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ムケチン作戦~チームアルファ

チームチャーリーのいる漁港町の鉄道橋から、

線路を20キロ程進んだ町


そこは、私鉄路線が分岐する駅がある町だ。


ちなみにその駅には、私鉄路線だけでなく、

リバーサイド同盟の市を経由した国鉄路線が

合流していた。


便宜上、『分岐駅の町』と呼ぶことにする


その分岐駅の町は、

大きな半島の付け根の真ん中あたりにあった。

ちなみに、その大きな半島からは、

さらに小さな半島が数本の指のように出ている。

その小さな半島の一つに『原発』がある


そう、チョコボーラーの本拠地の原発だ


さてさて、分岐駅に戻ろう....

駅から分岐された路線の一つを20キロほど

進むとそこは、『旧県庁所在市』だ。


もう一つの分岐の路線を進むと、

15キロ程度で

『リバーサイド同盟の市』の外れにたどり着く。



・・・・・・・・・・・・・・・



「まあ、この町は、旧県庁所在市とうちの市の

 ベッドタウンみたいなもんさ。

 一般道と鉄道が一旦ここに集中する、

 いわゆる交通の要だから、

 昔からそれなりに栄えていたさ」



と、そろそろエンジンの試運転も終わり、

余裕の表情のマッシュルーム眼鏡が言った


肩にスタームルガーの

22LRオートマチックライフルを担ぎ、

『シセⅢ型気動車』を見上げている


気動車の屋根の上では、ちんかわむけぞうが

周囲を警戒している。


むけぞうは答えた

 


「ふーん、確かに、目の前の駅は巨大だし、

 周囲に大きな店もあるな。


 大型スーパー『レオン』に

 大手コンビニ『セブンレイヴンズ』、

 『マクド』や『シャンゼリア』は東京でも

 お馴染みだが....


 『デイリーストア・シンザキ』とか

 『ジェンキンソン寿司2号店』とか

 『マックス&ドナルドソン・バーガー』とか

 関東では聞かないローカルな店もあるね....

 これらは、

 リバーサイド同盟にも無かった気がするが


 まあ、結構都会だね、余裕で住めるぜ」



1両編成の気動車の屋根の上には、

LEDバッテリー照明が数台と、

予備のステンもどきサブマシンガンが1丁、

散らばった11.5ミリ弾の薬莢と、

予備マガジンが数本


そして、

ステンもどきを構えたちんかわむけぞう


今まで、各々の作業に取り掛かりっきりだった

2人だが、

ようやく軽口の会話が出来る様になった


マッシュルーム眼鏡が言った



「ちんかわ君、もうそろそろ出発できるから

 屋根から降りて車内に乗りなよ」



むけぞうは、2丁のサブマシンガンを肩に担ぎ、

改めて周囲を見渡した


まずは、

周囲に散乱するおびただしい数の人型の残骸...


正確には数えてないが、

この3時間の内に50体は来ただろう。

相棒であるマッシュルーム眼鏡の技術者は、

気動車の修理に専念していた。

故に、全てむけぞうが一人で倒したのだ。


そして、目の前には乗り捨てられた列車たちと、

その奥に巨大な駅が見える


やはり、この駅周辺がこの町の

繁盛地なのだろう、背の高いビルと

数々の店舗群が密集している


むけぞうは、銃のマガジンとバッテリー照明を

回収した。

リュックにそれらを詰めながら呟く



「さて、この町ともおさらばだな....」



再びここに来るかどうかは分からないが、

むけぞうは町に別れを告げた。


周囲を照らしていたLED照明を回収しても

真っ暗闇になることはなく、

建物のシルエットがボンヤリと確認できた。

空を見上げると、澄み切った満点の星空だ


星明りが、

地上にほのかな光を届けてくれている


と、唐突に足元の気車が光り輝いた


マッシュルーム眼鏡が、

車内灯の電源を入れたのだ



『シセⅢ型気動車』



それは、この地域の私鉄だけが運用していた、

1両編成のディーゼル駆動の気動車だ。

全長18メートル程で、

シルバーの車体に青いラインが入っている


むけぞうは、気車の屋根から地面に降りた


ここは駅のホームではないので、

車内へのドアは1メートル程の高さがある。

ドアは開いていて、

むけぞうはリュックと2丁のサブマシンガンを

中に放り込んだ。


そして、よいしょっと、ドアから車内に入った。


とたんに、プシュ―っとドアが閉まるとともに、

車内アナウンスが聞こえてくる



『リバーサイド鉄道をご利用くださいまして、

 誠にありがとうございます。

 次は、大砲神社、大砲神社でございます


 Thank you for using Riverside Railroad

The next station is Cannon Shrine


感谢您使用滨江铁路。下一站是大炮神社』



マッシュルーム眼鏡の技術者が

ふざけているのだ


むけぞうは、ヤレヤレ風に肩をすくめながら

言った



「おいおい、マッシュさん!

 あなた、電車に乗り慣れていないねー


 俺が、本場の”山手線モノマネ”を

 見せてあげますよ」



第一の目的を果たし、

ようやく2人に笑顔が戻っていた


油まみれの作業服姿に、腰にジャラジャラと

工具を下げたマッシュルーム眼鏡が

運転席から出てくる


ウメさん曰く



 ”いい年してマッシュルームカットの、

  ネガティブな青年を気取った坊や”



彼は、小柄な体格に

マッシュルームカット&眼鏡だが、

年齢は30台半ばで、かつては有名メーカーの

チーフエンジニアだった。

ちなみに、

ウメさんとはかつてのツーリング仲間だ



むけぞうは彼を眺めてしみじみと言った



「本当に、お疲れさんでしたマッシュさん....

 こんな気車を修理できるなんて、神だね

 

 あなたのような人がリバーサイド同盟に

 残ってくれたおかげで、皆が助かっている」



そう、彼は、その肩書と能力からしても

チョコボーラーのお眼鏡に叶って、

自衛隊のヘリで

脱出を果たせていただろう人材だ.....


しかし、彼は、見捨てられて

置きざりにされる人たちの為に残ったのだ


そのような選択をした有能な人材は、

リバーサイド同盟には大勢いたのだった


マッシュルーム眼鏡は、笑顔を見せながら言った



「ちんかわ君が僕を守ってくれたおかげさ!


 さて、君の山手線モノマネの前に.....

 我々チームアルファから、

 皆に出発の連絡をしようか!」






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