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救国の婚約破棄~婚約を破棄をしたら国が救われた話

作者: 山田 勝
掲載日:2026/03/07

この年、ノア王国の王太子ケベックが行商人の娘を王宮に連れて来た。

曰く。


「アリーシャ!私は真実の愛に目覚めた。行商人のリリーに一目惚れをしたのだ。

よって、婚約破棄を申し渡す!」


「あーし、王妃様になるしょ?」


この国の公爵令嬢アリーシャは膝をつき。手で顔を覆った。

嗚咽が漏れる。


「グスン、グスン・・ケベック殿下・・・」


弟第二王子はアリーシャの肩に手をあて慰めた。


「アリーシャ姉上・・・・」

「グスン、グスン、グスン」



ケベックは平然と陛下と王妃に懇願した。


「父上!母上リリーを王妃にして下さい」



「あっ、母上、王妃教育なしで」

「あーし、堅苦しいの無理っしょ」



陛下はしばしの無言の後、重い腰をあげて宣言をだした。


「王太子は廃嫡!財産没収の上、平民になる。その女とともに暮らすがよい!」


「ええ、やっぱり?無理?」

「王妃になれないっしょ!」


「・・・衛兵、つれていけ」


ケベックは平民の服に着替えさせられて市井に出た。


王宮を出る瞬間。

陛下を始め。廷臣たちは涙を流した。


「ケベックよ」

「兄上」

「ケベック様!」

「「「「ケベック様!」」」」



・・・・・・・・・・・・・




この報告は即ノア王国の宗主国グレリア王国に報告された。

ケベックの廃嫡と第二王子が王太子になる報告・・・許可である。



グレリア国王は気だるい午後に報告を聞いた。



「・・・婚約破棄によりケベック王子は追放刑か。まあ、良いであろう。婚約破棄による追放刑は国是であるな。承認を与えよ」


「御意」


公示されたが・・・・



一人だけ反対する者がいた。

商人である。



「陛下!・・・・意見具申をします」



「何だ・・・誰だ?」


「わ、私はウェーベ商会長でございます。ノア王国の婚約破棄を撤回させて下さい」



「何故だ?我国の法である・・」


母上は婚約破棄をされてから内乱が起きた。

母上は第二王子と結婚し王位を継ぎ我が生まれた・・・それ以来、婚約破棄は禁止だ。


ここ30年、我が支配下で婚約破棄した国はない。


が、この商人は・・・そうか。あいつか?



「はい、陛下はノア王国に港をつくるように命じました。ええ、その資金を貸したのが私であります」


「そうか、そんなことがあったか。何故じゃ」


「はい、資金の貸し出しは王太子ケベックがサインをしています。廃嫡により王太子領が国家の物になりました。差し押さえ出来ません・・・兵を出しケベックを王太子に指定して下さい」



「それが・・・?何故、我国が兵を出さなければならないのだ?」


「資金はノア王国への貸し出しではなく、責任者のケベックへの貸し出しになりました!港を差し押さえようとも、港は王家直轄地になっております。陛下、兵を出し攻めて下さい!」



「う~ん。その港は我が艦隊の宿営地にもなる港じゃ・・・そちは処刑じゃ」


「えっ!何故、何故でございますか!!」


うっかり商人は陛下の統帥権に指示を出すことをしてしまったが、それだけ慌てていた。


夏の日の長い日に処刑され。国王はそのことをすっかり忘れた。


「よし、余の艦隊で各国を回るぞ!偉光を示すのだ」



・・・債務のワナ。港湾を整備するように命じられたノア国は慌てた。国家予算の三割を使わなければならない。

ウェーベ商会が資金を出したのだが、全て、資財はグレリア王国から運ばれ。人夫まで本国から連れて来られた。


ノア王国は全く関われなかった。


その時、交渉に当たったのが当時の王太子ケベックであり。

彼はサインの場所に自分の名を書き。王国の借金にはしなかった。


『俺が王になるのだ。王太子直轄地もあるぜ』

『しかし、殿下が亡くなれば・・・』

『いいや、賄賂を寄越せ。どうせ、港を借金の質に取り上げるのだろう?王家直轄地になったら厄介だぜ。

俺の名義にしたのもそのためだ。あの港はあんたにくれてやる。ノア王国内に王国を作れるぜ。どっちが得か?』


『まあ、よいでしょう』




・・・・・・・・・・・・・・・・




その後、ノア王国の港にグレリア王国の艦隊がやってきた。

国王自ら出むかえる丁重さである。



「グレリア国王に挨拶申し上げます」

「おう、ノア国王、ご苦労だったな」

「港の名は何じゃ?」

「はい、ケベックでございます」


「ほお、どこかで聞いたような。聞かなかったような・・・」

「グレリア国王陛下、パレードの準備をしております」

「そうか」



そのパレードを見守る子連れの一組の夫婦がいた。



「すごいっしょ!」

「ああ、リリーすごいな」

「お父ちゃん。肩車して」

「ああ、よいぞ」


この男が国を救ったとは誰も知らない。

だが、ノア国はその後の戦乱も生き残ることになる。


「ねえ。お母ちゃん。どうして、お父ちゃんと結婚したの?なれそめ教えて!あたいもハンサム捕まえたい」

「ミヤ、母ちゃんね。お父ちゃんに王宮でプロポーズされたっしょ」

「嘘だー!」

「ミヤよ。リリーは嘘は言っていない。父ちゃんが嘘を言って王宮に連れて来たのだ」

「わかんないよ」



この国の孤児院が立派なのは、旧王太子の寄付によるものであるが、その資金の出所がウェーベ商会からの賄賂をあてた。または売名行為だと云う者がいるが。


この男、幸せに暮らしている。



最後までお読み頂き有難うございました。

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