第二話 エリカ
今日も今日とて平和だ。
いや、平和な始まろうとしていた。
教室の一角では、エリカが何やら悩んでいる。
「はぁ~…」
「どしたん?エリカ」
「いえ、色々あって…」
「色々?」
「はい。」
エリカは一呼吸置くと、呼吸をし直し、アイルに向かっていった。
「母の誕生日なんですよ、今日。」
エリカは深刻そうにそう告げた。
「へぇ~、よかったじゃん?」
アイルは何食わぬ顔で答えを返す。
「よかったじゃん? じゃないですわよ!」
アイルが返して来た答えに反して、エリカは激怒した。
「今日は勝負の日。だって、親の誕生日だから。そう!親の誕生日だから‼」
エリカは激怒しつつも、清々と語る。
「いや、そんなん知らねーし。勝負の日でもねーだろ。」
アイルが呆れ口調で返す。
「いや、エリカマザコンだし。勝負の日ってのも頷けるわ。」
不意に後ろから声がして、振り返るとそこにはミッキーが立っていた。
「ミッキー‼」
「美月‼」
アイルとエリカが叫んだ。
※因みに、エリカとミッキーは幼馴染みだが、エリカは『美月』呼びである。
「エリカはマザコンだからねぇ~」
ミッキーがエリカを見て、ニヤニヤさしながら言う。
「ち、ちがっ‼マザコンなんかじゃ‼た、ただ…ママの誕生日を祝う人がパパと私しかいないから…」
「いや、だからさぁ~。『パパ』とか『ママ』とか、今の年齢で言ってる人少ないよって言ってんの」
ミッキーが更にニヤニヤしながら言う。
「も、もう嫌ーーーーーーーーー‼」
「エリカ!?」
エリカの叫び声は1年棟中に響き渡ったと言う……。
「因みに、ちゃんと買えましたわよ。母の誕生日プレゼント」