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最終決戦~出撃

時刻は午前8時になった。


この時間から、

ビーグルマップの衛星撮影が再会されて、

以降は2時間ごとにマップは更新される。


しかし、ワクワクポートについては、

ホルガーダンスク・クラブの”タロサン”が、

上手く画像を処理して誤魔化してくれるそうだ


タロサンは他にも、島に居る海賊どもに向けて

ウソの通信を続けてくれている。



・・・・・・・・・・・・・・・・・



まずは、

ヤングジジイの操船する『おとこ丸』が

出航した。


おとこ丸は、船内に6人の子供たちと

2匹の犬たち、そして、

海賊共から手に入れた武器を乗せていた


大量の『FN-FAL』に『AK-47』、

大量の拳銃に弾薬、『RPG-7』、などなど


それらは今後、島を自衛するために

大いに役に立つことだろう。


まあ、積み込み量が多いおかげで、船の喫水は

深く沈んでいる。


ジジイは、

浮桟橋を離れる『おとこ丸』に向けて言った



「ヤングジジイー、

 できるだけ川の真ん中を通って

 ひたすら上流を目指すんだー


 川の水深は十分だと思うが、念のために

 ゆっくりと行ってくれーーー


 リバーサイド同盟に着いたら、

 皆が迎えてくれるーー


 JAの建物で、珈琲とおにぎりを

 振舞ってくれるぜー

 

 柑橘系の清涼飲料水と、

 イチゴとリンゴとおせんべいも食えるかもー


 とにかく、子供たちを頼むぞーーー

 ついでに、犬たちもなーーー


 無事に、リバーサイド同盟まで

 皆を連れていってくれよーー」



操舵室の窓から顔を出してヤングジジイが

応える



「ジジイ―ー分かってるってー

 もう何回も聞いたぞーー


 任せとけってーー

 

 そっちこそ、生きて戻って来いよーー」



笑顔だったヤングジジイは、

ふいに顔をひっこめると、正面を向いた


.........分かっている、

多分、これがお互いの”今生の別れ”になろう


ジジイは、小さく呟いた



「まだお前さんの順番じゃあねえ...


だが俺は、ここで待ってるサブジジイと

 合流しなきゃなんねえ。

 何よりも、阿呆ヨッシーの代わりに

 神様にこの身を捧げねえと」



そして、ちらりとワクワクポートのほうを向き、

最後におとこ丸の後部デッキに居るスミレを

見つめる。


ユッキーとプリンス、3馬鹿少年、スミレ、

そして犬太郎と犬次郎は、

後部デッキに固まっていた。


ヨッシーは、遠ざかって行く彼らに向けて

手を振っていた。

両隣には、リナとリサも同じく手を振っている


少しふくよかな体型のユッキーが言った



「ヨッシー、頑張ってねー、

 あんたなら大丈夫だよーー

 信じてるからーー


 リナとリサもーー

 絶対に帰ってくるんだよーー」



ウェーブしたロン毛の嫌味な外見のプリンスも

言った



「すまねえなーー俺も参加したかったが、

 他の連中を守らないといけないんだーー

 だから行けない、分かってくれーーー」



スミレの両隣には犬太郎と犬次郎が居た



「クウーン、ウーン」「ワン、ワウン、ウー」



犬達は、遠ざかって行くヨッシーとむけぞうの

姿を名残惜しそうに見ている。


そんな犬達を両脇に抱いて、無言でこちらを

見つめるスミレ



(犬太郎、犬次郎....

 スミレを慰めてくれてるんだな。


 本当に賢い犬たちだ、

 なぜか俺とむけぞうさんの前では

 理性崩壊するが、いい犬だぜ)



やがて、『おとこ丸』の姿は消えた


浮桟橋に残っているのは、ヨッシーとジジイ、

リナとリサ、

マッシュルーム眼鏡とむけぞうとウメさんの

リバーサイド同盟組だけになった。


おとこ丸はこれから川を遡り、

島の子供たちは、

リバーサイド同盟が保護してくれるだろう


ヨッシーが言った



「これで後顧の憂いは無くなったな。

 俺たちは心おきなく

 戦いに向かうことができる」



そして、改めて自分の武装を確認する


恰好は、釣り人用のベストに、

カーゴパンツ姿だ


ベストのポケットには38スペシャル弾が

入っており、カーゴパンツの膝ポケットには

スミス&ウェッソンM360J『SAKURA』が

入っている。

さらに、腰のベルトに

シース入りのサバイバルナイフを差している。


レバーアクションライフルは返却するので、

リバーサイド同盟組に渡していた。


そして、ジジイもニューナンブM60を律儀に

返却して、代わりに海賊共から手に入れた

コルト45(M1911)を腰のベルトに差していた


ヨッシーは独り言を呟いた



「まあ、拳銃は単なる気休めだ。

 ナイフはロープを切ったりとか、

 咄嗟の役に立つかもしれないが....


俺たちの唯一の武器は、”彼女”なんだ」



そして、『つぎはぎ丸』の前部デッキに

括りつけられた120ミリ艦載砲のほうを見た


例の”イギリスン・金髪美女”が、

砲身の上に座って

こちらに小さく手を振っている.....


ヨッシーの独り言をジジイが拾った



「ああ、俺たちが考えるべきは、とにかく

 ボフォース57ミリを破壊することだけだ。


 そいつを積んだ『底引き網漁船』だけが

 俺たちのターゲットだ。

 他は何も考えるな!


 ボフォースさえやっつけたら、

 島の隠れている連中が

 一斉蜂起することになっている。


 後のことは、そいつらに任せるしかない


 いいな、俺たちは特撮ヒーローでも強者でも

 なんでもない、

 自分達だけで全てをこなせるなんて思うな」



ヨッシーは苦笑いをして返した



「分かってるってジジイ、ボフォースでさえ

 俺たちの手に余るくらいの強敵なんだ。

 

 私情や傲慢で動くほど、

 俺もアホじゃねえっつ!」



すると、天才水泳姉妹が

おもむろに服を脱ぎ始めた


リナが言った



「さて、私たちも”戦利品”としての

 役割を全うするかね」



リサも言った



「私たちも決して慢心してるわけじゃないけど、

 戦利品としての価値は

 それなりにあると思うな」



///////////////////////////////////////////



拿捕した『海賊船』と、

それに牽引された『つぎはぎ丸』が

港から出て行った....


その後ろ姿を眺めるのは、

残されたリバーサイド組だ


ずっと沈黙していたウメさんが言った



「ハア....いくら鍛錬を重ねて

 自身が強くなっても....

 募るのは無力感ばかりね。


 何も出来ない自分が歯がゆくて仕方ないわ」



むけぞうが返した



「ええ、全くです。

 世の中、個人の持つ力なぞ無に等しい


 でも、その力が少しでも

 彼らの役に立ったのなら、

 俺は自分が誇らしくて仕方がないですね」



今、浮桟橋に残っている船は

『モーターボート』だけだ


マッシュルーム眼鏡が言った



「ねえ、このワクワクポートから島までは

 14キロほどの距離があるけど。


 でも、漁港町の東にある『自然公園』、

 ウメさん覚えてるでしょう?


 昔、ツーリングで立ち寄ったあの広大な公園、

 そこの海に突き出た”岬”なら、

 島まで10キロもありません。


 それに、そこには

 小さな船着き場もあった気がする


 双眼鏡を使えば、なんとか見えるかも」



マッシュルーム眼鏡の手には、

立派な”双眼鏡”があった。


彼は、少し微笑んで続けた



「この双眼鏡は、

 海賊船の操舵室にあったヤツです。

 もちろん、小島さんは要らないってことで

 僕が貰いました。


 それに、ただ観戦するだけじゃなくって、

 もしも、もしもの場合、僕達もすぐに

 島に駆けつけられるようにしたいと

 思いませんか?


 お二人は、あまりにもご自身の力を

 謙遜なさっているが、

 僕はそうは思いませんからね!!」



そして、むけぞうとウメさんを促しながら、

モーターボートに飛び乗ったのだった




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