第二話 黒髪の少女
古屋の窓から
クロエは森の道を見ていた。
木々の隙間から
一台の馬車が見える。
鉄格子のついた
処刑馬車。
周囲には
数人の兵士。
鎖帷子を着て
剣を腰に下げている。
聖教会の紋章。
自然とクロエの視線は
檻の中へ向けられる。
そこには
数人の囚人。
顔を伏せている者。
震えている者。
その中に
一人だけ
顔を上げている少女がいた。
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黒髪。
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クロエの目が細くなる。
この世界では
黒髪は
魔女の証。
つまり
あの少女は
処刑される。
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クロエは
しばらく黙っていた。
助ける理由はない。
関係もない。
しかし
クロエは
自分の髪に触れる。
黒髪。
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クロエは
小さく呟く。
「……俺と同じか」
クロエは
静かに立ち上がった。
古屋を出る。
足音を消し
森の影を移動する。
そして
馬車の後を追った。
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しばらく進むと
森の道が
少し開けた場所に出る。
クロエは
木の陰に隠れる。
兵士は四人。
油断している様子はない。
クロエは
小さく息を吐く。
「……やるか」
クロエは
木の影から飛び出した。
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兵士の一人が気づく。
「誰だ!」
クロエは答えない。
手を前に出す。
魔力が集まる。
そして
酸弾。
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酸が
兵士の鎖帷子に当たる。
金属が
ジュウウウと溶ける。
兵士が叫ぶ。
「魔女だ!!」
残りの兵士が
剣を抜く。
「囲め!」
二人の兵士が
クロエへ突っ込む。
クロエは
横へ跳ぶ。
剣が空を切る。
クロエは
再び手を上げる。
酸弾。
兵士の盾が
溶け落ちる。
クロエは
その隙に
馬車へ走る。
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鉄格子の前に立つ。
檻の中の少女が
クロエを見る。
そして
目を見開く。
「……黒髪?」
クロエは
鉄格子を掴む。
酸。
鉄が溶ける。
檻が開く。
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少女が
ゆっくり外へ出る。
少女は
クロエを見る。
「あなたも……魔女?」
クロエは
少し考えて
答える。
「……多分な」
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その時だった。
森に響き渡る
兵士の声。
「増援を呼べ!」
クロエは
舌打ちする。
少女が言う。
「ここにいたら囲まれる」
クロエは頷く。
「逃げるぞ」
クロエは酸弾を撒き
隙を作る
二人は
森の奥へ走る。
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しばらく走る。
やがて
兵士の気配が消えた。
少女が
息を整える。
そして言う。
「……助けてくれてありがとう」
クロエは
肩をすくめる。
「気にするな、ただの気まぐれだ」
少女は
少し笑う。
「私はアイリス。
アイリス・ルミナあなたは?」
クロエは
少し考えて答える。
「クロエ」
「クロエ・ヴァーミリオン」
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その時だった。
森の奥で
木が揺れる。
地面が震える。
巨大な影が現れる。
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オーガ。
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アイリスが
呟く。
「……嘘でしょ」
クロエは
オーガを見上げる。
そして
小さく笑った。
「いいじゃん」
クロエは
手を前に出す。
魔力が集まる。
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「ちょうど」
クロエの目が
少し光る。
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「試したいことがある」
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続く。




