映画
〜朝日奈紬〜
晴翔たちを尾行した後、少し休憩していた私たちは今、映画を見るために、映画館の方へ移動している。
「この中で見たいやつある?」
霜月からスマホを渡される。
画面には今から行く映画館のWebページが映っており、上映中作品一覧が掲載されていた。
上映中作品は画面1つでは収まりきらず、スクロールし、他の上映中作品を見ていく。
「これとかどうかな?」
私は、上映中作品一覧の中にある、見たかった映画のところをタップする。
すると、画面が切り替わり、私がタップした作品の紹介するWebページが映る。
「これか、いいよ。上映時間は……13時30分。って、もう1分過ぎてる! 急ぐか」
霜月がそう言うと、私たちは小走りで映画館に向かった。
映画館のところへは、すぐに着いたが、チケット買ったり、ポップコーンを買ったりしていたら、結構時間が経ってしまい、中に入った時には、暗くなっていた。
私たちは他の人の邪魔にならないよう、背を低くして、自分たちの席へ移動する。
そして、私たちは最後列に行き、自分たちの席に座った。
すると、座ってすぐに霜月が軽く私の肩を叩いてくる。
「どうしたの?」
他の人に迷惑になってはいけないので、小声で話した。
そして、霜月も他の人の迷惑にならないように考慮しているのだろう。小声で返答してきた。
「横、晴翔たちなんだけど」
映画見にきたら、デートしてる幼馴染、親友と隣の席になるとかどんな確率よ。
晴翔たちが私たちの存在に気づいたら最悪じゃない。
てか、もう気付かれてる可能性もあるよね。
「晴翔たちは私たちに気付いてるの?」
「暗くなってから入ったこともあって、多分気付かれてない」
気付かれてないならいいけど、デート中に幼馴染、親友に会うなんてめっちゃ気まずくなりそう。
せっかくのデートを邪魔したくないし、気付かれないようにしないと。
「晴翔たちに気付かれないように、エンドロール中に抜けない?」
「俺もそうすべきだと思う」
霜月も私と同じ考えだったみたいだ。
その後は、私たちも喋ることなく、映画に没頭した。
映画を見ている間は、横に晴翔たちがいることを忘れていた。
しかし、エンドロールになると、荷物を持って、入ってきた時と同じように、他の人の迷惑にならないよう背を低くして、退場した。
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