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ムケチン作戦~全員集合

『鉄道橋』のチームチャーリーは、

連絡を受けて列車の到着を待っていた


橋の上には、ジジイとリナが居る。

スミレとリサは、

川岸に係留されている2隻の船を守るために

『つぎはぎ丸』に残っていた


禿頭に白い髭、長身にロングコートのジジイは、

ポンプアクション式の連発式ショットガンを

持っている。

セミロングの髪に切れ長の目、

革ジャンにジーンズと革ミドルブーツのリナは、

単発式ショットガンを持っている


2人とも、まるで西部劇の登場人物に見えた


そして、ついに眩しい光とともに

『シセⅢ型気動車』が到着したのだった。

列車は、鉄道橋の手前で止まった


眩しいヘッドライトが消え、ジジイとリナは、

ほぼ真四角の列車正面と対峙する。

室内灯が付いているので、車内がよく見えた


真正面右側の運転席の窓からは、

マッシュルーム眼鏡の技術者が手を振っている


そして、2人から見て左側の出入り口から、

ヨッシーが降りてきたのだった



「いようっ、ジジイ、リナ!!

 なんだかスゲー久しぶりに再会した気分だ。

 さて、見ての通り、

 神社から”彼女”を連れてきたぜ」



ヨッシーの背後では、

窓から突き出した鉄骨にぶら下がる大砲が、

こちらに砲口を向けていた


”彼女”は、車内からの明かりに照らされて

そのセクシーな姿を見せている


ジジイは、列車の左側を覗き込んで言った



「ほおー、こりゃあ

 大層なベッピンさんだなオイ!!

 こんな美人さんを連れて来るなんて、

 ヨッシー、お前も片隅に置けねえぜ!!」



ジジイとヨッシーは、

同じ表情でニヤリと笑った。


ショットガンを肩に担いだリナが言った



「いようっ、ヨッシー、お疲れさん!

 まあ、色々とあったけど、

 無時に帰ってこれて何よりだね」



チームチャーリーから送り出した性犯罪者、

”矢之板智”は、ここに戻ることは無い....


しかし、3人とも

その事については触れなかった


そして、車内から続々と他メンバー達が

降りてきた


白装束のちんかわむけぞうに続いて、

『チームデルタ』の犬太郎と犬次郎が出現する


リナがビビッて言った



「ちょっ、え?なんで犬が乗ってんの?

 って、ああ、神社で再会した例の犬たちね。

 連れてきちゃったんだ....」



2匹とも外見は柴犬っぽいが、より大型で

力強い印象の猟犬だ。

特に、犬太郎は

この犬種としてもかなり大柄だった


リナは、心なしか列車から遠ざかりながら

言った



「あー、私、チワワとかプードルみたいな

 家庭犬っぽいのを勝手に想像してた....

 結構、ゴツイ犬達ね」



ヨッシーは、新しい人間たちの出現で

興奮する犬太郎と犬次郎の首根っこを、

ムンズと掴んでいる



「ワンワンワンッ、フンッフンッ、フブンッ」



2匹は多分、嬉しくて吠えているのだろう。


ヨッシーに首根っこを掴まれながらも、

その状態で半分宙に浮いていた。


今にもジジイとリナに突進しそうな勢いだ


リナは、ハイテンションすぎる犬たちに

引いているように見える


そして、警察の出動服に、

腰に拳銃と軍刀を差したウメさんが降りてきた


そして、ヨッシーの隣に並ぶと、

ジジイに頭を下げて言った



「お、お、お待たせいたしました、総一郎さん。

 ウメでございます。

 ヨッシー君が大活躍してくれたおかげで、

 無事に目的を果たして帰還できましたわ。

 さ、さすがは総一郎さんのお孫さんですわ」



ジジイも、あたふたとウメさんに頭を下げる



「い、いえいえ

 とんでもございませんウメさん....

 

 うちのヨッシーを守ってくださって

 本当にありがとうございます。

 ちんかわ氏と技術者氏にも、重ね重ね

 お礼申し上げます」



2人は、何度も頭を下げ合っている


空気を読まない犬たちが、ウメさんに

ペロペロ攻撃を仕掛けようとしているが、

彼女はそれを密かに片手で払っていた


ヤレヤレ風に肩をすくめてむけぞうが言った



「さて、ようやく3チームが合流したね。

 いや、1チーム増えたから4チームか


 とりあえず、本部に連絡しますかね」



むけぞうは、ポケットから通信機スマホを

取り出した。

そして、『ムケチン作戦本部』だけを選択して

通話を開始したのだった



////////////////////////////////////////



しばらく後、ヨッシーと2匹の犬たち、そして

ちんかわむけぞうとリナが川岸に降りてきた


鉄道橋は、上路バランスドアーチ式で、つまり

連なるアーチの上に線路が乗っている形状だ。

アーチの根本は、

川岸から突き出したコンクリート土台に

載っていて、そこに2隻の船を係留している


スミレとリサは、『つぎはぎ丸』から降りた


橋の上から照らされたLED照明で、

急な斜面を下って来る一行の姿がよく見えた


ショートボブの髪にパッチリとした目、

白ワンピース型のロングTシャツに

黒レギンス、革ショートブーツのリサが言った



「ちょっ、え?なんで犬が居るの?

 ああ、神社でヨッシーが再会したっていう 

 例の犬たちね、

 連れてきちゃったんだ。

 確か、犬太郎と犬次郎だったっけ?」



無造作に後ろで結んだ長髪にこすからい鋭い目、

可愛いトレーナーに

ダメージドデニムのショートパンツに、

実用的なスニーカーのスミレが応じた



「にぃのネーミングセンス.....


 うん、随分と大きくなってるけど、

 あの胡麻毛の子は覚えてる。

 

 まさか、にぃを犬恐怖症にした張本犬が

 一緒に来るなんてね」



そして、近づいてくるヨッシーに向けて

大声で言った



「おーい、にぃー、無時で良かったーー

 

 それとーー、こんな持ち方―、

 ワンちゃんたちがかわいそう―ー」



ヨッシーは、犬太郎と犬次郎の首根っこを

ムンズと掴みながら傾斜を下っている。

まるで、犬たちを引きずっているようだ


妹のスミレに注意されたヨッシーは、

犬達を掴んでいた両手を離した



「ワンワンワンワンッ!!」



とたんに、凄まじい勢いで少女たちの元に

走ってくる2匹


流石に、スミレとリサは恐慌を起こした


そして、自らの外見に対する印象が

あまり芳しくないと瞬時に悟った犬太郎は、

違うアプローチに切り替えた


スミレとリサが居るコンクリート土台に

たどり着いた犬太郎は、

行儀よくお座りしたのだ。

犬次郎も、同じくちょこんとお座りする


急にお行儀が良くなった胡麻毛と白毛の

犬たちに、少女たちも警戒心を解いた



「ほう、意外と世渡り上手だったんだな」



スミレとリサになでなでされる犬たちを見て

感心するヨッシーだった



こうして、チームアルファ、チームブラボー、

チームチャーリー、チームデルタの

4チームが集合を終えたのだった









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