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ムケチン作戦~ニーチェ的超人

丁度、ミヤモトおじんが洗濯バサミで

乳○を挟まれていた頃....


神社の社務所の屋根の上のヨッシーは、

ふと思って独り言を呟いた



「そういえば、

 原発の半島に向かったミヤモトさん、

 今頃何をしているんだろう?

 

 こちらが不利な立場なのをいい事に、

 チョコボーラーの連中から

 辱めを受けてはいないか心配だぜ」



ヨッシーが想定している辱めとは、

言葉や態度の類だった。

まさか、洗濯バサミで

乳○と玉袋を挟まれるなんて事象は、

彼には想像だに出来なかったのだ。


それはいいとして.....


ヨッシーは、後ろ向きに倒れた一体の人型を

睨みつけながら、

レバーアクション銃「アウトロー」の

ハンマーを親指で押さえ、

ゆっくりと引き金を引いた。


引き金から人差し指を離して、

親指で保持しているハンマーを静かに戻すと、

ハンマーが途中で止まり、

”ハーフコック”状態になる。

そして、釣り人風のジャケットの

胸ポケットから11.5ミリ弾を取り出した。


その弾を「アウトロー」に装填する。


消費した弾は2発だったが、

銃の機関部右側面の給弾口には3発入った。

つまり、薬室内に装填された1発と、

チューブマガジンの12発の合計13発だ



「ワンワンワンッ!」「ワウウー、ワンワンッ」



参道を挟んだ大砲の櫓辺りから、2匹の犬の

鳴き声が聞こえてきた。

そこに避難していた犬太郎と犬次郎が

再び吠えているのだ


神楽殿の舞台で待機しているウメさんが言った



「犬たちが、新しい人型の匂いを

 察知したみたいね。

 また森のほうを向いてるから、

 多分そちらから再びやってくるわよ!」



もうすでに、最初の人型の腐敗臭が

辺りに充満していて、

ヨッシーの鼻はほとんど麻痺している。


しかし、暗い森の奥に目を凝らしてみる.....



「!!!」



LED照明の光がかすかに届くくらいの距離に、

3体のシルエットが出現した



 「....次は3体か!!」



その動きはまるで人間のようだ....


すぐさま、ハーフコック状態のハンマーを再び

親指で起こして、アウトローを構える


そしてヨッシーは言った



「ウメさん、次は3体の人型が

 こちらに向かってきます!」



すぐに、ウメさんが応答した



「了解、頼むわよヨッシー君」



武器も持たず、手ぶらでただこちらに

歩いてくるだけの、人の形をしたモノ。

しかし、躊躇なく撃たねばならない!



「当然だ、これが出来ないと

 外界に出る資格はねえんだよ」



3体の人型は、並んでこちらに向かってくる。

森の木々の枝葉に遮られて、

なかなか頭部が出現しないが.....



「おっ、ご尊顔丸出しだぜ、モンキー野郎!!」



枝葉の隙間からチラリと出現した人型の頭部、

真ん中の奴だ。

ヨッシーは、すかさずそいつに狙いを定めた



バアアァンッ!!



30メートル以上離れた人型は、

前のめりに倒れた



「ウメさん、一体倒しました」



言いながら、レバーをガチャリと押し出す。

ファイアリングピンのケツがニョキっと

突き出て落ちたハンマーを再び起こし、

空薬莢が勢いよく上に飛び出した。


すぐにレバーを戻し、薬室に弾を装填


11.5ミリ弾は、45ACPを元にした弱装弾とはいえ、

その威力は38スペシャル弾よりも上だ


つまり、ヨッシーが

カーゴパンツの膝ポケットに入れている

警察用のリボルバーよりも強い



「ヨッシー君、焦らないでね!

 あなたが撃ち漏らしても、私が居るから」



ウメさんの激励が聞こえるが、

ヨッシーは全く焦っていなかった


むしろ落ち着いていた


残った2体の人型、その内の右側のほうに

銃口を向ける。

距離は30メートル程か?

頭部は木の枝葉に隠れているが....



「いや、隠れていても

 頭部の位置は大体分かる」



その人型は、ヨッシーから見て右方向に

移動していた。

しかし、ヨッシーは、人型の移動速度と

見えない頭部の位置を予測し、

撃つべき場所を直感によって割りだしていた



「少し右寄りに...そう、ここだ!」



バアアァンッ!!



まるで、木の根にでも躓いたかのように

倒れる人型



「ウメさん、2体目を倒しました!」


「........」



最後の人型は、左側に向かっている。


そこは、上段にある本殿の方角で、

『高い石垣』と『神楽殿』の狭い隙間に、

鉄条網を巡らせている場所だ。


何とか通ろうと思えば

通り抜けられるかもしれないが、

ヨッシーの中には

絶対にこちらに戻ってくるという

謎の確信があった



ガランッ、ガランッ



鉄条網にぶら下げている鈴の音だ!


神楽殿の屋根と暗闇のおかげで

人型の姿は見えないが、ヨッシーは落ち着いて

レバーを操作して銃に弾を装填した



「よっしっ、やっぱり戻ってきたか!」



LED照明によってはっきりと照らされた人型は、

玉垣と鉄条網のすぐ背後を、

右方向に移動している。


鉄条網を張ってくれたサトシの顔が

ふいに浮かんだ



(やっぱり、あの人は凄かったんだ....)



人型に知能があるのかはまったく不明だが、

通りにくい裏口よりも、通りやすい表口から

入るつもりらしい。


そいつは、最初に襲撃してきた人型の残骸の側を

通り過ぎようとしている


ヨッシーはふいに大声を出した



「おいっ、イケメン、こっちを向けって」



その人型は恐らく男性だと思われるが、

なんとヨッシーの呼びかけに答えるかのごとく、

顔をこちらに向けたのだった


口を開いた泥人形のような顔......


しかし、そのイケメンフェイスを

堪能するまでもなく、

即座に引き金を引くヨッシー



バアアァンッ!!



「ウメさん、3体目、倒しましたよ!」


「........」



しばし後、ようやくウメさんが言葉を発した



「あの....銃声が3発しか聞こえなかったけど。

 もしかして、全部、一発で倒したの?」



「え?俺、何かやっちゃいました?」



「あ、ああ、ヨッシー君、

 別に私のほうを向かなくていいから。

 森のほうを警戒しながら聞いてね」



計4体もの人型が倒れる森を見つめるヨッシー


そして、ウメさんの声が聞こえる



「なんだろ....うん、私、警察学校で

 教えてたでしょ?

 やっぱ、ごくたまーに、いるのよね」



そして、続けてこう言った



「ひとつ聞いていいかしら?

 ヨッシー君、今の気分を率直に言って」



社務所の屋根の上、

レバーアクションライフルを握り締めた少年は

答えた



「そうっすね、率直に言えば....

 晴れやかというか、

 とても落ち着いてるというか

 

 なんか、思考が冴えてて、

 奴らの動きもノロく見えたっす」






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