レバーアクションライフル (参照画像付き)
ヤキタコの運転する白いワゴン車に乗って
連れてこられたのは、射撃訓練場だった。
そこは学園から川の下流側、
つまり、市の中心部の外壁にあった。
そう、射撃場自体が他の建物と一緒に
外壁の一部となっているのだ
かすかに漂う人型の腐敗臭に顔をしかめながら、
ヨッシー一行は射撃場の中に入っていった。
それは廃工場で、中にあった機械設備類は
取り払われている。
がらんどうとした広い空間に待っていたのは、
ウメさんとちんかわむけぞうだった。
ウメさんが言った
「おはよう皆、よく眠れた?
さて、昨夜からすでにムケチン作戦は
始動していて、制作班や資材準備班が
徹夜で働いてくれたわ。
さらに、早朝から、大型ドローンによる
物資投下作戦を行っている最中よ」
射撃場に来たのは、
ヨッシーとスミレとリナとリサの4人だ。
ウメさんは、濃紺色の警察の出動服を着ていて、
95式軍刀を腰の左側に差している。
それは旧軍風ではなく、まるで
”警視庁抜刀隊”のようなスタイルだった。
さらに、腰の右側に
拳銃が入ったホルスターを下げていた。
その拳銃は、グリップの形状から
リボルバーではなくオートマチックみたいだが、
詳細はまだ分からない
ちんかわむけぞうは、
派手な原色のラインが入った白装束。
その肩の部分にはブラックホールのエンブレム
腰の左側に柄の長いハンティングナイフと、
右側には9ミリ拳銃の入ったホルスターを
下げている。そして、もちろん、
ステンの丸パクリのようなサブマシンガンを
背負っていた
ウメさんは、4人を見渡しながら続けた
「そして....ついに今日の午後4時から、
私たち実行部隊の出番が来るわ
これから私たちは、
人型が支配する外界の真っただ中で
作戦を行うことになる。
実行部隊の3チームの内、
人型と遭遇する可能性が特に高いのは、
ちんかわ君の『チームアルファ』と
私とヨッシー君の『チームブラボー』ね。
ちんかわ君は既に銃の腕前が神レベルだから、
ヨッシー君を、この短時間の内に鍛えないと
いけないってこと。
でも、残りの3人も安心しちゃダメだからね。
3人には、シングルショットガンの扱い方を
学んでもらうからね」
スミレとリナとリサは、真剣な表情で頷いた
机の上に、単発式のショットガンと
12ゲージのショットシェルが載っていて、
30メートル先には標的があった。
標的は可動式で、地面に敷かれたレールの上を
電動で走る土台の上に設置されている
それは、人型の胴体に見立てた丸太の上に、
人型の頭部に見立てた粘土のボールが
突き刺してあった。
むけぞうが、コントローラーで土台を
操作しながら言った
「このショットガンの有効射程は
30メートル程度だが、
標的は15メートルに設定する。
丁度、4車線道路の横断歩道の
端から端までの距離だね
この程度の距離なら、100発100中で
当てなければダメだからね!
もしも外したら、あっという間に
人型が迫ってくるよ」
ウメさんが、ショットガンの構造を教えている
「ハンマーの後ろのレバーを親指で引いたら
こうやって、パカッと折れるから。
そのまま銃身のケツにシェルを押し込むのよ
そして、カチャッとなるまで元通りにして、
撃つときはハンマーを起して
引き金を引くだけよ。
それじゃあ、リナさん、やってみて御覧」
リナは、ウメさんから銃を受け取った
革ジャンにジーンズに革ブーツのリナは、
銃を持つ姿もキマっていた。
教わった通りに、中折れ式のショットガンに
弾を込めて元通りにした
リナの斜め後ろに立つウメさんが言った
「この状態では、ハンマーを起してなくても、
仲間に銃口を向けるのはダメだからね!」
リナは、銃を構えると親指でハンマーを起した。
むけぞうが、リナの射撃姿勢を正しながら
言った
「照準は、リングサイトになっている。
丁度、リアのリングの中に、
30メートル先の人型の頭部が
すっぽりと収まるようになってるんだ。
この距離だと、リングから粘土ボールが
はみ出るくらいだろ?
んで、フロントの棒の先端が、リングの
中央に来るように....
ちなみに、シェルは、
”12ゲージ・ダブルオーバック”だ。
鉄球が9発入ってて、その一つ一つが
30メートル先の人型の頭蓋骨を
貫通する威力で....
よし、狙いが定まったらファイアだ!!」
ズドンッ!!
銃を構えたリナが後ろ向きにのけぞった。
薄い白煙が漂う中、皆は標的に目を凝らした
15メートル先の粘土ボールのど真ん中に、
9個の穴が空いている
リナは、銃を再び中折れ状態にした。
エキストラクターによって、
空薬莢がスポンッと後方に飛ぶ。
ちょっとビビりながらも銃を元通りにし、
リナはドヤ顔で振り返った
穴の開いた粘土を元通りにし、リサの番だ
ロングTシャツにレギンス姿のリサも、
同じく粘土ボールのど真ん中に命中させた
むけぞうは驚嘆した
「さすがは、アスリート姉妹!!」
トレーナーに、ダメージドデニムの
ショートパンツ姿のスミレは、
粘土ボールの端っこに命中させた。
粘土の端がぐしゃりと大きくひしゃげる
むけぞうが言った
「一応は人型を倒したぞ....まあ上出来だ。
さて、インストラクターを一人付けるから
君達3人は、しばらくここで練習してくれ
それで、ヨッシー君なんだけど....」
次は自分の番だと思っていたヨッシーは言った
「あ、つまりは俺は別の銃でってことですね。
多分、ステンもどきだと思いますけど、
それは別の場所で撃つんですか?」
むけぞうが答えた
「そうだ、このショットガンは
あくまでも自衛用だ。でも君は、
”積極的に人型を
攻撃しなければいけない状況”
に出くわすかもしれない
だから、別の銃でってのは正しいけど
ステンもどきじゃないのを使ってもらう。
というのも、慣れてない者が
フルオートのサブマシンガンを扱うと、
あっという間に弾を消費してしまってね」
インストラクターのおっちゃんが来ると同時に、
ウメさんとむけぞうとヨッシーは
”特別射撃コーナー”に向かった
なんとそこは、工場の地下室だった
地下への階段を降りてから、むけぞうが言った
「この地下室は、かつては工業用薬品や
可燃物を貯蓄するための倉庫だったんだ」
フォークリフトが出入りするための
巨大な入り口は、
頑丈なシャッターで閉めらている。
そのすぐ側に巨大なエレベーター。
そして、シャッターの脇に、
人用の小さなドアがあった。
ドアと言っても金属製の頑丈なもので、
後付けの閂が取り付けてある
ヨッシーは驚いた
「ずいぶんと、厳重に戸締りをされてますね」
ウメさんとむけぞうが、二人がかりで
閂を取って床に置く。
さらに、ドアノブの下のサムターンを回した
ということは、つまり....
こちらから見てドアの外側に、鍵を挿すための
シリンダーがあるということだ。
(中に入って外から鍵を掛けられたら
出られないってことか?
なんでこんな....)
ヨッシーは嫌な予感を覚えた
しかし、ウメさんとむけぞうはドアを開けて
中に入っていく。
ヨッシーは続いた
・・・・・
倉庫の中にはかすかな悪臭が漂っていた
照明は生きていて、まるで演出のように
机の上に一丁の銃が置いてある。
銃の横には、黄銅色のピストル弾がズラリと
立てて並べてあった。
その弾は、弾頭の上半分が鉛色だ。
机の先には、何もない広い空間が広がっている
しかし、目を凝らしてみると、一番奥から
横にクイッと空間が折れているみたいだ。
(そういうことかよ....まあ、口に出すのは
やめておこう)
ヨッシーは、”特別射撃コーナー”の意図に
気が付いたのだった。
机の上の銃は、ヨッシーもよく知っていた
なぜなら、ジジイが大の『西部劇』好きで、
家でよく見ていたからだ
むけぞうが静かに説明する
「この銃は、レバーアクションライフルだ。
ウィンチェスターM1873カービンの
丸パクリでね。
うちのガンスミスが趣味で造ったものだが、
思っていた以上に使えるってことで
量産されている....
弾は、ステンもどきと同じ、11.5ミリ弾。
装弾数は12発だ」
ヨッシーが言った
「トリガーガードの下の輪っかに指を入れて、
ガチャってして装填するんですよね?
西部劇の銃ですね」
むけぞうは、フッと笑った
「若いのによく知ってるね!
まあ、西部劇だけじゃなくてFPSゲームでも
登場してたしね。
ちなみに、こいつの通称は「アウトロー」だ」




