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剣の魔術師  作者: いくら丸
ロードロット大陸編【冒険編】
7/8

第七話「酒の滴る月下美人」

「ーーーよし、行くか!」


結局、パリスが魔術の鍛錬を忘れていたせいで、その日は一旦宿を見つけ、そこで寝泊まりした


「今日こそは、このメデルの街で仲間探しに専念出来るな。」

「まったくだ。昨日は散々な目にあったからな...」

「それは、なんというか、、、スマン」

「まぁ過ぎた事はいい。それよりも、大事なのは仲間を探す事だ。このメデル地方最大の街、メデルの街なら、色々なヤツがいるだろう。」

「そうだな。取り敢えず、表街道を歩いてみるか。」

「だな。」


ここは、色んな店が出店の様な感じで街並みが形成されている。だから、鍛治屋、工芸屋、武具屋、魔導工具屋とか、色々回ってみたんだが、、、

「全ッ然見つからねぇーーー!!!」

「そりゃな」

「そりゃそうか。ただ街見回っただけで、そんな良い感じのヤツが見つかるわけないか」

「当たり前だろう。バカか?バカなのか?お前は。」

「ジオは黙ってろよ」

「にしても、ここは本当にスゴいな。メデル地方は砂漠地帯だろう?それを思わせない街並みに資源、なにより街の大きさ。正直、砂漠地帯とは思えんな。」

「カイニスもそう思うか?俺もなんか、砂漠地帯っていうより、王国の中心街みたいな感じがするんだよな。例えば、アルファラス王国みたいな。」

「アルファラス王国?分からんな。聞いた事はあるが」

「ここよりもっと上にいったとこにあるんだ。めちゃくちゃ綺麗で、祭りとかが有名なんだ」

「そうなのか。いつか、いってみたいな」

「そん時ゃもちろん、一緒にな。」


雑談を交えながら、二人は進んでいった


「疲れたー。歩き続けたせいで、足が痛ぇな。なぁ、とりあえず休憩にしようぜ。」

「私はまだ歩けるぞ。」

「お前どんだけスタミナあんだよ...よし、じゃあこうしようぜ。俺はここの酒屋で休憩挟んで右に行く。カイニスは左に行ってくれ。これを名付けて、二手作戦だ!」

「ただの別行動だろう。まぁ、内容はいいと思うが。じゃあ、私は左に行ってくる」

「18時までにココに集合な。頼んだぜ、カイニス」

「ああ。」

そう言って、カイニスは歩いて行った


「ふぅ、やっと休めるぜ。アイツ、一生歩き続けるからな。それはそうと...やっと見つけたぜ!酒場!」

このいい雰囲気出してるデケェ酒場なら、美味い酒がありそうだな。いやー頑張った甲斐があったぜ!

「さてと!それじゃあお楽しみの時間だ!...ん?」

何だコレ?

「毎年恒例!真の大酒飲みは誰だ!?酒屋ワールス開催!参加費たったの一銅テラス!酒飲み大会!〜受付は3時から、開始は4時半から!〜だと?」

...やべぇ、めっちゃしたい。えーでも流石にカイニス怒るよなぁ、、、どうしようか?うーん4時半から開始なら、6時くらいに帰ってくるカイニスにはバレないか?いや、酔ってるからバレるか...

「バカバカしいな。酔いなんぞ、解毒魔術を持っていれば、アルコールを分解して醒めるというのに。」

「お前は黙ってろ...って、、、ん?もしかしてお前、解毒魔術使えるのか?」

「当たり前だろう?」

「なぁジオ、頼みがあるんだが...」

「断る」

「ケチかよ」

「ッハ、お前が真面目に、魔術の鍛錬をしていれば使えたのにな。残念極まるな」

コイツ、わざわざ使えるのアピールするためだけに喋りかけてきやがったな。


ーーーよし、決めたぞ!

「4時くらいにここに帰ってきて、そっから大会に参加しよう。それなら、仲間探しもしてるし、大会にも出場出来る。完璧過ぎて笑みが溢れちゃうね」

と、言う訳で

「今は酒はあずけとくか〜」


---


4時になり戻ってきたパリスは、受付をすませ、テラス席についた

「よし、遂にこの時がやってきた。俺が無双する、この大会がな!」

「精々尽くすことだ。」

「ジオ、てめぇの度肝を抜いてやるよ」


そうこう言っている内に、店主がやってきたみたいだ

「お集まりの皆さん、バルコニーから失礼します。店主のワールスです。今年も無事、開催します。酒飲み大会!」

「「「ふぅーーいいぞーーねぇーちゃーん」」」

ここの店主、女性だったのか

「この大会には、暴力禁止以外の基本ルールはありません!あるのは、優勝者諸々を決める、大会ルールのみです!1つ目、1時間の内に飲めた本数を数えて、大会運営側に報告すること!2つ目、酔いすぎて、他人の大会記録を妨害する様なことはやめて下さい!以上、この大会のルールです!」


へぇ〜なるほどね。1時間飲み放題みたいなもんか。てか、見た感じ、おっさん冒険者が殆どみたいだな。俺くらいの歳のやつは...2、3人くらいしかいねぇようだしーーー

「ん?なんだ?もしかしてガキか?」

30代くらいのおっさんが話しかけてきた。


「ああ。まだ14のな。」

「ほーう、その若さで冒険者とは、やるじゃねぇか。だがな、この大会はそう簡単にはいかんぞ?なんせ、今まで酒に頼って生きてきた男たちが相手だ。お前のようなまだ14のガキに、負けるやつはいねぇぜ?」

「忠告ありがとよ。でもよ、他人の事気にしてる暇あるなら、もうちょっと周りの事気にしといた方がいいぜ?」

「あん?」

男の声を遮る様に、一つの声が聞こえてきた


「と、言う訳で〜?酒屋ワールス開催!酒飲み大会!始め〜!!」

店主の号令とともに、参加者達は大盛り上がり。なぜなら、従業員達が酒を大量に運んできたからだ。

「ほらな?スタートダッシュで遅れてちゃ、世話ないぜ?おっさん。」

「っへ!別にこれくらいがなんだ!てめぇの酔った顔を拝むのが楽しみだぜ!」

そう言って、おっさんは自分の席へと戻って行った


「せいぜい頑張れよおっさん。そんじゃ気を取り直して...飲みますか!」

そうしてパリスは、飲みに飲みまくった

実に、15分に20杯も


「ん、ん、ん、、、くぅー!やっぱ酒は美味いな!てか、周りの人らの飲むペース、めっちゃ落ちてきてるな。これなら、俺が優勝するのも時間の問題ーーー」

「すげぇな、あの子」

「あぁ、なんでもあれで、21杯目だとよ。」

「へぇ〜、やるなぁ。今回の優勝者は、あの子なんじゃねぇか?」

「にしても、美人だなぁ」


ん?なんだと?俺じゃなくて「あの子」?一体誰なんだ?21杯も飲んでるやつは...

パリスは席を立って「あの子」の姿を確認する

「アイツは...」

「あの子」は、さっき見かけた、俺と同じくらいの歳のやつだった。美人で、真っ白な髪に青色の眼をした、俺と同じくらいの背をした...男?いや、女にも見えるが...それに、あの耳。もしかして...


「なぁ嬢ちゃん、もしかしてだがよ、アンタ、エルフか?」

一人の男が先に聞いた...俺が聞きたかったのに、、、


「ん?俺か?そうだ、俺はエルフだ。あと、俺は嬢ちゃんじゃなくて、兄ちゃんな?」

「へぇ!こいつは珍しいーーー」

「お!マジでエルフなのか?しかも男!?そのナリでか?」

あっ、やべぇつい反応しちまった。

エルフの兄ちゃんがこっちを向く

「生まれつきこの顔だ。悪かったな、紛らわしくて。」

「あ、ごめんごめん。別に悪いって訳じゃないんだ。つい驚いてな。てかよ、お前、21杯飲んでるそうじゃねえか?ここは一つ、俺と勝負しようぜ。」

そう言ってパリスは、向かいの席に座る


「勝負?俺とか?」

「ああ、俺は今20杯飲んでんだ。どうだ?いい勝負になると思わないか?」

「ふーん。やるじゃねえか。いいぜ、勝負しよう。」

そこから二人は止まらなかった

二人は30分経過した時点で、既に34杯飲んでいた

一方その頃、パリスに突っかかってきたおっさんはと言うと...


「ハァ、ハァ、こ、コレで...23杯目!!!どうだ!俺が一番強ぇんだよ!!あのガキの酔い潰れてる姿を想像すると...っへ!胸が躍るようだぜ!」

そんな事を考えている内に、とある人だかりに気づく

「ーーーすげぇなアイツら。あんなに若そうなのに、もうーー杯目だってよ。」

「へぇ〜ヤバいな。これ、50杯超えるんじゃねぇか?」

「そしたらもう人間じゃねぇよ笑」

ん?なんだ?あの人だかりは?どうやら、大量に飲んでるやつがいるそうだが...どれどれ?...


「、、、げぇ!????ーーー」


な!あ、あれはあの時の...!!ガキじゃねぇか!!!なんであんな人が集まってやがる!?て、てか、アイツ今何杯目なんだーーー???

「コレでーーー34杯目!どうだ!?追いついたぞ!」

「はっ!追いつかれたんなら、また引き離すだけだ!」

そう言い、二人は意地の張り合いをしていた

「いいぞ兄ちゃん達ー!もっとやれー!」

「いやー久々に元気を貰ったぞ若いの。その調子で頑張るんじゃ」

「どっちが勝つんだろうな?」

「エルフの方だろ!」

「いやいや、勝負仕掛けたアイツも、グングン飲んでるぞ。」

「こりゃあ面白くなってきたぞ!」

男は、言葉を振り絞るーーー


「...あのガキ、バケモンじゃねぇかよ。」


---


そして、意地を張り合うこと更に29分...

「さあ!制限時間は残り1分にまで迫りました!果たして、優勝するのは誰だー?」

「ハァ、ハァ、ハァ、、、これで、50杯っ目!!!」

「やるなぁエルフ。でもよ、俺もこれで、、、50杯目だ!」

二人は最後まで互いに譲らなかったーーー


「そこまでー!!!さぁ!結果は!?って、聞くまでもなくそこのお二人ですね。積み上がってるジョッキの数が他のそれとは違います。となると必然的にそのお二人の勝負となりますが...」

「俺らは、、、」

「二人とも!」

「「51杯だ!!!」」

エルフの男に肩を組みながら言葉を重ねるパリスに、ジオは思っていた

...コイツ、酔っているな。


「えぇっ!?51杯!?51杯って、歴代でもトップクラスですよ!?トップクラス!それを歳若いお二人が飲めるなんて、、、すごい!感動しました!お二人には、真の大酒飲みである証ーーーこのペンダントを差し上げます。これをウチで見せてもらえれば、酒代を2割引きにしますので!」

「へぇー。ありがとよ」

「ええ、どうぞ受け取ってください。さてみなさん、酒をたらふく飲んだ事ですし。そろそろ、お代の方を頂いても?」

「そうだったな。んーと、確か1銅テラスでいいんだったか?」

そう言うとエルフの男は、ワールスに1銅テラスを渡した


「そうだったな、まだ代金払ってなかったな。どれどれ...と。ーーーん?」

あれ?おかしい。さっきまでポケットの中にあった3銅テラスがない。...もしかして俺、落とした?、、、え?マジで?え?ちょ、ちょっと待て、確か腰に結んでた荷物にーーーあ、出発前に、カイニスに渡してたんだった...


ーーー

「なぁカイニス、悪いんだけど、この布袋持っててくれないか?」

「ん?別にいいぞ。」

「ありがとよ。あ、一応言っとくけどそれ、金入ってるから厳重に頼むぜ。」

ーーー


「ーーー終わった...」

「?」

そういうとパリスは、エルフの男に不思議がられながら地面に伏したのだった


「お前、大丈夫か?」

「...なぁ、いっこ本当(マジ)に大事な頼みがあるんだが...」

「ん?どうした?」

「その、、、頼む、金、貸してくれ。」

「...は?」


---


「今回は二人での大会優勝、おめでとうございました!またお越し下さ〜い。」


「いやぁーホントに助かったぜ!まさか、金を落っことしちまうなんてなぁ〜」

「お前、よくそんなんで今まで生きてこれたな。」

「いやいや、こう見えても俺、冒険者だからな。金が無くなればその都度、働きで返してたんだ。」

「...こういうことはよく起きてたって事だな。」

「まぁいいじゃねえか。それはそうと、お前、名前は?そういや聞くの忘れてたからさ」

「俺か?俺はシルフ。エルフの村出身だ。」

「シルフか、いいね。その名前。まさにエルフって感じの名前だ。」

「語感だけで判断しただろ...まぁいいけど。それはそうと、大会時間残り5分くらいの時から俺らの事を物陰から見張ってる獣人の女、誰だ?もしかして、知り合いか?結構どころか、マジでキレてる感じするが」

「え゛?」

瞬間、パリスは悟った。「ーーー終わった。」と。


「な、なぁ、その女。もしかして、グレー強めの白い髪してるか?」

「ん?ああ。してるな。」

「ソイツの腰に、なんか凄そうな(あか)い剣あるか?」

「ああ、あるぞ。綺麗な(あか)だ。」

「...露出してる肌は筋肉の塊か?」

「ああ、まるで女戦士みたいだ。」

「シルフ。短い間だったが、今までありがとな。」

「え?」


ーーードゴォォォン

シルフの傍で、パリスの頭が埋まった


「ーーーえ?」

シルフが肩を窄める

「初めまして、シルフ。話は聞かせてもらった。この男が迷惑を掛けたな。私が代わりに謝罪しよう。すまなかった。」

「いや、別にいいんだけど...ソイツ、大丈夫か?」

「ああ、問題ない。後で半殺しにするだけだからな。」

「そ、そうか。」

「ーーーぷはぁ!死ぬかと思った!」

「なんだ、もう回復したのか。もう少し強く殴ってもよかったな。」

「いや、これ以上強く殴られるとホントに死ぬから!今も普通に死んだと思ったからな!?」

「フン、仲間探しと言っておきながら、酒に溺れるヤツにはあれくらい当然だろう。」

「お前、寄り道してたのかよ...」

「いやぁ、そんなつもりじゃなかったんだけどな。」

「お前には反省の色がまったく見えん。また後日、みっちり指導してやるからな。」

「えぇ〜。まぁいいか。あ、てかそんなことより、、、」


パリスがシルフの方を向く


「ん?」

「シルフ。お前さ、俺らのパーティーに入らないか?」

「...は?」






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