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大日本帝国海軍

漁港町の背後には険しい山々が連なっている。

その中の、とある山の中腹に

その「神社」はあった


神社からさらに下ったところには

「鉄道」が走っている


かつて、漁港町と旧県庁所在市を結んでいた

路線だ


高台にあるその神社と鉄道は、

3年前の大洪水の被害にあうことはなく、

ゾンビパンデミック以前の姿を残している


かといって、今も昔も、人の姿が無く

静かなのは変わりない


例えば、漁港町から旧県庁所在市の高校へと

遠距離通学をしていた学生が居たとして、

列車が神社の側を通り過ぎたとしよう


車窓から山のほうを見ていれば、

少し上のほうにある神社に気が付くと思うか?


否、彼、彼女らの目は、恐らくは

美しい海と自分達の漁港町のほうへと

向けられていただろう


もしくは、うつらうつらと夢の中を

彷徨っていたか、

もしくは、スマホゲーでもやっていたか。

中には、真面目に教科書を読んでいた

ガリ勉君も居たかもしれない


要するに、誰も目に留めることのない

非常に存在感が無い神社だった


しかし、そこには、まさに100年近くもの間、

麓の漁港町を見守っていた存在があった


その存在が生まれたのは、明治後半頃だ。

実を言うと、出身地はイギリスだった


しかし、過ごしてきた年月からして、

もはや自らを”ニポンジン”と称しても

誰も意義を唱えるまいて


その存在は、砲口を海のほうへと向けていた


つまり、海から襲い掛かってくる敵に対して、

ずっと睨みをきかせていたのだ


海は、夕焼けの橙色に染まり、

眼下の漁港町は壊滅状態になっている。

そろそろ、世界が闇一色に

染まってしまうだろう


その存在は思った



(子孫どもよ、たかが青二才の豆大砲ごときに

 ビビってるんじゃねえよ!

 いいか、俺を扱っていた連中はな、

 世界中に喧嘩を売ってなんぼじゃ言う

 根性を持っていたんだぜ、情けねえわい...)



すると、暗闇がおし迫ってくる中に、

唐突に激しく輝く光のごとき煌めきを感じた



(おっ、なんだ?感じる...感じるぞ!

 俺のソウルが共鳴している...

 「わくわくポート」から感じるこの煌めきは

 一体何者なんだ?

 俺と奴との運命の出会いがあるとでも

 言うのか?)



その存在の正体は、

かつて大日本帝国海軍の砲艦に搭載されていた

”艦載砲”だった


それは後に、日露戦争の勝利記念として

この神社に奉納され、

第二次世界大戦の金属類回収令をも

乗り越えてきたのだ


かつて日本を守った艦載砲は、今度は

少し規模が小さいながらも、

再び立ち上がる気マンマンでいた



(さあ、俺に気付いてくれ!

 あのむかつく海賊どもに対して

 火を吹かせてくれ!!

 

 ヒントは、「傾斜」と「鉄道」と「川」だ!

 君たちならきっとやれる)



やがて日が落ちて、辺り一面、

一寸先も見えぬ闇に包まれてしまったのだった



 

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