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角行と飛車1-9
声をかけてきたのは他の部署の人間だった。
「何の御用だい、捜査2課」
先程まで優しい雰囲気を出していた歩貝警部まで警戒した目つきで相手を見ていた。
「たまたま近くを通っていたら血生臭いにおいがしたから声をかけただけだよ。じゃなきゃ、声なんてかけないし…。もしかして、誰か人でも殺したことがあるのかな、警察官な…」
「黙れ」
食器を戻しに行っていた飛車が相手の頭を鷲掴みにしてた。
「さすがは2代目“暴君”…。力だけはある」
「知ってんなら話は早い。前言撤回しろ」
ギリギリと力を強めていく。頭蓋骨が折れてもいいぐらいに。
「お、おい飛車…!!」
まだまだ力が入っている。
「やめたれ、若僧」
止めたのは飛車より大柄の男だった。