第四話 追跡者
森の奥から
足音が近づいてくる。
枝を踏み折る音。
鎧が擦れる音。
そして
男の声。
「こっちだ!」
「戦闘の跡がある!」
クロエは
ゆっくりと振り返る。
木々の隙間から
四人の兵士が現れた。
聖教会の紋章。
鎖帷子。
剣と盾。
そして
一人は弓を構えている。
クロエは
小さく息を吐いた。
「……早かったな」
⸻
兵士たちは
そこで足を止めた。
目の前の光景を見て
固まる。
地面に横たわる
オーガの死体。
兵士の一人が
呟く。
「オーガ……?」
別の兵士が
震えた声を出す。
「誰が……やった……?」
その視線が
ゆっくりと
クロエへ向く。
そして
兵士の一人が叫んだ。
「黒髪……!」
「魔女だ!!」
剣が抜かれる。
弓が引かれる。
「構えろ!」
「逃がすな!」
⸻
アイリスが
クロエを見る。
「どうする?」
クロエは
少し首を傾げる。
「別に」
そして
肩をすくめた。
「逃げなくてもいいだろ」
⸻
弓兵が矢を放つ。
ヒュン!
矢が飛ぶ。
クロエは
体を少し傾ける。
矢は
後ろの木に突き刺さった。
兵士が叫ぶ。
「囲め!」
三人の兵士が
一斉に突っ込んでくる。
⸻
盾兵が前に出る。
大きな盾。
魔女の魔法を防ぐための装備。
剣士が左右から
クロエへ斬りかかる。
クロエは
その動きを見ていた。
「……なるほど」
クロエは
一歩後ろに下がる。
剣が空を切る。
クロエは
手を前に出す。
魔力が流れる。
⸻
風刃。
⸻
空気が裂ける。
透明な刃が
兵士へ飛ぶ。
「防げ!」
盾兵が
盾を構える。
ガン!!
風刃が盾に当たる。
盾兵が歯を食いしばる。
「魔法だ!」
「やっぱり魔女だ!」
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その隙に
剣士がクロエへ斬りかかる。
クロエは
一歩踏み込む。
そして
兵士の胸へ
手を向けた。
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酸弾。
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鎧に直撃。
金属が溶ける。
兵士が悲鳴を上げる。
「ぐあああ!」
剣が地面に落ちる。
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残りの兵士が
一瞬ひるむ。
クロエは
静かに言う。
「遅い」
クロエの手に
炎が灯る。
そして
もう片方の手に
風。
兵士の一人が
叫ぶ。
「二つの魔法だと!?」
「詠唱も無しで……!?」
クロエは
軽く笑う。
クロエの両手の魔力が
混ざり始める。
炎と風が
一つに重なる。
クロエは
静かに呟いた。
⸻
魔法融合
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次の瞬間。
爆炎が
兵士たちを飲み込んだ。
ドォン!!
爆発。
兵士が吹き飛ぶ。
地面に転がる。
煙が森を覆う。
⸻
煙の向こうで
弓兵が矢をつがえる。
しかし
手が震えている。
矢が放たれる。
クロエは
軽く体を傾ける。
矢は
横を通り過ぎた。
クロエは
手を振る。
⸻
風刃。
⸻
空気が裂ける。
弓兵の弓が
真っ二つに切れた。
弓兵は
その場に尻もちをつく。
完全に怯えていた。
「ば……化け物……」
クロエは
ゆっくり近づく。
兵士は
震えながら叫ぶ。
「黒髪の魔女だ!!」
「黒髪の魔女がいる!!」
クロエは
その言葉を聞いて
少し笑う。
「黒髪の魔女……か」
クロエは
軽く手を振る。
風が兵士の体を叩く。
弓兵は
そのまま倒れ
気を失った。
⸻
煙が
ゆっくりと晴れていく。
地面には
倒れた兵士たち。
そして
オーガの死体。
森は
再び静けさを取り戻していた。
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アイリスが
クロエを見る。
「……終わった?」
クロエは
兵士たちを見下ろす。
少しだけ考えて
短く答えた。
「多分な」
⸻
クロエは
森を見渡す。
折れた木。
抉れた地面。
戦闘の跡。
クロエは
小さく息を吐いた。
そして
ぽつりと呟く。
「……この世界、面倒だな」
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アイリスは
その言葉を聞いて
少し苦笑した。
「今さら?」
森の奥では
風が木々を揺らしている。
二人は見つめ合い
しばらくその場に立っていた。
⸻
続く




