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第66話 豪嵐乱入!? 嵐を呼ぶ激戦

 

 一斉にアーティフィスヴィトロガンを構える《ホムンクルス》の集団へ、《ダイハードファントム》は静かに拳を引く。

「おぉっと待てよ。お前達は手を出すな」

 だが《ホムンクルス》達を《レヴァナント・エクスノウン》が制止する。

「今回は俺と相棒の腕試しだ。黙って見てな」

 すると一糸乱れぬ動きで銃口を降ろす。異様な光景を前に《ダイハードファントム》の握る拳に力が入る。

「そんなに緊張すんなよ」


 刹那、《レヴァナント・エクスノウン》のアーティフィスヴィトロガンが火を吐いた。


 撃ち出されたエネルギー弾は《ダイハードファントム》に直撃。避けられなかったのではない。避けなかったのだ。着弾した頭から煙こそ上がるが、傷一つ付いていない。

「お互い楽しもうや!」

 しかしそれは目眩し。エネルギー弾を陰に突っ込んだ《レヴァナント・エクスノウン》は、《ダイハードファントム》へ拳を叩きつけた。

「……」

「いってぇ!?」

 《ダイハードファントム》はまるで動じず、対する《レヴァナント・エクスノウン》は悶絶しながら殴った手を摩る。

「硬すぎんだろ」

「遊びならもう終わらせるぞ!」

「おっと!」

 《ダイハードファントム》の拳を躱すと、《レヴァナント・エクスノウン》はアーティフィスヴィトロガンを持った右腕を分離。四方八方から銃撃を加えながら反撃の蹴りを見舞う。

「ノーダメってのはおかしいだろ! チート使ってんのか!?」

「お前が弱いだけだ」

「言ってくれんじゃねーの!」

 攻撃を喰らい続けてなお、《ダイハードファントム》には傷一つない。

「新しい力をゲットしても無双出来ねーなんて! 全然燃えねー!!」

「ふんっ!」

「あっ、やべ」

 《レヴァナント・エクスノウン》の左腕が捕まえられる。すぐさま切り離して離脱するが、これでほとんど丸腰となる。

「諦めて帰れ。お前達に構ってる場合じゃないんだ」

「いやこっちは構わなきゃならんのよ……それに」

 《ダイハードファントム》が掴んでいる《レヴァナント・エクスノウン》の左腕がピースサインを掲げた。


「分かったぜ、攻略法」

「なにっ、ぐぅっ!?」


 その時、《ダイハードファントム》の肘が撃ち抜かれ、左腕を取り落とす。

「ベターだがな、関節なんかは他より硬く出来ねぇ。まぁそれでもバカ硬ぇが」

 落ちた左腕はイリガルヴィトロガンを生成。2つの銃撃が首、腕、足、あらゆる関節部を狙い撃つ。

「うぐぁっ!!」

「今の俺達のパワーなら抜ける」

「こ、のっ!」


《クリティカル リアクション!!》


 《ダイハードファントム》はフラグメントゲートをスライド。銃撃に耐えながら拳を振り上げる。


「そんなんで当たるわけないだろバーカ!」

「うるっ、せぇ!!」


《ノーム・ガネーシャ!! アルケミックヘビーインパクト!!》


 融合した拳の装甲を振り下ろす。飛び交う《レヴァナント・エクスノウン》の両腕を捉える事は出来ない。

 だが狙っていたのは始めから、


「っ、そういう事かよ!!」

 地面だった。超重量の拳が剛力で叩きつけられた事により、大きく震えると同時に道路が陥没。

 体勢を崩した《レヴァナント・エクスノウン》は破れた地面に拘束されないが為に両腕を呼び戻し、仕切り直しを余儀なくされる。一度ネタが割れれば守りを固められ、ペースを奪うのはより困難になるだろう。


「なら予定通りで行くかぁ!」


 《レヴァナント・エクスノウン》は即座に左腕を射出。《ダイハードファントム》が拳を戻すより早く迫る。

(また狙うつもりか!?)

 《ダイハードファントム》は守りの構えを取る。だが左腕はイリガルヴィトロガンを捨て、

「貰った!」

 フラグメントゲートからあるものを抜き取る。


 すると瞬く間に《ダイハードファントム》の装甲が剥離。変身が解けてしまう。


「フラグメントアンプが!?」

「へへへ、このままじゃ泥試合になりそうだったからな。先に依頼を達成しておいたわ」

「依頼……?」

「てなわけで、ほらよ! 約束の品だ!」

 投げられたフラグメントアンプが宙を舞う。放物線の終着点にいたのは、


「翡翠ちゃん……?」


 良かった、翡翠ちゃんがそこにいてくれて。そう言いたくても言えない理由があった。



「はいありがと」



 あまりに冷たい、それでいて意志が込められた瞳。フラグメントアンプから外されたテラノーム・フラグメントが投げ捨てられるが、琥珀は拾えずに立ち尽くしていた。


「まさか、ソウリストユニオンに……」

「何の話? 別に彼奴の味方でもユニオンの味方でもない」


 《フラグメントアンプ・ヴェントスシルフィーネ》


 フラグメントアンプにヴェントスシルフィーネ・フラグメントを装着。そして懐から新たなフラグメントを取り出す。

 そこに象られていたのは、雷に似た翼を持つ巨鳥。


《イドローヘノ・サンダーバード!!》

《ボルテックス・リアクション!!》


「私は、先輩の味方だから」

 装填したフラグメントゲートから電流が迸り、フライトジャケットと髪が宙に揺蕩う。

 現れた石門を覆う、雷の翼をはためかせる巨鳥。その周りを無数の精霊達が笑いながら取り囲む。


「変身」


 バク転と同時にフラグメントゲートを蹴り上げ、扉が開かれる。

 弾け飛んだ扉の破片を精霊達が掻き集めると、巨鳥へそれらを貼り付けていく。そして巨鳥が破片の装甲を身に纏うと、精霊達は自ら嘴の中に飛び込んでいく。


《ゲート カイホウ!!》



《ビリビリ シュババーン!! ビルディング・ザ・サイクロンブースター!! ガストスピリット!!》



《スピリット・シルフィーネ理論 オーバーラップ・サンダーバード!!》


 翡翠は《スピリット》へ変身。同時に巨鳥が分離し、《スピリット》の身体へ合体していく。

 両腕、両足を挟み込むように装甲が圧着。右腕の装甲から巨大な二連装の砲身が伸び、左腕には一本の短い砲身が伸長。両足からはバーニアノズルが突出し、背中の翼に似たスタビライザーからは雷を吐き出すスラスターが姿を現す。


 それは《スピリット》をコアユニットとした巨大兵器と形容しえる姿。《ガストスピリット》は全てを睥睨する様にゆっくりと飛翔し始める。


「ねぇ一応聞くけど俺達まで巻き込まないよね? 土の錬生術師だけだよね?」

「あんたもユニオンとつるんでるのは知ってる」


《クリティカル リアクション!!》


 期待していた返答ではなく、《レヴァナント・エクスノウン》は肩を落とした。

「あぁはいそうっすか。よし逃げるぞ相棒!」

「っ!」

 躊躇いもなく向けられた雷を迸らせる砲身。それを見た琥珀は捨てられた自らのフラグメントへ走った。


《シルフィーネ・サンダーバード!! アルケミックハリケーンブラスト!!》


 両腕から発射される3つの弾丸。風を穿つ雷撃を伴ったそれらは地面にぶつかった瞬間、巨大な竜巻となって一帯を飲み込んだ。



 風が止む。そこには逃げ遅れたユニオンの錬生術師が数人転がり、傷だらけになりながら片膝をつく琥珀がいた。

 《ガストスピリット》の攻撃が着弾する刹那、琥珀は再度《ファントム》へ変身した。故に致命傷こそ避けられたが、直撃を避ける事は出来なかったのだ。


「翡翠ちゃん……どうして……!?」

「この力があれば先輩を守れる。刑事さんにこの力が無ければ先輩は無茶出来ない。簡単でしょ?」


 《ガストスピリット》は冷たく言い放ち、空を駆けて去ってしまった。

 追うことも出来ず、琥珀は遂に倒れ伏す。

「こんな事になるなら……あの時……!!」

 敵だと言って突き放さず、お互いの気持ちを確かめ合っていれば。


 ユナカを死なせたくないという気持ちは、同じ筈なのに。




続く

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