2/18−Ⅰ
「実はさ、俺最近彼女できたんだ」
「まじかよ!?あの学年抱かれたい男子ランキング(非公式)晩年ブービーのお前が!?」
「聞いて驚け、今日は朝からなかなか離してくれなかったわ」
「まさかのお泊り!?誰!誰!!」
「お前もよく知ってるあいつだよ」
「えぇ~誰だろ、よく知ってるってことはうちの生徒だよな……あっ、学年抱きたい女子ランキング(非公式)同じくブービーの鬼殺丸あたりか?」
「おい!あんな粗暴な奴じゃねえよ!もっと包容力のある暖かい子だわ!」
「ますますわかんねえよ〜早く言えって!」
「じゃあ特別に大ヒントを教えてやる。まず太陽みたいな暖かい香りが常に彼女をまとってるんだ、それでいて抱きつくと、ふわっとその香りが柔らかく俺を包みこむのさ!」
「……」
「特に冬場は人肌恋しいのかなかなか離れてくれずに困ってるんだ、まあこちとら最高なんだけどな!ガハハ!」
「…お前それってさ」
「お、わかったか?さあ答えは!!」
「ただのふとn」
俺は急いで首から提げていたヘッドホンを装着し、二体の使徒による口撃を防ぐべく自作のATフィールドを緊急展開した。…もうほとんど間に合っていないが。ただでさえ憂鬱な朝から、こんなクソみたいな問答を聞かされたらたまったもんじゃない。とはいえ、こんなくだらない話に耳を傾けてしまった俺にも過失があるのは認めざるを得ない。早春の朝、俺は二体の使徒を突破し、自分自身への嫌悪とともに「学校」へと早足で歩を進めたのだった。