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角行と飛車1-4
「……」
飛車が自分を見る目が少し厳しい。無言の威圧というか…。
「目が怖いぞ、飛車」
林がデカい音を出して飛車の背中を叩く。バシバシと見てるこっちが痛くなりそうなほど思いっきり。
「…痛いです、兼吾郎さん」
無表情すぎて痛くなさそうにしか見えない。鉄の仮面でも被っているかのように。
「ま、とにかく樋野は俺が、行花ちゃんは飛車が面倒見るからさ、よろしく頼むな」
スッと右手を出された。握手をしてみれば少しゴツゴツした、でも温かみと優しさを持つような手だった。