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【短】人身売買のオークション会場で元恋人に高値で買われました。  作者: 朝比奈未涼


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1/6

1.私を高値で買ったのは元恋人の王子様。






「さあ、本日の目玉はこちらの美女!銀の髪はシルクのように美しく、瞳は燃えるルビーのような輝き!肉付きもほどよく歳は19歳!こちらの美女、お値段は100万ルーから!」





人身売買オークションの司会者がステージ場から声高らかにマイクを通して観客を煽る。

すると会場のボルテージは一気に急上昇し、今日1番の歓声が会場中を包み込んだ。




「何と美しい娘だ!」

「欲しい!」

「愛妾にいい!」

「私の奴隷にするぞ!」




ステージ場にある大型の動物用の檻に入れられて盛り上がっている会場を私はただ見つめる。



私の首には絶対服従の証としての首輪が付けられており、手には鉄の手錠が付けられている。

足だけは唯一自由が効いている状態だが、私は今檻の中、そんな自由何の意味もなかった。


人間の欲望が形になったような場所。

それがここだ。

宝石のような煌びやかなシャンデリアが天井を埋め尽くし、会場のどこを見ても豪華絢爛。

だが、どこか嘘っぽく、表面上だけの豪華さを感じるそんな場所。


そこに集まっている人々は人間を買おうとするだけあって身なりもとてもいい。

そして一応素性を隠せるように皆、顔が半分は隠れる仮面を付けていた。



今、司会者に紹介され、檻の中からこの欲望渦巻く会場を見つめている私の名前はエラ。

これからこの会場でオークション商品として取り引きされるのは私だ。


一応商品ということで胸まである銀髪は綺麗にとかれているし、顔もより美しくなるように化粧が施されている。

服装はとても質素で肌の露出が多い白いミニワンピースだ。



こんな絶望しかない状況だが、私は全然絶望などしていない。

何故ならこれが私の仕事だからだ。



私の国で1番と言われるショークラブ・カルマ。

ショークラブ・カルマにはショークラブである表の顔と、金さえ払えば密偵、暗殺など何でもする裏の顔がある。


いわゆる裏社会の何でも屋、それがショークラブ・カルマだ。



私はそんなカルマで働いており、今はカルマからの仕事でこのオークション会場にわざと商品として捕まっていた。



今回カルマが受けた仕事内容は隣国の人身売買オークション会場に出入りする貴族をリストアップし、依頼人に渡すこと。

その為にいろいろな場所にカルマの者が関係者として紛れていた。


カルマの中でも一際美しいと言われる私は商品としてここに紛れている。




「…」




さて、と。

改めて会場を見渡して一息つく。



売り手側の貴族は大体把握できたし、買い手がつき次第騒ぎにならないようにさっさとずらかろう。




「さあ、それでは皆さん!オークションスタートです!」


「105万ルー!」

「110!」

「150万!」




司会者の合図を皮切りに私のオークションが始まる。


150、180、200、とその数字はどんどん止まることなく上がっていく。

最初こそ会場全体が私を買おうと声をあげていたが、数字が100万台から1000万台になるころには限られた者しか声をあげなくなっていた。


私的にはここでしおらしく座っているのにも飽きたので早く買ってくれ、と言った感じだ。




「1200!」

「1250!」

「1300!」




「1億ルー」




突然、大きな金額が提示される。

その大きな額に先ほどまで絶えず声をあげていた者たちは一瞬で静まり返った。



それからざわざわとその額に驚きで会場が騒がしくなりだす。

そして私も会場の人達と同じように驚いていた。


だがそれは額の大きさに驚いている訳ではない。

その声が聞き覚えのある声だったからだ。



恐る恐る声の主の方へ視線を向ける。



そこには私が知っている声の主よりも随分と成長した声の主の姿があった。



暗い青色のサラサラの髪に仮面により顔が半分隠れているがそれだけでもわかる端正な顔立ち。


私が知っている彼の姿はまだ少年だったが、今の彼の姿は立派な青年だった。

彼と別れて5年、彼は私と同じ歳なので彼の歳も19歳。


姿こそ随分大人らしくなっているが、仮面で顔がわからなくてもわかる。

彼の名前はノア。

私が14歳の時にカルマの仕事先で恋に落ちた相手であり、偽りの元恋人だ。




「…っ」




彼はこの国の王子様だぞ!

確かにここは彼の国だが、まさかこんな場所にいるとは思わないじゃないか!


あの時と随分違う姿をしている私だが、彼なら私だと気づいている可能性もある。



私はある日突然彼の目の前から消えた存在。

何も言わずに彼の前から消えた私を彼はどう思っているのだろうか?


恨んでいる?


いや私のことなんてもう忘れているはずだ。あれは5年も前の話なのだから。




「…い、1億ルー。他の方で1億ルー以上の方は…」




司会者が驚きながらも会場全体を見渡す。

だがもちろん1億ルー以上を提示する者は現れず。




「それではこちらの美女、2560番の方により1億ルーで落札です!」




私は偽りの元恋人に超高額で落札された。





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