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ムケチン作戦~第二波襲来

唐突に、ポケットの中の通信機が鳴った


社務所の屋根の上のヨッシーと、

神楽殿の舞台のウメさんは、

同時にそれぞれの通信機を取り出した


ちんかわむけぞうだ



「こちら、チームアルファ、チームアルファだ


 嬉しい知らせだ、

 実はあれから結構うまくいって、

 確保した『シセⅢ型気動車』の試運転が

 もうそろそろ終わりそうなんだ。

 ようやく、待ちに待った出発だ!


 後10分くらい、

 つまり午後7時45分には出発して、

 チームブラボーの神社には午後8時15分に

 到着できると思う.....以上」



ウメさんが応答する



「こちらチームブラボー、了解した。

 予定より大分早くて何より。


 こちらは、たった今、人型の襲来があった

 

 合計4体襲来、4体とも全て対処済み

 .....以上」



と、チームチャーリーからの通信が来た


今や懐かしのジジイの声だ



「あー、あー、

 こちらチームチャーリー、チームチャーリー


 小島総一郎です


 神社に襲来があったとのこと、

 無事に対処されて何より。


 おーい、ヨッシー、

 ウメさんにご迷惑をおかけしてないか?


 絶対に無理はせずに、非常に恐縮ながら、

 ウメさんにお任せするんだぞ!

 本当に、重ね重ね、感謝いたしますウメさん


 チームアルファも、

 順調そうで何より....以上」

 


ウメさんのキョドリ声が聞こえる



「こ、こちらチームブラボー、

斎藤ウメでございます。


 総一郎さん、ヨッシー君の事なのですけど、

 彼は凄いのですよ。

 ほ、ほんと、

 流石は総一郎さんのお孫さんですわ


 実は4体とも、ワタシではなく、

 彼が銃撃で倒したんですから。

 

 後ほど詳しくお話いたしますが、

 ヨッシー君は、ある能力をお持ちで。

 流石は総一郎さんのお孫さんですわ


 あ、後ほど、ゆっくりお話いたします故、

 お待ちになっていてくだだださいな....」



聞こえてきたのは、

チームブラボーの少女たちの声だった


リナに渡されている通信機を、

スミレとリサが囲んでいるのだろう



「やっほ、にぃ!

 あ、チームチャーリー、小島水麗です

 

 凄いじゃんにぃ、ついに覚醒したんだね。

 ウメさんの手を借りずに4体も倒したって?

 

 うんうん、その調子だよ、

 むけぞうさんが来てくれるまでしっかりね!

 ウメさんも、引き続き

 うちのにぃをよろしくお願いします」



「なんか、今朝の射撃場でも、

 1人で8体倒したって聞いたし

 ちょっと変態だよね!


 前々から変態チックだったけどさ、

 スミレちゃんの言う通り覚醒した変態だ


 あ、すいません、美月理沙です」



「美月理奈です、うちのヨッシーは、

 やるときはやる男だからね。


 フフフ....

 暴走しないようにだけは気を付けてねー

 首を絞めても人型は倒せないから


 えと、こちらはすでに準備を整えて待機中、

 状況は平穏なり....

って、前にも言ったか、ごめん」



さらに、空気を引き裂くような

良く通る声のカナエが参加した



「こちら、ムケチン作戦本部、

 各々のチームの状況は把握したわ


 にしても、ヨッシー君、

 流石は私に一発食らわせた男ね!

 

 頼もしい限りよ


 むけぞうとマッシュルーム眼鏡が来るまで、

 しばらくの辛抱だからね」



流石に、ヨッシーも

会話に参加せざるを得なかった


通信機の通話ボタンを押して言う



「あー、こちらチームブラボー、小島洋一です


 覚醒したのは、俺だけじゃなくて

 ウメさんもそうですよ。

 

 まさか、ウメさんの口から、

 思春期ザー〇ンの匂いだとか、

 チン〇の皮とか出てくるなんて....

 後、俺の股間をブーツで踏みつけて

 グリグリしたいって.....

 

 !!!!


 痛ぇ、ちょっと、石を投げないでください


 わかりましたよ、通話を切ります、以上」



神楽殿の正面入り口の付近には

玉砂利の痕跡が残っていて、

雑草の隙間に豊富に石があった。


ウメさんは、

わざわざ舞台の上から低い階段を降りて、

地面から石を拾ってヨッシーに投げつけている


丁度、ヨッシーの背中に向かって

石が飛んでくる状態だ


ヨッシーは振り向いた



「え?ちょっとキレてますやん」



神楽殿に設置されているLED照明に

照らされているおかげで、

ウメさんの真顔が見える


警察の出動服に腰に軍刀と拳銃を差し、

白髪の長髪を後ろで結んだウメさんは、

腰を屈めて石を拾って

それをヨッシーに投げつける動作を

繰り返している


社務所の屋根の天辺に跨ったヨッシーは、

上半身を後ろに向け、左手に銃を持ち、

右手を顔の前にかざしてガードしている


さらに、上半身をクネクネと動かして

ビュンビュンと飛んでくる石を避けながら

言った



「ご自身でおっしゃったことでしょう!」



....と、2匹の犬たちが吠えた



「ワンワンワンッ」「ワンワンッ」



ピタリと身体が止まるヨッシーとウメさん


犬太郎と犬次郎のほうを見ると、

2匹は神社の中心を通る参道に居た。


そして、神社の入口のほうを向いている


そこには、

【手水舎】と木製のやや貧弱な【二の鳥居】、

その先に下りの石段があるが.....


鳥居までは、LED照明の光が僅かに届いているが

そこから先は、どんよりとした”暗闇”だった。


すでに腐敗臭が辺りに漂っているために、

ヨッシーとウメさんの鼻は麻痺している。

しかし、2匹の犬は、

なんとか新しい匂いを察知したようだ



「ワンワンッ....キュイィ....」



胡麻毛の大柄な犬太郎が、

情けない鳴き声を出して後退していった。



「キュウゥン.....」



白毛の犬次郎は、

神社の奥に向けて走り去ろうとしている


ウメさんの鋭い声が言った



「第二波が来たわね、

 犬たちの怯えた様子からして

 かなりの数が来るかもしれない!


 さあ、頑張って生き延びましょう」



ヨッシーは、レバーアクション銃を握った。

こちらの身体の向きから見て、

正面のやや右より


木製の【二の鳥居】の中心は、

まるで暗黒の渦巻く黄泉への入り口だった




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