなんてありえないっていうのはわかるが目の前で犬が喋ったことには変わりない。


「えっと、どういうことだ?」


 嬉しい反面不思議な気持ちになった。

 その後少しポメちゃんを眺めていたが喋る素振りはなかったので寝ることを決めた。


「寝るか」


 電気を消し就寝


---


 寝てから何時間が経っただろうかどこからか声が聞こえる。


「起きて廉起きてよ」


 ゆっくり目を開けるとポメちゃんが上に乗っていた。

 少し寝ぼけながら答える。


「どうしたのポメちゃん?」

「とりあえず起きて!」


 犬パンチを食らい目が覚めた。


「いった! ポメちゃんどうしたの?」


 特に風景は変わってなく自分の部屋だ、唯一変わってるとしたらポメちゃんの喋り方と性別だ。


「ポメちゃん女だったっけ?」

「そんなことより助けてくれませんか?」


 俺は思ったこれは夢だと。


「あっ夢かそりゃ違うわ」


 再びベッドに横になり目を瞑ろうとしたら先ほどよりも威力が上がった犬パンチを食らった。


「ちょ! さっきより威力上がってない?」

「廉助けて!」


 俺はまだ夢だと思い込んでいる、ならばこの最高な状況を夢として楽しもうと思った。


「どうしたん?」


 すると窓を開けて下を見ているポメちゃん。


「窓の下に何かあるの?」


 可愛らしい手で下を指しているので立ち上がり窓の下を見ると見えたのはこの世と思えない風景だった。


「はは、んなわけあるかい!」


 俺がみたのは家が宙に浮いていて、下にはものすごいでかい鳥が街を荒らしている風景だ。


「私のことを好きなんですよね? でしたらお願いを聞いてください! あそこにいる鳥を倒してくれませんか?」


 アニメみたいな展開だと思いながらも本当に夢じゃないかを確認するためホッペを引っ張る。


「......夢じゃない!」

「当たり前ですよ! 私がここに転生したのですから」


 俺はそのことを聞いて一度戸惑ったがよくよく考えると自分の夢が叶ったと思いテンションが最高潮になった。


「わかったぜ! ポメのためなら動くぜ!」


 ポメは一度窓を閉めて落ち着く。


「ありがとうごいます」


 俺は異世界に転生したら楽しみにしていることがある、最強になることを。


「もちろん俺は鬼強なんだよね? 武器あれば今すぐ倒しにいくよ?」


 ポメがお腹から何かを取り出した。


「廉の武器はこれですよ」


 渡されたのはマッチ棒だった。

 ふざけているのかと思ったがよくよく考えると異世界転生された人は最強になり世界を救う運命なのだ、おそらくこのマッチ棒に何かしら能力がある。


「これは最強の武器なんだよな!」


 ポメは首を傾げて何を言っているだこいつという顔を向けてきた。


「えっと、普通のマッチ棒ですよ?」


「えええええええええええええええええ」

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