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最終決戦~戦利品

ヨッシーたちの行動は、思っていた以上に

多くの目に触れられていた。


島の沖合では、自衛隊の『偵察ヘリ』が

飛行している。

これは、

チョコボーラーが、海賊共を監視するためだ


そのはるか上空には、

アメリカ軍の『ステルス無人偵察機』が

飛行している。


.....これは、

ビーグル社の”タロサン”による指示だった


そして、本土の山影に隠れるように、

『飛行船ドローン』が低い高度を滞空していた。

これは、もちろんリバーサイド同盟の目だった


さらに、島の人々の目と海賊共の目も、

ヨッシーたちに釘付けになっていたのだ



//////////////////////////////////////////



ボフォース船からの距離は約1キロになった


ジジイは、斜め後ろに移動させた椅子から、

”変装セット”を手に取った。

代わりにバーボンを椅子の上に置く



「まあ、海賊共はリナとリサに

 注目しているはずだし、

 俺なんぞ見ることは無いと思うが。

 一応、ウメさんが作ってくれたからな


 とりあえず、俺は変装するぜ」



変装セットと言っても

それは大仰なものではなく、

単に黒いタオルを暖簾状に細かく切った代物だ

 

ジジイは、それを頭と口元に巻いた


この海賊船の船長だった、”頭頂ハゲ&髭”の

真似だ。


舵輪の横の通信スマホから、

ヨッシーの声がした



「くっそ、変装したジジイの姿が見てえ」



ジジイは、

ウメさんから貰ったコンパクトミラーで

自分の顔を見ながら言った



「遠目からだし、フロントガラス越しだからな。

 こんなもんで十分だろう....


 ふむ、久しぶりに頭部に

 黒髪が生えている気分だ」



『漁船タイプ』の海賊船と、

曳航された『つぎはぎ丸』は、

ゆっくりとした速度で島の港に向かっている


目の前には、

こちらに船首を向けている2隻の海賊船


『底引き網漁船タイプ』のボフォース船と

『水上交通船タイプ』だ。


ジジイは言った



「リナ、リサ、あと1分ほどで

 海に飛び込むぞ、いいな?」



リナからの返答が来た



「了解!!ほらっ、

 2隻の海賊船の船首に人が集まっているわ!

 なんだか、こちらに手を振ってるっぽい


 一応ジジイも手を振り返して!」



リサの声も聞こえる



「ふふふ、多分、望遠鏡で見てるんだろうけど、

 私達の姿に興奮してるのかねぇ」



ヨッシーの声も聞こえた



「ああ、すぐにその歓喜を絶望に変えてやるぜ」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



『漁船タイプ』の海賊船は、

ずんぐりとした船体に、中央のブリッジが

船尾まで伸びているような不格好な船だ。


そして、ブリッジ先端の操舵室の上には

レーダーマストがあった。

そのマストに2人して縛られているのは、

”競泳水着姿”のリナとリサだった


....もちろん、

実際には縛られているわけではなく、

すぐに自力でロープをほどくことが出来る。

そして、リナの手には通信スマホが

握られていた。


ちなみに、通信スマホは、誤動作が無いように

操作は非常にシンプルに改造されている。


本体横のボタンを押すと、

こちらからの音声はシャットされて、

プレイべートの会話をすることが出来る。


リナは、そのボタンを押しながら言った



「リサ、後1分で飛びこむから!

 身体を震わせて、しっかりと

 サイレント準備運動をするんだよ


 ちなみに、今は

 プライベート会話モードだからね」



隣のリサが身体を震わせながら言った



「分かってるってお姉ちゃん。

 それに、私達が飛び込んだ後も、

 それで終わりのつもりはないし!


 ジジイとヨッシーの面倒を見ないと

 いけないからね。

 あの二人は、後先考えない人達だから」



船が進んでいるので、

2人の身体には風が当たって冷たい。


しかし、空は晴れわたり、波も穏やかに見える


まさに、絶好の”攻撃日和”だった


目の前には、

ゆっくりと迫って来る2隻の海賊船....


リナが言った



「天候も私達に味方してくれてるし、

 砲撃は成功すると思うよ。


 だけど、あの二人、その後のことを

 全く考えてなかったからね。


 絶対に、ぜーーったいに、

 ”私達のヒーロー”を、

 皆のところに連れて帰らないといけないよ!


 その為には、私達の水泳能力を、

 フルに発揮する場面が来るかも」



リサが言った



「うん、本当に、私達のヒーローだからね、

 あの人たちは。

 本人たちが自覚してるのか知らないけどさ


 首に縄をつけてでも、皆の所に帰さないとね」



////////////////////////////////////////



『底引き網漁船タイプ』の海賊船では、

船首に乗組員たちが集結していた。


こちらにゆっくりと向かってくる『漁船タイプ』


青と赤のツートンカラーで、船首近くの部分が

大きく凹んでいる。

....昨夜、特攻してきた木造船のつけた傷だ。

今朝、それとは別の木造船を拿捕したらしく、

戦利品?として曳航している。


そして、何よりも、

操舵室の上のレーダーマストには・・・・



ちなみに、『底引き網漁船タイプ』には、

全部で8人が乗っていた。

船は、海中にアンカーを降ろして停泊している。

なので、なんと

8人全員が船首に集まって興奮しているのだ。


双眼鏡を覗く数人が言った



「おおお観ろよ、競泳水着姿の女が2人だ!

 それも、とんだ一級品だぜ!!」


「うおっ、マジで2人とも

 顔もスタイルも超上物だな!!

 やべぇぜ、興奮しまくりんぐーー」


「チャオ船長、流石だな!!

 マストに縛り付けるなんてサディストだぜ、

 ヒヒヒ」


「ぐへへ、あの女ども、

 全身をブルブルと震わせてやがる!

 ぐへへへ、怖がっている姿がソソるぜー」


「今日の山狩りでも女を手に入れるんだろ?

 ようやく今夜こそは大いに楽しめるのか?

 ちくしょーー、やっと来たなああ」



下卑た笑みを浮かべる海賊共.....


そして、給油と交代人員の為にやってきた

『水上交通船タイプ』でも、

やはり船首に皆が集まって興奮していた



もう、距離は500メートルを切っている。

まさに、目と鼻の先だ....



「!!!!!!!」



....と、唐突に

マストに縛られた2人の女が消えた


身体を縛っていたロープを振りほどいて、

いきなり海に飛び込んだのだ



「おいっ........海に飛び込んだぞ.........

 どうなってんだ?」



唖然とする海賊共.....


そう、鍛え上げられた肉体と、

素晴らしい美貌を持つ二人の少女は、

海賊共ごときがどうこう出来るような

存在ではなかったのだ。


そして、『漁船タイプ』の操舵室では、

フロントガラス越しにジジイが中指を立てていた




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