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剣の魔術師  作者: いくら丸
ロードロット大陸編【冒険編】
8/8

第八話「星の連なる夜に今」

3人は歩きながら話を進める

「にしたって急だな。なんで俺をパーティーに?」

「そうだぞパリス。私もそんな話、一つも聞いていないが?」

「いやぁ、酒を飲んでた時に思い出してな。俺はパーティーを組もうって決めた時、絶対に魔術師を勧誘しようって決めてたんだ。それに、俺達もついこの間パーティーを組んだから、仲間を探してるんだ。」

「ほーう?パーティーを組んだばかりだから、仲間を探しているのは分かった。でも、よく俺が魔術師だって分かったな。」

「魔術にはある程度知識があってな。首にかけてる装飾品(それ)、魔道具だろ?しかも、魔力を変換する時に出る無駄分(ロス)を回収して再利用できる優良品(すぐれもの)だ。そんなもん付けるのは、魔術師くらいだろ。」

パリスがシルフのペンダントを指差す


「パリスお前、剣士なのによくこのペンダントが魔力収集石だって分かったな?」

「なあに、つい昨日、習ったからな!」

「習った?...まぁいい。とりあえずはお前の勧誘に答えないとな。でも、いいのか?そっちの姉ちゃんは、俺の勧誘を聞いてないそうだが?」

「私か?まぁ、そうだな。そんな話一切聞いていない。でもいいさ。最終的な判断を下すのはパリスだからな。」

「え?俺?」

「ああ、パーティーを組んだ時からそうしようと決めていたが、このパーティーのリーダーはお前だ、パリス。私にリーダーは向いていないからな。」

「...まぁ、お前がそう言うなら...」

「決まりだな。それじゃあ、そっちの姉ちゃんの了承も得られた事だし、勧誘に答えるとするかーーー」

パリスがゴクリ、と、息を呑む

果たしてーーー


ーーーシルフは悩む

どうしたもんかな。これは。見た感じ、コイツら駆け出しのパーティーだし、そんなに組むメリットは()ぇよなぁ。...でも、楽しそうなんだよな。コイツら。もしかしたら『アレ』かもしれないし。ーーーよし、人生は何が起きるか分からないからな。これももしかしたら、、、

夕陽が沈むと同時に、シルフは二人に告げる


「パリス、そしてカイニスだったか。これから、よろしくな!」

シルフが笑顔で二人を見つめる

二人は顔を見合わせる

「おう!よろしく頼む!!」

「よろしくな、シルフ。」

よし!これで念願の魔術師を仲間にできたぜ!しかもエルフだしな。秘伝の技とか持っててもおかしくないぞ〜。

「ところでパリス」

「ん?どうしたんだ?」

「お前らのパーティー名はなんて言うんだ?俺もパーティーに入ったんなら、パーティー名くらい知っとかないとな。」

「「、、、あ」」

パリスとカイニスが口を揃える


ーーーフン、やっと気付いたか?バカ者共が。

ジオが心でそう呟くーーーごもっともだ


「ーーーお前らもしかして、まだパーティー名決めてないのか?」

「いや、まあ、うん。...まだだ。」

...ホントにこのパーティーに入ってよかったのかな?

と、思うシルフであった


---


陽が沈んで、30分が経った

一行は会話を続けながら、パリス達の宿へと歩みを進める

「にしても、さすがにビビったぞ?まさか、パーティー名を決めてないなんてな。あの一瞬でパーティー脱退を考えたほどだぞ?」

「いや、ほんとに忘れてた。パーティーは組んだものの、そういや俺達まだギルドにパーティー創立の届出(とどけで)出してないんだった。」

「うっかりしていたな、パリス。仲間を探す前に、やるべき事があったようだ。」

「ホントだぜカイニス。もっと早く言ってくれ。」

「私もさっき、シルフに言われて思い出した。」

シルフが呆れた様子で問いかける

「お前ら、ホントにSランクになろうって思ってんのか?このままじゃ、一生掛かってもSランクになれないぞ?」

「まぁ細かいことは気にすんなよシルフ。これから決めればいいじゃねえか。」

そういうとこだぞ、と、思うシルフであった

「こう考えてみるとムズイなぁ、パーティー名考えるって。二人はなんか良い案ないのか?」

「私はこういうの苦手だ。シルフ、頼んだ。」

「魔術師ってよ、なんか色々カッコいい技持ってるだろ?そんな感じで、適当に付けてくれていいからよ。」

「お前らなぁ、、、」

まあでも、俺が考えないと変な名前になりそうだしなぁ。パリスだと、、、「俺は『絶対Sランクなってやるパーティー』が良いと思う!」とか言いそうだし、カイニスだと、、、「私は『筋肉の暴力』が良いと思う」とか言い出しそうなんだよなぁ、、、。なんか良い案思い浮かばねえかなーーー

そう考えながら、シルフは空を見上げる

「星かぁ、、、」

「星?ああ、そういえば珍しいな。こんなに大量の星が空に浮かんでんのは。」

「確かに、こんなに多いのは久々だな。」

パリスとカイニスが関心している中、シルフは考える

これだけ星があれば、大量に星座を作れそうだな。...そういえば星座って、星と星を繋げて何かの形に見立ててるんだっけか?ーーーよし、これでいこう。


「パリス、カイニス。一つ、思いついたぞ。」

「マジか?」

「どんなのだ?」

「よく聞けよ?俺たちを星と見立てて、それらが連なってることでパーティーが成り立ってる。だから、俺達のパーティー名は「星の連なり」。名付けて、、、『星連(せいれん)』だ!!!」

「星連かぁ。いいんじゃないか?スケールでっかくて、俺は好きだぜ。」

「私も、昔から星は好きだからな。いいと思うぞ。その名前。」

「よし、全員の同意を得たってことで、どうだ?リーダー。この名前で満足か?」

「ああ、気に入った。今日から俺達のパーティー名は星連だ!よし!そうと決まれば早速、ギルドに行ってパーティー申請しないとな。」

「なぁパリス。」

「どうしたカイニス?何か問題でもあるか?」

「いや、問題という問題ではないんだが、一応、ジオの事は教えておいた方がいいんじゃないか?後になって混乱されても困るしな。」

「確かにそうだな。なぁシルフ、ちょっとこっちに来てくれ。」

「なんかあるのか?」

「いいからいいから」

「?」


---


「ーーーなるほどな?一言だけ言うと...よく分からん。どうなってんだ?それ。」

「さぁな。俺にも分からん。魔術師なら少しは分かるかもって思ったんだが、、、まぁ無理だよな。」

「フン、これ以上用が無いなら、俺は消える。」

「...まぁ、こういうやつが居るって事で。」

「一応、心に留めとくよ。」

「よし、それじゃあ説明も終えた事だし、ビルドに入りますかね。」


「ギャハハハハハ!」

3人がギルドに入ると、そこには見知った顔がいた。

「...なぁカイニス。なんか、見た事あるやつがいないか?」

「...ん?ああ、確かーーー」


ーーー「フンっ!そんなに悔しいなら、お前の言う強い二人の冒険者を連れて来いよ。まぁ、いねぇモンはいねぇから、連れて来るも来ねぇもねぇんだがよ。ギャハハ!」ーーー


「私が一撃で仕留めたヤツか。」

「ああ。得物から見ても、間違いないな。確か、ヒガラって呼ばれてた気がする。」

「ん?どうしたお前ら?えらく静かに話して。なんかあるか?」

「いや、多分見つかると面倒(めんど)くさくなるからこうやってーーー」

「あ!兄貴!アイツらですぜ!兄貴を不意打ちで倒したヤツら!」

「...ほらな?」


---


「てめぇらか!?この俺様を不意打ちで倒しておきながら、自慢してやがるクソ野郎共ってのは!?」

「いや、別に自慢してなんかいないんだがーーー」

「気を付けて下せぇ兄貴!コイツら、前いた女と男に加えて、エルフも仲間に引き入れてやがる!!」

「ほう?エルフか?」

ヒガラの口元が笑う(ひるむ)ーーー

ギルドの中は、静寂に包まれるーーー


「よし、前回の行為(ふいうち)は許してやる。ただし、今ここで、俺とタイマンで勝負しろ。お前らが勝てば、この上級の短剣をくれてやる。ただし、逆に負けちまったら、そこのエルフを俺のパーティーに加入させる。どうだ?いい提案だと思わねぇか?なあ?お前もそう思うだろ?エルフ?」

何か侮蔑する様な眼で、ヒガラを見つめるシルフ

「...一応言っとくけど、俺は男だぞ?」

「ぎゃはは!だからなんだ?」

「ハァ、、、ーーーいや、なんでもない。」

溜め息混じりの返答をするシルフは、続けて答える

「別に、その条件でやってやっても構わないが、やるなら外にしよう。ギルドに迷惑をかけるつもりは無いからな。」

「ギャハハハハハ!いいぜ!観客は多い方がいいからなぁ。外のやつらにも、俺の強さを見せてやるよ!」


シルフ達とヒガラ達は、ギルド支部の外に出る

「なぁシルフ、ホントにやるのか?魔術師のシルフと、剣士のアイツじゃ、決闘(タイマン)だと不利だろ?別にお前がやらなくても、俺かカイニスがあんな奴ボコボコにしてやるがーーー」

「まぁ任せとけって。あんな奴に負ける様な魔術師じゃないってところ、見せてやるからよ?」


二人は離れ、決闘の位置につく

ハハハ!まさかエルフを仲間に引き入れるチャンスが来るなんてな?ありがてぇ限りだぜ。...しかしこのエルフ、役職はなんだ?剣士や戦士にしては、武器(ブツ)を持ってねぇし、魔術師にしちゃあ、杖の一本も持ってねぇ。一体なんだ...?

「不思議そうな顔するな、お前。」

「あ!?」

「俺の役職が気になって仕方ないんだろう?教えてやるよ、俺の役職。俺の役職は...魔術師だ。」

「...ギャ、ギャハハハハハ!!自分から役職を教えるなんて、お前、さては馬鹿だな?ギャハハハハハ!!」

「馬鹿はテメェだよ。こんな()()な勝負を自分から仕掛けてくるんだからな。」

パリスの右手に魔力が(はし)

「ギャハハ!この俺様が不利だと?剣士の俺と、魔術師のお前、この決闘において、どっちが不利かなんて...一目瞭然だろうがぁ!!!」

そう言って、ヒガラは短剣を抜きながら突進してくる

「安心しな!俺のパーティーに入るんだ!痛めつけるような真似はしねぇよ!!」

短剣がシルフに向かって振り下ろされるその瞬間ーーー


「単調だな。ーーー『風圧掌(アウラ)』」


短剣がシルフを捉える前に、シルフの右手から放たれた風の一撃によって、ヒガラの身体(からだ)は吹き飛ばされる

なんだ!?アイツの手からいきなり風がーーー

あれは...無詠唱魔術!やるなぁシルフのやろう!」


「驚いたか?まぁ無理もない。俺は杖を使わずに魔術を行使する珍しいタイプの魔術師だからな。お前らみたいな井の中の蛙じゃ、俺の事を知らなくても仕方ないさ。」

「おかしな事を言いやがる!この俺様を獣人族だと!?舐めるなよ!このエルフ風情がーーー」

ヒガラが言い終わる前に、シルフが魔力の(こも)った右手を高く掲げる


「テメェ...何を...!」

「正直、お前と話すのはもう飽きたんでな。決闘を終わらせてやるよ。」

「この、、、エルフ風情がぁ!!」

ヒガラはまた突貫してくる


「そういうところだぞ?お前。」

シルフの周囲が魔力で揺れる

多くの観衆は既に理解していた。

シルフの勝利を。


「ーーー水脈よ、願いに応え給え。『大砕水玉(アクアスフェーラ)』」


水の塊。言わば、圧倒的質量の水責めによる攻撃

ヒガラは水の塊に自由を奪われ、囚われる

「ーーー!ーー、ーーーー!?ーーー!!」

水に囚われたヒガラを見つめ、シルフは大きな声で叫ぶ

「何言ってっか...分っかんねぇーよ!!」

シルフは右手を動かして、空中に浮遊しているヒガラを包んだ巨大な水の塊を地面に叩きつける

「ーーーー、ーーー!!」


ザッパァーーーン!!!

水が地面に叩きつけられると同時に、勝敗は決した

「ア、アァァ...」

「ヒガラの兄貴ーー!!」

子分の一人がヒガラに駆け寄る

「あ、兄貴!起きて下さい!ヒガラの兄貴!!」

完全に意識を失っているようだな、ヒガラのやつ。まぁそりゃそうだ。全身を地面に叩きつけられたんだ。失神くらいするわな。


シルフは右手をチラつかせながらヒガラに近寄る

「おい、そこの子分。」

「へっへい!?なんでしょうか!?」

「俺は魔術師だ。そこの短剣を扱えない。だから、取引をしよう。」

「と、取引ですかい?」

「ああそうだ。俺はソイツから短剣を獲らない。代わりに、今すぐこの町から出てけ。どうだ?いい提案だと思わないか?ん?」

シルフが美しくも恐ろしい顔で子分を睨む

「わ、分かりました!今すぐに!!」

「話が早くて助かるよ。」

そう言うと、子分達はヒガラを抱えて走っていった

子分達が離れるのと同じ様に、観衆も次第に離れていった


「よし、一件落着と。」

「シルフ、お前中々やるなぁ!さすが、俺が選んだ魔術師なだけはあるな!」

「本当だな。お前のような腕の立つ魔術師を仲間に引き入れることが出来て、私も嬉しい。」

「当たり前だろ?あんな馬鹿魔族、右腕の一振り、、、いや、正確には二振りか?まぁ細かいことは置いといて...とにかく!あんなヤツ、俺の魔術にかかれば、お茶の子さいさいよ!」

誇らしげに、天に手を掲げるシルフだったーーー


---


「と、いうことで...俺達のパーティーを、冒険者協会に登録して下さい!!」

「え、えっと...アナタ達はさっき、外で魔族の人達と争ってた人達...?」

「そうだが?」

なんだ?もしかして、ギルド内で喧嘩なんかしたら、発効になにかしらの制限がかかるとかーーー

「そ、そうでしたか。アナタ方には、お手数をおかけして申し訳ございません。」

「...ん?どういうことだ?」

「彼らは、昨日からギルドに居座る迷惑な冒険者でして...」

「ああ、それで俺らが追い払ったから、感謝してんのね?」

「はい。そういう事です。」

「感謝なら、あそこのエルフにしてやりな?俺たちは何もしてねぇからよ。」

「あそこのエルフって、どこに...まあ!なんて麗しい方なの!?絵本の中の存在が、外に出て来たみたい!!」

シルフを見つめる受付係のお姉さん

それに気付いたシルフが手を振る

それに対しお姉さんは、満足そうな表情を浮かべる


「...あの、パーティー設立は...」

「...え?ああ、すいません。では、ここに詳細を。」

フン、簡単にシルフに見惚れやがって。攻略手続きが簡単なお姉さんだな。...ん?パーティー所属者の中での最低ランクが、パーティー設立時のランクになる?...そういえばシルフって、何ランクだ?

「なぁシルフ。お前のランクっていくつだ?」

「俺か?俺はAランクの魔術師だ。」

「そ、そうか、、、」

んだよシルフのやつ!めちゃくちゃ高いじゃねぇか!?まぁ、予想通りっちゃあ、予想通りか。...じゃあ、このパーティーはCランクからスタートか...先は長そうだな。

「これで大丈夫か?」

お姉さんに、登録手続きの紙を渡す


「ええ、問題ありません。では最後に、協会に登録するパーティー名を伺っても?この魔銅板に魔術で彫りますので。」


「ああもちろん。俺達のパーティー名はーーー『星連』だ!!!」


---


その日ーーー

まさしく、星の連なる夜に今、()()の星が、

(そら)の彼方で煌めいたーーー






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