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ステータスオープン

ヨッシーは、天に向かって腕を伸ばした。

そして、おもむろに言った



「ステータスオープン!!!!」



しかし、何事も起こらない.....


目の前の金髪美女は、

どこか唖然とした表情だった


そして、ヨッシーはがなり立てた



「なんかチート的な能力を貰ったんなら、

 どうやって表示されるんだ?

 俺は、魔王か邪神を倒せばいいんだろ?

 そしたら帰してくれるんだろ?」



そして、続けてこう言った



「いいか、よく聞けよ!

 俺は他の連中と違ってな


 元居た世界に”未練たらたら”なんだよ!!


 異世界召喚されたんなら、

 とっとと目的を果たして

早く元の世界に帰してもらいたい!!


 一体全体、何をすればいいんだ?

 魔王か邪神を倒して世界を救うのか」



唖然とした表情だった金髪美女は、

唐突に笑いだした



「アハハハハ、流石、私が見込んだ男だわ!

 

 だよねー、元の世界では

 覇気もヤル気も無かった奴がさ、

 ちょっとばかりのチート付きで

 異世界に行っても、英雄にはなれんって!」



ヨッシーは、目の前の金髪美女を睨みつけた


金髪美女は、流暢な日本語で問うた



「なんで、異世界召喚されたと思ったん?」



「あんたの服装、

 見るからに中世ヨーロッパ風じゃねえか!」



しかし、金髪美女は言った



「いや、これは中世じゃなくて、

 ヴィクトリア朝の服装なんだけどさ


 ええっと、

 ”シャーロック・ホームズの時代”

 って言えば分かるかな?

 私は、その頃に

 イギリスのニューキャッスルで生まれたんだ」



「いや、知らんがな!!」



と言いつつも、ヨッシーは改めて金髪美女を

観察した。

うるさいくらいにフリルの着いたドレスだ。

露出はほとんど無く、

ウエストはキュっと締まり、

下半身はボーンと膨らんでいる


顔は、女神とも思えるほどの

金髪碧眼の美女だが.....


周囲の空間はどこかボンヤリしていて

一体、自分がどこにいるのかも分からない



「とにかく、俺に何の用なんだ?

 早く元の世界に帰してくれ!」



ヨッシーの中に不安が湧きだしてきた


彼女は、自分を召喚した異世界の姫ではなく、

黄泉の国の女神様なのかもしれない



「もしかして俺って死んだのか?


 攻撃された自覚も無かったってことは、

 即死でもしたのか....


確かあの時、大砲に触れた直後に

 変な感じになって....


 即死する要素なんて無い気がするが、

 いきなり誰かに頭部を撃たれたのかな?」



金髪美女は両手を腰に当てて言った



「心配しなさんなって、

 君は異世界転移したわけでも

 死んだわけでもないから。


 すぐに元の世界に帰してあげるよ」



ヨッシーは、わずかに安心した表情になった。

金髪美女はしゃべり続ける



「それにしても、まずはステータスオープン!

 とか、流石は今どきの子だねぇ


 私、そこら中を飛び交う電波を

 受信できるから、

 ネットの世界に精通してるのよね。

 だから、トレンディ―な情報は

 全部知ってるよー


 うん、確かにパンデミック前までは

 異世界転生・転移ものが流行ってたよね。

 

 いやー、20世紀になってから、

 人類が通信手段を発達させたおかげで

 全然、退屈しなくてさー


 ラジオにテレビにインターネットでしょ?

 時代を経るごとに情報量が膨大になってきて、

 私も、年を取るごとに落ち着くどころか

 せっかちな性格になっちった」



何を言ってるのかよく分からない金髪美女を

後目に、ヨッシーは、

自分が全裸なのに気が付いた



「え、え?何で俺、全裸なの?」



そして、前を向くと

金髪美女の服も消滅していた。



「せっかちでゴメンだけど、早速、

 合体しようず」



おもむろに、白人女性らしい

”ボン、キュッ、ボン”な造形が迫ってくる



「ちょっちょっ、お姉さん、落ち着いて...」



その言葉とは裏腹に、

ヨッシーのこすからい鋭い目は大きく開かれ、

せわしなく動き、いろんな所を凝視していた


そして、ついに肌と肌が接触する


滑らかな金属のごとくツルツルで、

ひんやりとした感触.....

しかし、その奥底には、火を吹くかの如く

激しい熱が籠っていた......



/////////////////////////////////////////



全身の一つ一つの細胞が

1万倍の射〇を行っているようなその感覚は、

しばし、『約束された安堵』と呼ばれてきた。


しかし、それはヘロインとは違って

全く依存性のない、純粋な喜悦そのものである


例えるならば、

ふとした瞬間に思い出されたとしても、

それは心の中の宝石箱のごとく

いつでも燦然たる輝きを放っているのだ



/////////////////////////////////////////



「大丈夫か、大丈夫か!!」



驚いた”ちんかわむけぞう”は、

ヨッシーの肩を激しく揺さぶっていた


片膝をついて地面に横たわる大砲に触れた瞬間、

なぜか全身を細かく痙攣させた少年....



「!!!!」



少年は、正気に返った


そして、苦し気に息を吐きながら呟いた



「ハア...ハア....これは、

 俺が心の中に生み出した幻影なのか?


 大砲に触れたことによって、

 脳内に快楽物質が過剰に分泌されて

 発生した現象か?


 .....それとも、あの時本当に....」



それは永遠に分からない謎だ


そして、

それは幸運にも『ドライオーガズム』だった


つまり、下半身の肉体的な変化は無かった


なので、何が起きたのかは、むけぞうには

分からなかった


むけぞうは、畏怖するかのごとく、

大砲の側に跪く少年から少し離れて言った



「ヨッシー君、一体、何が起こったんだ?」



ヨッシーは、スクッと立ち上がると

むけぞうのほうを向いて言った



「さて、気を取り直して

 任務を続けましょうか!!」



ヤレヤレ風に肩をすくめる、ちんかわむけぞう



「全く、君と居ると退屈しないなぁ....」









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