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ムケチン作戦~英雄

今の自分の気持ちを言いながら、

ヨッシーは、その異常性に気が付いた



「なんてこった....ウメさん、

 俺ってまるでアブない奴ですよね


 本来は感じないといけないはずの

 恐怖とか不安を、どこかに置き忘れている。

 むしろ、気分が晴れやかで頭も冴えるとは」



前からその傾向はあったのだが、今になって

はっきりと自覚ができる。


神楽殿の舞台からウメさんが言った



「ヨッシー君、あなたの中に眠っていた能力が

 目覚めつつあるのよ


 まあ、会った初日から

 うすうす感じてはいたんだけど、

 私はその能力のことが分かる気がする」



その後に思ったことは口に出さなかった



(そしておそらくは、

 我を失う前の矢之板智も、同じ能力を

 持っていた。

 でも君は、あの強姦魔とは違うわ)



社務所の屋根の上から、

チラリと不安げにこちらを向く可愛い少年。

.....それにしても、

4体もの人型から漂ってくる腐敗臭で

鼻がもげそうだ


ヨッシーは、すぐに森のほうへ向き直った



「俺も、むけぞうさんや、ウメさんみたいに

 強い人になれますかね?」



ヨッシーの後ろ姿に向けてウメさんは答えた



「うちの、”ちんかわむけぞう”は

 確かに戦闘力はとてつもなく強いわ


 ちんかわ君が持っているのは、

 天賦の才と、機転の利く性格ね。

 

 中には、私も彼と同じくらい強いって

 言う人がいるけど。

 そうねえ、私が持っているのは、

 この年まで鍛錬を続けることができる愚直さ。

 それと、若い人よりも

 多少は積み重なっている経験値かな?」



ウメさんは神妙な顔をしながら続けた



「ヨッシー君の持つ能力は、

 それらとはちょっと違うかもね。

 警察学校の生徒の中にも、ごく稀に居たから

 分かるんだけど、


 例えるなら、”別の回路”を持っている感じ


 危機が迫った状況になると、その回路に

 スパって切り替わるのよ。

 それは、直接的な戦闘だけじゃなくて、

 もっと広範囲に役にたつ能力よ」



「ちょ、それって俺TUEEEって感じっすか?」



「そうね、まさしく俺TUEEEよね。

 でも注意したほうがいいのはね、

 この能力は、戦場で、優れた兵士が

 開花させることがあるのね。


 中東に派遣された、とあるアメリカ軍の

 兵士の話があるのだけれど。


 彼は、この能力に目覚めて戦場では

 無双したものの、逆に平和な日常の中で

 恐怖と不安に苛まれてしまったの

 

 つまり、例の回路に切り替わっている時の

 ほうが普通の状態ってのが長く続いて、

 その結果....」



ヨッシーは恐怖のあまり大声を上げた



「え?ウメさん、それって

 めちゃくちゃヤバいじゃないですか!!

 もしも、俺もそうだとしたら、

 どうすればいいんすか?」



ウメさんは、あたふたとした


濃紺色の警察の出動服に

腰に差した軍刀と拳銃、

白髪の長髪を後ろで結んでいる。

まるで抜刀隊のような勇ましい恰好だが、

ウメさんは慌てていた



「あ、あっ、別にあなたがそうなるって

 決まったわけじゃないのよ!


 安心して、その能力と

 うまく付き合っていく方法はあるから」



再びヨッシーがこちらのほうを向いて問うた



「その方法やいかに?」



こすからい鋭い目の、こんなに可愛い少年を

怖がらせるのは気が重い。

ウメさんは、両手を組んでウンウンと頷き

言った



「まずは、

 お互いに頼りにできるいい仲間を作ること。


 誰かに助けられるってのは

 決して悪いことじゃないわ、

 能力を仲間の為に使うこともいいことだし


 そして、出来るだけ大きな夢を持ちなさい


 普通の人が持つような

 小さなものじゃなくって、本当に、

 途方もないくらい大きな目標を立てるの。

 人生を賭けるに値する夢を持って、

 それに全力で立ち向かうのよ!


 ヨッシー君、あなたなら絶対に出来るわ」



こちらを向くヨッシーの顔は微笑んでいた



「無茶な夢なら、すでに持ってますよ。

 それに、仲間だって集めて見せます」



ウメさんは、拳を握り締めて

ガッツポーズを作ってみせた。

そして、こう言った



「私も、もう少し若かったら....

君のその無茶な夢に

 付き合ってあげるんだけど」



え?何そのヒロインムーブ


あんた、旦那も孫も居るのだろう、

ババアヒロインも伊達じゃないよね



 

 

 

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