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剣の魔術師  作者: いくら丸
ロードロット大陸編【冒険編】
6/8

第六話「メデルの街へ」

―――キコキコ


暗闇の中から光を携さえた馬車が、音を立てて近づいてくる。

あの馬車は今朝、俺が乗ったものだろう。その証拠に―――


「よぉ!兄ちゃん!!へへ、やっぱりいてくれたか。」

「帰るにはこの馬車が一番安いからな」

「そいつぁ正直過ぎるってもんだよ!もっとほら、この馬に愛着が湧いたとか、俺に惚れたとか、色々あるだろ?」

「一つしかないね。」

「つれねぇな!」


だいたい約束通りの時間だな。正直、時間通りに来てくれるか不安だったから、助かるな。


...ん?どうしたんだ?急におっちゃんが馬車からすごい勢いで降りてきたが...


かと思ったその時、俺はおっちゃんに肩を組まれ、グッと体を引き寄せられた。

...おっちゃんに体引き寄せられてもいい思いはしない。


「なぁ兄ちゃん。」

おっちゃんが耳元で話しかけてくる。

なんだ?何か問題でも...


「兄ちゃんの隣にいる子、もしかしてだがよ、捕まえてきたのか?」

...俺じゃなくてカイニスについてだった。


「違げぇよ!コイツは俺のパーティーメンバーだ!」

「それってつまり、そういう事だろ?」

「だから、コイツは俺が捕まえて来た女とかじゃなくて、普通に、自然に、ごく一般的に、ただのパーティーメンバーだ」

「...!そういう事か!流石兄ちゃんだ。ハハハ!」

首にかけていた手で俺の胸あたりをバシバシと叩く


「捕まえるだけじゃなく、パーティーに入れる事で檻に入れるなんて、女の扱いに随分となれてるじゃねぇか。感激したぜ!俺!」

「勝手に感激されても...」

「いやぁ!兄ちゃんやるねぇ!」

コイツ、人の話を聞かないタイプか...


---


馬車が揺れる

ほのかに匂う夜特有の芳しい匂いが鼻をつく

馬車の外に視線を向けて、星を見る

「なぁカイニス。俺達は今日から仲間を見つける旅に出る訳だが、どこで探す?今帰ってるタークルの街で探してもいいし、最寄りの街、メデルの街に行って探してもいい。はたまた、もっと遠くまで行ってもいいんだが...」

「モグモグ...そうだな。まぁ、メデルの街でいいんじゃないか?」

「その心は?」

「適当」

「だろうな」


まぁ予想通りだとも。カイニスが何も考えずに受け答えすることなんてな。

でもよく考えてみれば確かに...


「いい考えかもしれないな。それ。」

「ん?どう言う事だ?」

カイニスは不思議そうに俺に問いかけてくる。


「だってよ、気の合う仲間なんて探して見つけれるもんなのか?本当に気の合う仲間ってのは、自然と見つかるもんだと、俺は思う。実際、俺がお前と出会ったのは偶然だっただろ?」

「確かにそうだな」

「だろ?だから、案外適当に街をブラブラしてた方が、気の合う仲間ってのは見つかるもんなのかもな。」

「なるほどな。なら、どうする?」

「どうするって、何を?」

「いつメデルの街に行くんだ?メデルの街までは、タークルからだと6時間くらいかかるわけだが...流石に今から行く。なんてことはしないだろう?...モグモグ」

「流石にしねぇよ。そうだな、明日にでもメデルの街へ向かう馬車を見つけて、それに乗せてもらうってのはどうだ?」

「私は今日でなければいつでもいい。今日はもう疲れた。早くお前の宿で寝たい。」

「じゃあ決まりだな!...ちなみに、俺の宿はベッドが一つしかないんだが...」


ジー...っとカイニスが俺を見てくる。なんでだよ!俺が金を払って取った宿だぞ!?俺がベッドで寝るに相応しい...


「ジー」

寝るに相応しい...


「ジーー」

寝るに...


「ジーーー」

相応しい...


「ジーーーー」

...


「わかったよ!お前がベッドで寝ていいよ!」

「っふ」

なんだその勝ち誇った顔は

明日の朝にでも、天井から落ちてきた板で腹を殴ってやろうか?

まぁ冗談はこの辺でサヨナラして、

「俺さ、馬車乗った時からずっと思ってたんだがよ、カイニス。」

「ん?なんだ?」

「当たり前みたいに俺の携帯用保存食食いまくるのやめろ。それ、高いんだからな?」

「はぁ、仕方ない」

―――コイツ、さてはめちゃくちゃ食うな?


今後の旅の食費を危惧した瞬間であった


---


「んじゃな、兄ちゃん達!また機会があれば、巡り会おうぜ!」

「ヒヒィーーーン!」

そういって、馬車の男は街角に姿を消した


「やーーーっと着いたか!んじゃ、宿に帰るか。」

「ん...そうしよう、、、。」

カイニスはすでに寝かけてるな

瞼が半分以上落っこちてるぞ

「おい、カイニス。もうそろそろで宿に着くんだから頑張れよ。あともうちょっとだぞ。」

「んん、、、ああ、分かった...」

そう言いつつも、カイニスはフラフラで立ち歩き、剣を支えにし、芯を作らなければ直ぐにでも倒れそうな勢いだった


相当疲れてるな、こりゃ

「...ハァ、仕方無ェな。」


そう言って、パリスはカイニスを背負い、宿まで連れ帰るのだった

そして、明日出立するため、パリスの荷物をまとめた二人は結局、同じベッドで寝るのだった

「「カー、クー、カーー、、」」


---


翌日、窓から挿す空の光で、パリスは目覚めた

「んー良い朝だなぁ!こんな朝には、一人くらい、俺のベッドに女を侍らせてたいもんだぜまったく!ハッハッハ!ーーーって、ん?」

「ーーーzzz。。」

ーーーいた


「起きろーカイニス。もう朝だぞー」

「ん、、、ああ。もう朝か。なんだか寝た気がしないこともないが、ーーーふぁぁぁぁ。まぁ仕方ない。」

「とりあえず、着替えたら荷物持って外出てきてくれ。朝飯買って、馬車見つけるぞ。」

「分かった」


---


「んじゃ、メダルの街まで頼んだぜ。」

「ああ、確かに受け取った。」

パリスとカイニスは、無事に朝飯を買って、メデル行きの馬車を見つけた


「ふぅ、早めに見つかって助かったな。メデルの街には、2時に着くらしいから、それまで寝るなり何なり好きにしとけよ」

「了解した。」

そう言って、カイニスは腰にかけていた剣を取り出して、ポーチの中に入れていた葉を刃先に当てだした


「なぁ、何してんだ、それ?」

「コレか?これはだな、私が暮らしていた村の伝統的な剣の研ぎ方なんだ。この葉は特殊でな、表面と裏面に、それぞれ違う細かさのトゲが付いてるんだ。」

「へぇ〜、便利なもんなんだなぁ。あ!てかよ、その剣...いや、確か紅牙抜銘剣(こうがばつめいけん)だったか?それ、なんで勝手に持ち出したんだ?」

「これが、私にとってお守りの様なモノだからだ。」

「へぇ〜お守りかぁ〜、なんかいいな。そういうの」

「...案外、そうでもないさ。」

「そうなのか、、、」


まあ、事情があるみたいだし、深掘りはしないでやるかな。てか、それよりも...

「なんで喋ってくれないんだよ、ジオ。」

「...」

「ん?どうした?パリス」

パリスが空に投げかけた言葉に、カイニスは疑問を持った


「なんで黙ってんだよ。俺なんかしたか?」

「...ハァ、仕方のない男だ。また忘れたのか?貴様は?俺は何度も言ってきたハズだ。...毎月6日、必ず魔術の鍛錬をしろ、とな。」

「...あ゛」

「どうしたんだ?パリス」

「いや、その、うん......ね?」

ヤベェヤベェヤベェヤベェヤベェ!!完ッーーー全に忘れてた!今日ってもしかしなくてもーーー


「今日は何日だ?パリス」

「も、もしかしてですけど...6日、とか?」

「よく分かっているじゃないかパリス、大正解だ。」

あーあ終わった。


「なんだ?2人は毎月6日、魔術の鍛錬をする日だと約束していたのか?」

「ああそうだ。だが、コイツはその約束をよく破る。」

「ジオ頼む!ホントにコレっきりにするからよ、「アレ」だけは勘弁してくれ!」

「何回目だと?」

「さ、3回...とか?」

「残念不正解だ。正解は、18回目だ。」

「あー、そうですか。」

「ということで早速だがーーー始めよう。」

「また座学地獄コース(あれ)が始まるのかよ泣」

「そう喜ぶなパリス。何、馬車は出発したばかりだ。時間はまだまだある。それにーーーメデルの街に着いても、終わりだと思うなよ?」

「ハイ......」

ハァ、、、今日は、メデルの街に着いても、仲間探しには行けなさそうだな。と、考えるカイニスだった


---


ーーー18時半

「あ゛あ゛ーーーーーー!!!や゛っ゛と゛!終わった!!!」

「馬車に乗ってから日暮れまで、計10時間、魔術の鍛錬をしていたな。パリス...いつも、こんななのか?」

「もう、やだ...」

「パリス。次約束を破ったら、これの倍は覚悟しておけよ。」

「次は絶対覚えとくからな!!」

次もどうせ忘れるんだろうな。と、考えるカイニスだった






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