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ムケチン作戦~黒き炎 

『鉄道橋』の上を、列車が微速で前進している。

それと同時にゆっくりと降ろされていく大砲


その真下の川面では、『つぎはぎ丸』が

大砲を追っていた。

鉄道橋の上からは、

数台のLED照明が川を照らしている


つぎはぎ丸は、姿勢を安定させる為に、

自身のエンジン動力に加えて

さらに、2本のロープを船体から伸ばしていた


船尾のピットから対岸のコンクリート土台に

伸びたロープと、

船首のピットからモーターボートに

伸びたロープ。

ヨッシーが操るモーターボートは、

上流に向かって斜めに進んでいる


そして今、『つぎはぎ丸』の船体は、

川の流れに対して直角方向になっていた。


操舵室で舵を取るジジイが、

スタンドに立てた通信用スマホに向かって

言った



「ヨッシー、もう少しアクセルを吹かせ! 

 いいぞ、そのまま舵とレバーを維持だ


 リナ、リサ、準備はいいか?」



ジジイの目の前には、フロントガラス越しに

天才水泳姉妹の姿が見える。

そして、

2人のすぐ頭上には吊り下げられた大砲


リナは、皮ジャケットの胸ポケットに

通信スマホを入れて、

付属のヘッドセットを頭に付けていた


スタンドに立てたスマホから

彼女の声が聞こえる



「いいよジジイ、早く下ろしな!」



ジジイは、左手のロボット義手で舵輪を操作し、

右手をアクセルレバーに置きながら言った



「列車はそのままの速度で前進、

 ヨッシーもそのままだ


 もう少しで着地するぞ!!」



リナとリサが、手を伸ばして大砲に触れた



「2人とも、土台に手を挟まないよう注意!

 スミレ、むけぞうさん、

 ロープを固定する準備を!」



リナとリサが、降りて来る大砲を微調整して

まっすぐにする。


そして、そのまま順調に降りてきた大砲は、

見事に土台に着地したのだった


ジジイは、せわしなく指示を出し続けた



「大砲が土台に着地した!!


 スミレ、むけぞうさん、ロープを殺して固定!

 ヨッシーはそのまま!

 列車は........よし、停止だ、列車停止!!


 いいぞ、リナ、リサ、ワイヤーを外すんだ」



2本のロープに引っ張られ、『つぎはぎ丸』は、

川の流れに土手っ腹を見せたまま停止している


リナとリサは、

緩んでダランとなったシャックルから

吊りワイヤーを取り外した


そのまま振り向いた姉妹は、ジジイに向かって

ドヤ顔で笑みを浮かべた


ジジイも同じ笑みを二人に返した



「大砲の積み込み成功、

 繰り返す、大砲の積み込み成功だ!!


 皆、お疲れさん、本当にありがとう

 

 ムケチン作戦の第一段階は、

 これにて無事終了だ」



船の甲板に降りた大砲は、砲口を船首に向け、

セクシーなケツをジジイに向けていた


それを見ながらジジイはこう言ったのだった



「クールでセクシーで美人なベッピンさん、

 ようこそ我が”つぎはぎ丸”へ」


 

////////////////////////////////////////////



川岸のコンクリート土台には、

大砲を積んだ『つぎはぎ丸』が接岸している。

さらにヨッシーの操る『モーターボート』が、

『つぎはぎ丸』の片舷に繋がれた


リナとリサが、ロープでモーターボートを

固定してくれている。

ヨッシーは、即座につぎはぎ丸に乗り移った


笑顔のリナとリサが、

こちらを向いて片手を上げていた



「リナ、リサ、お疲れさん」


「”ナイスボート”だったよヨッシー」



勢いよく2人にハイタッチをするヨッシー


鉄道橋から傾斜を下って、

ウメさんとマッシュルーム眼鏡が

来るのが見える。

スミレとむけぞうは、コンクリート土台に居る。

さらに、犬太郎と犬次郎も


ムケチン作戦実行班のメンバーが

勢ぞろいしていた


ウメさんとマッシュルーム眼鏡が、

鉄道橋から持ってきたLED照明を

周囲に設置している。

やがてコンクリート土台の周辺は、

明かりに満ちた安らぎ空間のようになった。


どことなく、夜の川辺でキャンプをして

バーベキューでもするリア充のような光景だ


ヨッシーは、ジジイの居るブリッジに入った



「ジジイ、やったな!これで俺達は....って、

 何をマイスマホを見て固まっているのかね?」



操舵室の室内灯に照らされ、

長身に禿頭に白い髭のジジイが見える。

ジジイは、マイスマホを見ながら言った



「ヨッシー、ワクワクポートが襲撃された!

 今、サブジジイの『まんぷく丸』が

 囮になっているらしい....


これから、子供たちを乗せた『おとこ丸』が

 こちらにやってくる!」



そして、ブリッジを出て皆のほうへ向かう


ヨッシーは、操舵室に残って

呆然と立ちすくんでいた



「クソ、何でこんな時間に...一体何が目的だ」



ふと、フロントガラスを見ると、

目の前には”120ミリ艦載砲”


そして、振り返ると、木箱に収められた数発の

”近接信管付き120ミリ榴弾”


さらに、ブリキ缶に入った

”砲弾底部取り付け式リモート火菅”と、

”トリプルベース発射薬の薬嚢”と、

”発射用リモコン&照準キット”


さらに、壁に立てかけてある、細長い棒状の

”装填+清掃用ロッド”


透明バインダーに挟んである

”取り扱い説明書(スマホにも入ってるよ)”


.....などなど



心の中に、例の金髪美女の微笑みが浮かぶ



「落ち着け、落ち着け....そうだ、俺達はもう

 一方的にやられる弱者じゃない!


 今や強力な反撃手段を持っているんだ」



さらに、思い浮かんだことを言葉に出す



「それに、これはまさに飛んで火に入る何たら

 ...つまり、チャンスに出来るかもしれない」



と、妹のスミレがドアを開けて入ってきた


狼狽した感じのスミレは、こすからい鋭い目を

ヨッシーのほうに向けて怒鳴った



「ちょっと、にぃ、

 何をブツブツ独り言呟いてんの?

 キモイっての、早く皆のところへ来て!!


 ワクワクポートが

 大変なことになってるんだって!!」




 

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