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もちつき大会

さいごのメインイベント、もちつき大会がはじまった。

お客さんやお店のひともふえて、さらににぎやかになる。

「ああ、わくわくするなあ。はやくおもちが食べたいよ」

「ペガサスさんはずっとわくわくしているね」

「うん、だって大人があそべるのはほんの短い時間だから。また一年、星にかえって仕事の毎日さ」

おとなって大変だなとおもっていると、「うさぎさま」と声がかけられた。

「みなさまおそろいで!」

コオロギさんは、『月のもちつき大会B班』とかかれた看板をもっていた。

「コオロギさん、これは?」

「後ほど交代でもちつきが行われるのですが、各班に分かれることになっているのです。月のおもちは美味ですよ。月の光で育てたもち米を使っているのですから」

ぼくたちがコオロギさんの案内で大会のばしょに行くと、はちまきに青いはっぴをきた月のうさぎさんたちがぞろぞろとやってきた。

大樹をくりぬいてつくったという臼と、五人がかりでささえている杵をはこび、むっちりと筋肉のついた月のうさぎさんが太鼓をたたく。

「みなさま、本日はようこそおこしいただきやした!それではこれより、もちつき大会をはじめさせていただきやす!」

月のうさぎさんたちは腕まくりをして、お互いに肩をくみあって円をつくり、「おー!」とさけんでいた。

やさしそうに見えた月のさぎさんたちの気合いに、ペガサスさんとトンボさんはこわがっていたし、ヒマワリさんはぱちぱちと拍手をおくっていた。

五人のうさぎさんが臼をささえ、五人のうさぎさんが杵をもつ。

遠くからみたら火事じゃないかとおもうくらいの湯気があがり、たくさんのもち米をなげこむと、いよいよもちつきがはじまった。

「うおりゃあーっ!」

「どっせい!」

「もっと腰いれろばかものが!」

雪だるまのようなおもちをひっくりかえし、またぺったんとついていく。

ぺったん、ぺったん、どすんどすん。

真っ白なおもちがびよーんとのびて、とってもおいしそうだ。

「さて、ここでご来場のみなさまにもおもちをついていただきましょう。案内役の指示にしたがって、順におあがりください」

「さあさあみなさん、わたしたちがトップバッターですよ。まいりましょうか」

「いちばんか。緊張するなあ」

コオロギさんのあとにつづきながら、ぼくたちはわくわくが止まらなかった。

おもちをついてるうさぎさんたちが、汗だくになりながらむかえてくれた。

「きっと月のうさぎたちは、自分たちだけではとてもつききれないから、ぼくたちを参加させるんだよ。じゃなければ全員たおれちゃうからね」

そっとぼくに耳うちをしたペガサスさんに、ぼくもないしょでうなずいた。

「さあさあ、杵をもって!うさぎのぼうやは前にきて、トンボさまとペガサスさまは大人ですからうしろでしっかりささえてください。女性はあぶないですから臼をささえていただきましょう」

月のうさぎさんに手伝ってもらっても、杵はすごく重かった。

せーので思い切りふりあげて、いっきにおもちにふりおろす。

するとおどろいたことに、おもちがきらきらと光りだしたのだ。

よくみると、あめ玉でできたながれ星が、くるくる回っておもちに突進していった。

どうやらトッピングになってくれるらしい。

「ながれ星の入ったおもちを食べると、お願いごとがかなうのですよ」

はちまきを結びなおしていたうさぎさんが教えてくれた。

うでは痛かったけど、ぼくは忘れられない思い出ができた。

みんなの順番がおわると、巨大なつきたてのおもちができあがる。

ひとりひとりにくばられると、ぼくたちはさっそく食べはじめた。

「みんなはなにをお願いするの?」

「うーん。ぼくは来年もうさぎくんたちに会えるといいな」

「ほんとうに?じゃあぼくもおなじことを願うよ」

月にはもう来れないかもしれないけど、来年もみんなと会えますようにとお願いをして、おもちを食べた。

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